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ジャズ・ヴォーカルのデュエットを楽しむ【ジャズ・ヴォーカル・コレクション43】

文/後藤雅洋

デュエット・ジャズ・ヴォーカルの魅力は、歌手を楽器にたとえれば、トランペットやサックスといったホーン奏者がふたりいる2管クインテット(5重奏団)の面白さに相当します。

ふつうのジャズ・ヴォーカルが、ジョン・コルトレーン・カルテットのように花形ホーン奏者がひとりしかいないワン・ホーン・カルテット(4重奏団)だとしたら、デュエット・ジャズ・ヴォーカルは、ふたりのホーン奏者がいるマイルス・デイヴィス・クインテットの華やかさにもたとえられるのです。

第43号「デュエット・ジャズ・ヴォーカル」(監修:後藤雅洋、サライ責任編集、小学館刊)

マイルスのバンドは、トランぺッター、マイルスとテナー・サックス奏者、コルトレーンというタイプの異なるふたりのホーン奏者がいることで、音楽的豊かさが発揮されていますよね。マイルスの繊細な表現に対し、コルトレーンの激情的な熱演の対比とか……。実際「モダン・ジャズ黄金時代」と呼ばれた1950年代のジャズ・コンボ(小編成グループ)の大半は、2管クインテットの楽器編成を採っています。付け加えれば、トランペットとテナー・サックスまたはアルト・サックスといった、音色・音程の異なる楽器の組み合わせが大半です。これは2本の楽器で快適なアンサンブル・サウンドを作り出すと同時に、ソロを取ったとき、音色・音域が違うことで明確な識別ができるというメリットも含んでいます。

デュエット・ジャズ・ヴォーカルでは、楽器の違い、音域の違いは男女の声質の違いという形に現れています。相対的に軽やかで高い音域の女性ヴォーカルがトランペットだとしたら、低く腰の強い音が出せる男性ヴォーカリストはテナー・サックス奏者にもたとえられるでしょう。つまり、デュエット・ジャズ・ヴォーカルはソロ・ヴォーカルに比べ、音楽的豊かさが聴きどころといっていいのです。

楽器ではスターと脇役といった組み合わせもありますが、ヴォーカルでは前面に立つふたりが目立つので、両者「同格」であることが求められます。付け加えれば、今回登場するジャッキー・アンド・ロイ(太字は今回収録アーティスト)のようなデュエット・グループを除いて、おおむね「臨時編成デュエット」が大半です。理由は単純です。人柄も含めた「人物像」のイメージと歌唱がリンクしがちな歌い手さんに対し、私たちは「個人単位で」ファンになるのですね。ですから、歌手はソロで活動するのが基本形です。また、地味な歌手をふたり並べたとしても、「だからどうした」となりかねません。当然デュエット・ヴォーカルは「極めつきメジャー歌手の臨時編成」という、「豪華かつ希少な出し物」といった性格をもっているのです。ヴォーカル・ファンならこれを見逃す手はありません。

顔見世興行を超える魅力

まずは冒頭の組み合わせをご覧ください。レディー・ガガですよ! 極端なことを言えば、歌は聴いていなくとも、メディアに登場する華やかな存在として多くの人々に知られているのが、レディー・ガガなのです。それは多くのミュージシャンが公演をキャンセルした東日本大震災直後の彼女の果敢な来日公演や、心のこもったチャリティ行為に象徴されていますよね。

レディー・ガガは、1986年(昭和61年)にアメリカ北東部ニューヨーク州に生まれました。本名のステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタから想像されるように、彼女はイタリア系で、これは相手のトニー・ベネットと同じですね。特筆すべきは、インターネット系実業家の娘として生まれた「お嬢さん経歴」でしょう。それにもかかわらず、持ち前の反抗精神からストリッパーとして自活しつつ自ら目指す音楽の道に進み、現在のスーパースターの地位を「実力で」勝ち取ったのです。加えてマイノリティの人々に対する心からの支援活動が、彼女をたんなる「セレブ」から隔ててもいるのです。

