文/編集部

全国の名門高校の青春食堂を訪ね歩く食の旅人として6月5日夜放映のTBS「マツコの知らない世界」にも登場!の文筆家・鈴木隆祐さんが、これまで『サライ.jp』に寄稿いただいた「東京実用グルメ」記事の数々をまとめてご紹介しよう。

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坂口安吾が100人前頼んだ伝説のカレー!
東京・石神井『辰巳軒』のカレーライス

https://serai.jp/gourmet/134319

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運ばれてきたカレーは、見事なまでの昔カレーだった。でろんとしたソースは、ラードで小麦粉を炒めたルーの粉っぽさが奥に感じられる。そして、味がともかく濃厚だ。辛いというより塩っぱさが立っていて、甘味と酸味も同時に襲ってくる。これが皿の半分によそわれるのでなく、給食みたいにライス全面にかかっている。

昭和41年生まれの僕にも、懐かしいを超えた未知の味だ。いわゆる昭和の黄色いカレーと一味も、二味も違う。

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立教大生のソウルフード!
池袋『セントポールの隣』の「白いカツ丼」

https://serai.jp/gourmet/138120

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しかしこの店の名物は、なんといっても「白いカツ丼」だ。鶏胸肉を使用したあっさりしたカツにきめ細やかな山芋とろろがふんだんにかけられ、海苔に胡麻と青ねぎが散らしてある。脇にはキムチと温玉。これをやや甘めの出汁醤油をさっとかけてかっ込むのだが、初めて口にした際には「名物に旨い物なしとは嘘である!」と快哉を叫んだものだ。

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老舗蕎麦屋で昔味のかき揚げを味わう!
上野『翁庵』の「イカ丼」

https://serai.jp/gourmet/144043

『翁庵』の「イカ丼」。野菜っけとは無縁の見た目だが、ネギがしっかり入って、イカを引き立てている。

そして、このかき揚げ単体の魅力をより堪能させるのが「イカ丼」(800円)。ただでさえカリッとは揚げていないかき揚げがお重に2片入って、しっかり蓋をされて出てくるから、けっこうぶよぶよだが、そこからして蕎麦屋の天丼だ。蕎麦つゆより辛いくらいの天つゆがしっかりかかっており、小粒で立った固めの炊き具合の米によく染みている。大体において、かき揚げの具材もイカの他はネギだけと潔い。

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駅ビル老舗レストランの混沌を楽しむ!
浜松町『パラタン』の「ドイツ風ハンバーグ」

https://serai.jp/gourmet/147598

パラタン・バーグ断面 (1)

なにがドイツ風かというと、ロングソーセージがハンバーグの上にドンと乗っているだけではない。ドイツ料理の定番、キャベツの酢漬けのザワークラウトが人参のグラッセやポテトフライ、茹でたブロッコリーとともに付け合わせとなっている。

ハンバーグも、ナイフを置いただけで肉汁が溢れてくる、期待を裏切らない出来だ。さすがドイツ。上記付け合わせもむろんだが、味つけの上でもビールがどんどん進んでしまうコンポジションとなっている。

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鶏レバーのピュアな旨味に悩殺される!
浅草『菜苑本館』の「純レバ」

https://serai.jp/gourmet/152007

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ニラレバには豚レバーがお定まりだが、レバーだけを堪能するにはやはり鶏レバーがいい。そのほっこりとした旨味を引き出すには甘辛煮が王道の食し方だが、純レバもたれの甘じょっぱさが共通している。

そして、甘辛煮では生姜を効かすが、純レバではニンニクが前面に出る。さらに鷹の爪のピリリとした辛味が否応なしに食欲を刺激する。

 

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揚げ物愛にあふれた極上フライワールド!
高円寺『あげもんや』のあげもん

https://serai.jp/gourmet/158606

トロトロの角煮を挿み揚げたカツはソースをかけないでも食べられる逸品。

その帆立フライにサクッとナイフが入り、断片が覗くのだが、これが見事なレアで、一瞬肌色をしたウズラの卵かなにかに見えた。いてもたってもいられず、単品(220円)でオーダー。まずレモンを搾って、塩で半分の半分、ついで醤油で残りを、後の半身はソースでいただく。

旨い!

衣はいっそう軽やかでフワッとしている。噛め締めれば、スッと貝の肉に歯が通り、口中に立ちこめる甘い濃厚な魚介の薫りに咽せそうになる。また、その余韻が素晴らしい。これはビールが欲しくなる!

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カレーの海にとろける肉の旨み!
新宿『モンスナック』の元祖サラサラカレー

https://serai.jp/gourmet/162254

スプーンですくって口に運ぶと、しっかり煮込まれた肉の脂身が舌でとろける。この感触が、家カレーではなかなか出せないのだ。

この店のファンのブログによれば、なんでも昼時が狙い目という。「忙しさのあまり、カレーや肉をついうっかり多めに盛ってしまう可能性がある」のだとか。どうもぼくはそんな当たりを引いたようだ。

正直、普通盛りのライスでは持て余してしまうほど、ソースもたっぷり張られている。これぞ「カレーは飲み物」である。

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レバー好きには悶絶の旨さ!
大井町『プロヴァンス』の絶品ドリア「オペラ」

https://serai.jp/gourmet/165862

この店でのイチオシは何と言っても『オペラ』(1100円)だ。炒めたレバーをドミグラスベースのソースで仕上げ、バターライスの上にかけ、チーズを降ってオーブンで焼き、目玉焼きとホワイトアスパラをトッピングした一品。レバー好きなら悶絶するほど旨い。

