写真・文/矢崎海里
いまや国民食とも言われるカレー。
メディアでは「カレーダイエット」なるものが取り上げられ、「スパイスで血行促進」などの効能を耳にした方も多いのではないでしょうか。
しかしカレーは塩分が高いメニューとなっており、食べ過ぎには注意です。
そこで今回は、ご家庭で手作りする際にぴったり、カレーの減塩レシピをご紹介します。
カレーの塩分はどのくらい?
厚生労働省が定める、一日の食塩相当量の摂取目標量は、男性8g未満、女性7g未満となっております。
対して、平成28年の食塩摂取量の平均値は、男性10.8g、女性9.2g。
男女ともに2g以上過剰摂取をしているのが現状です。
では、今回のテーマであるカレーの塩分はどうでしょう。
一般的なカレーライスは、塩分3.3g程度となっており、男性の一日の目標量8gの40%以上を占めています。
このカレーとセットで、ドレッシングをかけたサラダ、スープなどを食べてしまうと、あっという間に一日の半分以上の塩分を越えてしまいます。
ズバリ!塩分の正体はカレールー
入れるだけで簡単に味が決まるカレールー。
たくさんの種類がスーパーに並び、過程の慣れ親しんだ味からプロのお店の味まで、品揃えも豊富。
ですが、カレーの塩分が高い正体は、このカレールーなのです。
中辛だけを見ても、ひと皿分のカレールーの塩分は2g~2.5g程度。
ここに隠し味の調味料や食材そのものの塩分が加わると、先ほどのようにあっという間に塩分過多メニューになってしまうことも。
そうならないために、今回はカレールー不使用のカレーをご紹介します。
「カレールーを使わないって、スパイスから炒めるの?」
「我が家には本格的な調味料はないよ」
なんて思った方、ご安心下さい。
今回使用するのは「カレー粉」と、おうちに常備されているであろう調味料のみ。
ちょこっとひと手間で、美味しく減塩カレーができあがります。
【七味のピリ辛ドライカレー】
【材料】(1人分)
豚ひき肉 100g
カットトマト 80g
ピーマン 1個
玉葱 1/4個
醤油 小さじ1
カレー粉 小さじ2
コンソメ 小さじ1
サラダ油 大さじ1/2
七味 お好みで
ごはん 200g
【作り方】
1.玉葱とピーマンは5mm角に切る
2.鍋に油を入れ、玉葱の色が変わるまで弱火で炒める
3.豚ひき肉を入れ、さらに炒める
4.ひき肉の色が変わったらカットトマト、ピーマンを入れ、弱火で水分を飛ばしながら煮込む
5.醤油、カレー粉、コンソメを入れ味を調え、最後に七味をお好みで振りかける
6.器にご飯と5を盛り、完成
今回私が使用したのは「黒七味」。赤い七味に比べ山椒のピリ辛感が特徴で、和風のスパイシーさがアクセントになっています。
ドライカレーは汁気が少ないので、通常のカレーに比べて塩分が低めとなっています。
具をたくさん作っておいて、カレーピラフやカレーコロッケへのアレンジもおすすめです。
食塩相当量:1.4g
【バターとトマトの濃コクチキンカレー】
【材料】(1人分)
★鶏肉 80g
★ヨーグルト 40g
★カレー粉 小さじ1
玉葱 1/4個
ホールトマト 100g
にんにく(すりおろし) 小さじ1/2
しょうが(すりおろし) 小さじ1/2
◆カレー粉 小さじ2
◆はちみつ 小さじ2
◆醤油 小さじ1
◆みりん 小さじ1
◆コンソメ 小さじ1
◆水 大さじ2
サラダ油 大さじ1
バター(無塩) 5g
生クリーム お好みで
【作り方】
1.鶏肉は一口大に切る
2.★を保存袋に入れ揉み込み、半日ほど漬ける
3.玉葱はすりおろす
4.鍋に油を入れ、にんにく・しょうがを香りが出るまで熱したら、すりおろした玉葱を入れる
5.水分がなくなってきたらホールトマトをつぶしながら入れ、◆の調味料を加え煮詰める
6.2の鶏肉を漬け汁ごと鍋に入れ、弱火で煮込む
7.酸味が飛んでまろやかになったらバターを加え、火を止める
8.器にご飯と7を盛り、生クリームをかけ完成
ポイントはトマトをじっくり煮込むことです。
ヨーグルトやトマトなど、酸味の強い食材を多く使用しているため、「酸っぱいカレーはちょっと苦手・・・」と思った方もいるかと思います。
トマトは弱火でじっくり煮込むことで、酸味が飛んで甘みとコクが引き立ちます。
また、はちみつやバターも酸味を和らげてくれます。
バターははじめから入れてしまうと風味が飛んでしまうので、最後に入れて溶かしましょう。
コクがしっかりと引き立ち、減塩レシピとは思えない、ご飯がすすむカレーの完成です。
食塩相当量:1.6g
* * *
「カレールーを使わずにカレー作りなんてハードルが高い」と思っていた方も、このレシピを見て「自分にもできるかも!」と思って頂けたのではないでしょうか。
スパイスや食材本来の旨味を上手に活用して、楽しく減塩しましょう。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。