トニー・ベネットは、アメリカのポピュラー・シンガーを代表する超大物であるだけでなく、第27号「ジャズ・ヴォーカル・ウィズ・ジャズの巨人」でのピアニスト、ビル・エヴァンスとの共演で明らかなように、ジャズ・ヴォーカリストとしても第一級の実力の持ち主です。ベネットについては、あのフランク・シナトラが「音楽業界最高の歌い手」と褒め称えたことを挙げれば充分でしょう。この両者の名勝負、たんなる「顔見世興行」以上の聴き応えです。

そして2番手は、やはりポピュラー・シンガーとして第一級の実力の持ち主、サミー・デイヴィス・ジュニアです。本名サミエル・ジョージ・デイヴィス・ジュニアは、1925年(大正14年)にニューヨークのハーレム地区でアフリカ系アメリカ人の父と、プエルトリコ系ユダヤ人の母との間に生まれました。一家は踊りや歌を披露するボードビル・ショーを生業としており、サミーはなんと3歳で初舞台を踏んだという生粋の芸人です。ですから歌はいうまでもなく、タップダンスもお手の物の万能選手なのですね。

彼の経歴で特筆すべきは、フランク・シナトラに見いだされ、ディーン・マーティンらとのいわゆる「シナトラ一家」のメンバーとして多くの映画に出演していたことでしょう。そういうこともあって、サミーといえば映画俳優あるいはポピュラー・シンガーとしてしか理解されていない面がなきにしもあらずですが、今回収録した「ユー・アー・ザ・トップ」「チーク・トゥ・チーク」をお聴きになれば、誰しもが彼をトップ・ランクのジャズ・ヴォーカリストと認めることでしょう。

対するカーメン・マクレエは、第14号「カーメン・マクレエ」で詳しく紹介しましたが、「エラ、サラ、カーメン」と、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーンという黒人ジャズ・ヴォーカリストを代表する大物と同列に並び称されている事実を挙げるだけで、彼女のジャズ界におけるスタンスがおわかりかと思います。

ジャズの王道コンビたち

そしてまさにジャズ・ヴォーカルを代表する黒人女性歌手、エラ・フィッツジェラルドの対戦相手はジャズそのものを代表する超大物、トランぺッターにしてジャズ・ヴォーカルの開祖でもあるルイ・アームストロングです。これこそ「大物同士の顔合わせ」の典型でしょう。先ほど、デュエットは臨時編成だから希少と書きましたが、エラとルイの組み合わせは若干例外かもしれません。今回収録した「レッツ・コール・ザ・ホール・シング・オフ」が収まっていたアルバム『エラ・アンド・ルイ・アゲイン』(ヴァーヴ)の他にも、このシリーズ最初のアルバム『エラ・アンド・ルイ』(ヴァーヴ)が、そして創刊号に収録した、ふたりのデュエット「サマータイム」を含むアルバム『ポーギーとベス』(ヴァーヴ)と、このコンビは半ば定番化しているのです。

そしてエラと並ぶ黒人ジャズ・ヴォーカリスト一方の大物、サラ・ヴォーンのお相手はビリー・エクスタインです。サラについては第3号「サラ・ヴォーン」、第28号「同vol.2」で詳説したのでくり返しませんが、エクスタインのことは説明が必要でしょう。一般のジャズ・ファンで彼のことを知っている方は少数派といっていいと思います。

ヴォーカルの他にトランペット、トロンボーンもこなすウィリアム・クラレンス・エクスタイン、通称ビリー・エクスタインは1914年(大正3年)にアメリカ東北部ペンシルヴァニア州ピッツバーグに生まれました。注目すべきはこの時代の黒人ジャズ・ミュージシャンとしては珍しく、ワシントンのハワード大学に進学しているのですね。在学中から歌手活動を始め、38年には大都市シカゴに進出、時代はスイング・ミュージック全盛期です。39年にはビ・バップ・ピアノの開祖、バド・パウエルにも影響を与えた大物ピアニスト、アール・ハインズの楽団に加わり、歌手としての名声を確立させています。