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地粉の甘み漂う武蔵野うどんの真骨頂!
東久留米『ますや製麺』の肉汁うどん

https://serai.jp/gourmet/171045

『ますや製麺』の肉汁うどんは780円するが、大盛りは無料なので、むろんそちらにしてもらう。出てきた時には想定外のボリュームにのけ反るが、案外ペロリと行けてしまうのも、麺のコシとつるみのバランスのよさのおかげだ。

珍しく一皿に通常の精白麦の「白」が7割、地粉の「黒」が3割よそわれる。この盛りつけ自体、どこか讃岐と武蔵野の合体を見るようだ。

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合わせて175歳超の音楽家夫婦が切り盛り!
江古田『砂時計』は音大生が集うユニーク洋食店

https://serai.jp/gourmet/175627

「ポパイスパゲティ」(980円)は文字通り、一把分はあろうかというホウレン草とベーコンの炒めがふんだんに麺の上に乗り、さらには巨大なオムレツで覆われている。オムレツにナイフを入れ、麺を引きずり出す感じに男心をくすぐられる、ダイナミックなパスタだ。どちらも雰囲気をいい意味で裏切る、パワフルな味と盛りつけである。

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よろず屋的大衆食堂の鑑!
要町『なみき食堂』の懐かしオムレツ

https://serai.jp/gourmet/183819

なにより感心したのがオムレツである。値段が220円と破格なので、玉子2個使用のサイズ感だが、美しくラグビーボール状に成形されたオムレツの中には、しっかり炒められた玉ねぎのみじん切りと挽肉が入っており、思った以上にトロっとよい具合に焼けている。

子ども時分、今は亡き母がこのタイプのオムレツを主に作ってくれたせいか、実は筆者の大好物なのだ。

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街場中華の本領!
石神井公園『龍正軒』のレバ入りホイコーロ

https://serai.jp/gourmet/188445

次いで回鍋肉(ホイコーロ)を注文。これが絶品だった。人参もピーマンもキクラゲも入っていて、甜麺醤は控えめで、おろしニンニクが効いている。

さらにアクセントを加えるのが豚肉と一緒に入ったレバー。これが味に一気に複雑さを加えるのだ。

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懐かし洋食の濃やかな技が光る!
浅草『とんかつ やまと』

https://serai.jp/gourmet/193701

なんと言っても、こちらはロース生姜焼きが秀でている。もっとも、見た目はいわゆるトンテキに近い厚切りで、ポークソテーと呼ぶべきかもしれない。同店の場合、生姜もだが、玉ねぎもたっぷり入った、肉になみなみとかかるソースがウリなのだ。

要はシャリアピン・ステーキ風。肉は見事に赤味を保ったレアに焼けており、ナイフでカットすれば肉汁が溢れ出る。そこにこのソースを絡みつける。玉ねぎの甘みが生姜の刺激と相まって、堪えられない旨みを醸す。それはライスを即座に所望せざるを得ない濃厚さだ。

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藤井四段の出前で話題!
千駄ヶ谷『みろく庵』は酒肴充実の名居酒屋だった

https://serai.jp/gourmet/212910

とりわけ唸ったのが手羽先にんにく焼き(380円)である。出てくるのに多少時間がかかったが、肉付きのよい手羽がこんがり芳ばしく、見事な色合いで焼き上がっている。味は薄からず濃からず、くどくない程度にニンニクの香りが肉の芯まで染み渡っている。

こやつに添えられたカットレモンをちょいと絞る。すると、味がグンと引き締まる。七味もかけてみたが、ないほうがこの絶妙な味つけを堪能できる。

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昭和喫茶の懐かし洋食!
新板橋『パーラーかなめ』のオムライス

https://serai.jp/gourmet/214464

供されたオムライスは、予想以上にでっぷりとしたボリューム。中のライスはあっさりとしつつ、海老の香味にアタックがあり、ドミグラスソースとの取り合わせも意外だった。

卵はふわとろとは言えないが、しっかりとライスを覆っており、ドミグラスソースとケチャップが一緒にかかっているところに妙味がある。

スプーンでザクッと割ると、覗いたチキンライスにはちゃんと海老が入っている。チキンライスの味つけは控えめで、そこでドミグラスソースが効果を発揮する。

以上、「青春食堂の旅人」鈴木隆祐さんの東京実用グルメ記事をまとめてご紹介した。気軽に楽しめる、知られざる実力店の数々! 食べ歩きの参考にしていただきたい。

【参考図書】
『東京実用食堂』
(鈴木隆祐・著、本体1300円+税、日本文芸社)
http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/

ISBN978-4-537-26157-8

『名門高校 青春グルメ』
(鈴木隆祐・著、本体1728円、辰巳出版)
http://www.tg-net.co.jp/item/4777820092.html

引用文・写真/鈴木隆祐(すずき・りゅうすけ)
1966年生まれ。著述家。教育・ビジネスをフィールドに『名門中学 最高の授業』『全国創業者列伝』ほか著書多数。食べ歩きはライフワークで、『東京B級グルメ放浪記』『愛しの街場中華』『東京実用食堂』などの著書がある。近著に『名門高校 青春グルメ』がある。

▼連載中「名門校の青春食堂」の記事もどうぞ!

 

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