「年に一回は、何でもいいので新しい事をはじめたかったんです。教習所に通うと時間もお金もかかるので、免許証センターで直接、技能試験を受ける方法を選びました。結果からいうと8回目の試験で合格でき、かかった期間は3か月くらい。費用は教習所での大型自動二輪コース料金の半額ほどでしたね」
大型自動二輪免許を取得後、インターネットオークションにて程度の良さそうなアメリカンスタイルのオートバイ、ホンダ『シャドウ750』を見かけ、ダメ元の金額で入札。翌日、インターネットオークションの運営から通知が届き、運良く落札できたことを知ります。トルクが太くて扱いやすく、荷物も積めるシャドウは友之さんのお気に入りとなり、頻繁にツーリングに出かけるようになります。
シャドウは4年ほど乗った後、家庭環境の変化により乗る頻度が減ったため処分。現在はカフェレーサーのスタイルを求め、やはりネットオークションにて落札したヤマハの『SRV250』を愛車とし、自力で整備やドレスアップを行いながら自動車との6輪生活を継続しています。
クルマは自分の年表であり、人生の一部
2台目のM3を購入してから5年ほど経ち、全体的に消耗品を交換する時期が訪れます。これを機に、M3と同じくシルキー6を心臓部とするBMWの初代『135iクーペ』に乗り換えることを選びました。
この135iのオートマチックトランスミッション(AT)は一般的なトルクコンバータ機構ではなく、フォーミュラーワン譲りという7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)機構が採用されており、友之さんにとって、はじめての非マニュアルトランスミッション(MT)車になります。
「135iは、デザインやサイズ、速さに申し分はなかったのですが、僕とDCTとの相性が悪すぎました。操作から実際にシフトチェンジが行われるまでのタイミングが、感覚的に気持ち悪いんです。乗れば乗るほど『やっぱりMTに乗りたい』って気持ちが高まる結果になりましたね」
最初のM3を購入する歳、候補にあがったアルファロメオ147。当時から10年近くが経過しており、程度の良い中古車が手の届く値段に落ちていたため、147のトップグレードである『147GTA』への乗り換えに踏み切ります。
「147GTAは、もちろんMT車です。小さくて軽いボディ、張り出したフェンダーを持つデザイン、トルクのある大排気量エンジンと、僕の望む条件がすべて揃っているので、気に入らないわけがありませんよね。エンジンは思ったとおりに吹け上がり、本当に楽しいクルマです」
購入から2年半ほどが経過した現在。147GTAの調子は変わらず良く、今日もツーリングやサーキット。様々な事情によりヘアーサロンへと足を運べないお客様の元へ訪問するための営業用車として、元気に走り回っています。
「これまでに乗っていたクルマを思い出すと、一緒に“あの頃の自分”が思い浮かびますね。僕の経験はクルマと一緒にあることが分かりました。クルマは僕の年表で、人生の一部でもあります」
その時々の愛車が、日々の思い出に花を添えている友之さんの年表。これからも様々な出来事と一緒に、愛車とのふれあいが書き加えられるのでしょう。
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。