その後ジャズの中心地ニューヨークに進出してソロ歌手として独立しますが、44年に史上初のビ・バップ・オーケストラと呼ばれたビッグ・バンドを結成したのですね。そのメンバーが凄い。最初の音楽監督がトランぺッター、ディジー・ガレスピーで、メンバーには天才アルト・サックス奏者、チャーリー・パーカーが在籍していたのです。エクスタインはジャズ史の仕掛け人的なキーパーソンだったのです!

異ジャンル対決の面白さ

ブルース界の巨人、B・B・キングの名前は音楽ファンなら一度は聞いたことがあるでしょう。本名ライレイ・B・キングは、1925年(大正14年)アメリカ南部ミシシッピ州に生まれました。43年にブルースのメッカと呼ばれたテネシー州メンフィスに移住し、ギタリストとしての腕を磨くと同時にラジオのDJを始めます。51年に「スリー・オクロック・ブルース」がリズム&ブルース(R&B)・チャートの1位となり、以後多くのヒット曲を世に送り出し、名実ともにブルース、R&B界のキングとなっていったのでした。

相手のダイアン・シューアは1953年(昭和28年)、アメリカ西海岸北部、カナダに接するワシントン州に生まれました。生後間もなく失明してしまいますが9歳のころから歌を習い始め、70年代にカントリー&ウェスタンの歌手としてデビューしています。79年にモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルに出演し、テナー・サックス奏者のスタン・ゲッツに認められます。そして82年にゲッツとともにホワイトハウスで開かれたジャズ・パーティに出演し、GRPレコードからジャズ歌手としてのデビューを果たしたのです。黒人ブルースマン対白人カントリー・シンガー上がりのこの組み合わせが歌うヒット・ソング「アイ・キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」、どんなあんばいか楽しみですね。

洗練のコンビネーション

第19号に登場したアメリカの国民的歌手、ビング・クロスビーの相手は、第31号「アントニオ・カルロス・ジョビン」、第32号「コール・ポーター・セレクション」に登場した白人女性ヴォーカリスト、ロージーと愛称されたローズマリー・クルーニーです。彼女は1928年(昭和3年)にアメリカ中東部ケンタッキー州に生まれました。お爺さんが市長を3期務めたというのですから、なかなかの名門一家のようですが、父親がアル中のため子供時代は不遇。妹とラジオ局のオーディションに合格し45年にザ・クルーニー・シスターズとしてデビューします。51年に「家へおいでよ」(第18号「昭和のジャズ・ヴォーカルvol.2」で江利チエミの歌唱を収録)が大ヒットし、その後も「マンボ・イタリアーノ」などのヒットを飛ばしスターの地位を確立させると同時に、テレビ、映画に進出し、女優としての名声も得るようになったのでした。

1928年(昭和3年)生まれのジャッキー・ケインと、21年(大正10年)に生まれたロイ・クラールによる男女白人ヴォーカル・グループ、ジャッキー・アンド・ロイは、ジャズ界には珍しいおしどりコンビです。奥さんのジャッキーはアメリカ五大湖地方のウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。旦那のロイはお隣イリノイ州シカゴ生まれです。46年にシカゴに出てきたジャッキーはロイと出会い、48年に結婚。ヴォーカル・グループを結成し、ビ・バップを大衆化したサックス奏者、チャーリー・ヴェンチュラのバンドで歌い有名になりました。彼らの都会的でお洒落なサウンドは、年季の入ったジャズ・ファンから高く評価されています(第15号「グループ・ジャズ・ヴォーカル」に収録)。

現代を代表する顔合わせ

最後に登場するカート・エリングは1967年(昭和42年)にイリノイ州シカゴに生まれました。子供のころは聖歌隊の指導をしていた父からコーラスを習いますが、ジャズに触れたのは大学生になってから。90年代に新生ブルーノート・レーベルと契約。その後コンコード・レーベルに移籍し、2009年に出したアルバム『ディディケイテッド・トゥ・ユー』(コンコード)でグラミー賞を受賞しています。

対するカサンドラ・ウィルソンは第26号「現代のジャズ・ヴォーカル」、第37号「カサンドラ・ウィルソン」でご紹介したとおり、現代ジャズ・ヴォーカルの第一人者の貫禄を誇示する黒人女性ヴォーカリストです。このふたりの組み合わせは、まさに現代ジャズの息吹を感じさせる素晴らしいものとなっています。

文/後藤雅洋(ごとう・まさひろ)
日本におけるジャズ評論の第一人者。1947年東京生まれ。慶應義塾大学在学中に東京・四谷にジャズ喫茶『い~ぐる』を開店。店主としてジャズの楽しみ方を広める一方、ジャズ評論家として講演や執筆と幅広く活躍。ジャズ・マニアのみならず多くの音楽ファンから圧倒的な支持を得ている。著者に『一生モノのジャズ名盤500』、『厳選500ジャズ喫茶の名盤』(ともに小学館)『ジャズ完全入門』(宝島社)ほか多数。

※隔週刊CDつきマガジン『JAZZ VOCAL COLLECTION』(ジャズ・ヴォーカル・コレクション)の第43号「デュエット・ジャズ・ヴォーカル」(監修:後藤雅洋、サライ責任編集、小学館刊)が発売中です(価格:本体1,200円+税)

第43号「デュエット・ジャズ・ヴォーカル」(監修:後藤雅洋、サライ責任編集、小学館刊)

※ エラ・フィッツジェラルド|圧倒的な歌唱力、抜群の安定感を聴かせる「女王」 

※ サラ・ヴォーン|声を楽器に新しいスタイルを築いた技巧派

※ フランク・シナトラ|歌をリアルに伝える圧倒的な表現力と技術

※ ルイ・アームストロング|ジャズの父、そしてジャズ・ヴォーカルの父

※ 若き美空ひばりJAZZを歌う!今なお輝き続ける「昭和ジャズ歌」の個性

※ ボサ・ノヴァ・ヴォーカル|ブラジル・リオで生まれ世界を癒した音楽の新しい波

※ ビリー・ホリデイ|強烈な人生体験から生まれた歌のリアリティ

※ ナット・キング・コール|楽曲表現と個性発揮の見事な両立

※ エラ・フィッツジェラルド|エラの歴史はジャズ・ヴォーカル・ヒストリー

フランク・シナトラ|ジャズとポップスを繫ぐトップ・スター

※ アニタ・オデイ|声の欠点を個性的魅力に変えた実力派

※ チェット・ベイカー|ジャズ歌の常識を変えた無垢な個性

※ カーメン・マクレエ|豊かな情感と構築力で歌の魅力を表現

※ グループ・ジャズ・ヴォーカル|官能的な極上のハーモニー!

クリスマスのBGMに最適!聖夜を彩るジャズ・ヴォーカル・クリスマス

※ ヘレン・メリル|深い情感をたたえるハスキー・ヴォイス

※ 昭和のジャズ・ヴォーカル|世界に飛び出した日本のジャズの歌姫たち

※ ビング・クロスビー|古きよきアメリカを体現する「囁きの魔術師」

※ 映画のジャズ・ヴォーカル|映画音楽はジャズ名曲の宝庫

※ ジューン・クリスティ|ドライでクールな独創のハスキー・ヴォイス

※ ガーシュウィン・セレクション|ジャズマンが愛した「名曲王」

※ メル・トーメ|他の追随を許さないジャジーなヴォーカリスト

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