新着記事

アルプスの古都「インスブルック」夏に長期滞在したくなる理由とは?

文/印南敦史もうすぐ、ジメジメとした日本の暑い夏がやってくる。最高気温が更新されるた…

認知症の早期発見に有効!脳ドックの画像検査でわかること【名医に聞く健康の秘訣】

取材・文/わたなべあや検診と言えば、胃がんや大腸がん検診、肺がん検診が代表的ですが、…

巨匠・小津安二郎の不朽の名作が「4Kデジタル修復」され一挙上映

文/編集部黒澤明、溝口健二とならぶ、世界に誇る日本映画の巨匠・小津安二郎(おづ・やす…

愛宕街道・古道に佇む「平野屋」で京都の“旬”を味わう【京都、初夏の新緑散歩】

取材・文/末原美裕「お伊勢七たび、熊野へ三たび、愛宕さんへは月詣り」江戸時代…

【夕刊サライ/コウケンテツ】「世代へ受け継ぐ味」郷土色溢れるお雑煮は、伝えていきたい究極の和食(コウケンテツの料理コラム 最終回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金…

【閲覧注意】カレー好きもカレー嫌いになるイヤな妄想画像10コ【イシグロ妄想研究所 vol.4】

構想・文・イラスト/石黒謙吾(分類王)「カレーはどうもニガテで食べられない……」とい…

知られざる履きやすい下駄!東京浅草・高久の八ツ割下駄【メイドインニッポン紀行】

取材・文/編集部東京・浅草は新仲見世通りに店を構える高久は、創業80年の江戸小物・雑…

ヘルニア患者の長引く腰痛、原因は「トリガーポイント」だった【川口陽海の腰痛事件簿 第1回】

取材・文/わたなべあや腰痛トレーニング研究所の川口陽海(かわぐち・はるみ)さんは、自…

【名門校の青春食堂 第6回】早稲田中学校高等学校×メルシーのラーメン(東京・早稲田)

文/鈴木隆祐早稲田生に愛されてきたワセメシの代表選手『メルシー』のラーメン早…

なぜお金持ちは長生きする?健康と経済の共通点から導く「健康長寿の秘訣」とは【予防医学の最前線】

文/中村康宏「お金」と「健康」といえば、サライ世代の多くの人が気にかけている問題では…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

美味

鶏レバーのピュアな旨味に悩殺される!浅草『菜苑本館』の「純レバ」【大人の東京実用グルメ5】

純レバ(アップ)_s

文・写真/鈴木隆祐

B級グルメは決してA級の下降線にはない。それはそれで独自の価値あるものだ。酸いも甘いも噛み分けたサライ世代にとって馴染み深い、タフにして美味な大衆の味を「実用グルメ」と再定義し、あらゆる方角から扱っていきたい。

*  *  *

浅草はかつて東京最大の盛り場だった。戦後、東京西部に人口の移動と流入があったため、その座を新宿・渋谷・池袋という副都心に奪われたが、最近はインバウンド外国人が大挙して押しかけており、再び賑わいを取り戻している。

もっとも、その喧噪も駅近辺から花やしきにかけて。そこから言問通りを横断した先の吉原に続くエリア、千束通り商店街には、古きよき浅草の暮らしが今なお残っている。僕はこの辺りを「裏原宿」にかけて「裏浅草」と勝手に名づけ、けっこう通い詰めている。

1,200mに及ぶその商店街の入り口に、浅草でも名物に数えられる「純レバ」を出す『菜苑本店』がある。この純レバ、江東区の砂町銀座の「銀座ホール」が元祖との説もあるが、やはりこちらを本家としておきたい。

他にも純レバは、錦糸町の『菜苑支店』(ドラマ版『孤独のグルメ』に取り上げられたのはこちら)、浅草駅近のすしや通りの『あづま』(本店店主の弟が経営)といった、同店の系列店の看板メニューにもなっている。

菜苑

「いらっしゃいませ」と染め抜かれた独特の暖簾をくぐると、街場中華のワンダーランドが展開する。

菜苑(内観)_s

今では娘さんも厨房で威勢よく鍋を振るう。ともかく昼夜別なくひっきりなしに客が来るため、水やビール、おしぼりはセルフサービスなので要注意。

奇怪なメニューのネーミングに主人の遊び心が偲ばれる。「あれ」とは鶏から揚げのチリソースがけのことで、これまたビールの当てに向く。

奇怪なメニューのネーミングに主人の遊び心が偲ばれる。「あれ」とは鶏から揚げのチリソースがけのことで、これまたビールの当てに向く。

純レバを一言で言えば、焼き鳥のレバーを甘辛く炒めててんこ盛りにし、ねぎをふんだんに載せた代物。これが飯の上にかかると、純レバ丼となる。たまに食べると、よくぞこんな珍味を発明したなーと感心する。

しかし、なんでまた“純レバ”なのか? 聞くと「ニラレバみたいにニラが入ってなく、純粋にレバーだけだから」とのこと。

ニラレバには豚レバーがお定まりだが、レバーだけを堪能するにはやはり鶏レバーがいい。そのほっこりとした旨味を引き出すには甘辛煮が王道の食し方だが、純レバもたれの甘じょっぱさが共通している。

そして、甘辛煮では生姜を効かすが、純レバではニンニクが前面に出る。さらに鷹の爪のピリリとした辛味が否応なしに食欲を刺激する。

細かくカットされたレバーはいったん素揚げされ、充分に火が回っており、臭みを吹き飛ばしつつ、独特の香りは残している。そこへネギの歯触りと香味が上手くサポートする。

純レバは時々思い出したように食べたくなる、中毒性の高いメニュー。今や丼で1100円(ランチなら800円)、単品でも800円するが、その価値は充分ある栄養満点の珍味だ。

純レバは時々思い出したように食べたくなる、中毒性の高いメニュー。今や丼で1100円(ランチなら800円)、単品でも800円するが、その価値は充分ある栄養満点の珍味だ。

この純レバを食べると米が欲しくなるが、ぐっとこらえて純粋に純レバを味わうことにする。注文した大瓶ビールは瞬く間に空になった。これがレモンサワーにはもっと合う。

焼鳥屋で頼むと、せいぜい1〜2本で飽きてしまうレバーなのに、どうしてこうも箸が止まらないのだろう。要は辛味とネギとのアンサンブルが見事なのだ。鶏レバーに苦手意識を持った人でも、純レバならすんなりと食べられることだろう。

鶏レバーは豚・牛に較べてもカロリー、コレステロール値ともに低いので、量を食べてもそんなに心配はない。鉄分も、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAも、たんぱく質の代謝に不可欠なビタミンB6、葉酸と協力して赤血球中のヘモグロビン生成を助けるB12も多く含まれているし、亜鉛によるデトックス(解毒)効果も認められている。つまり純レバは、実は相当なアンチエイジング食でもあるのである。

『菜苑本館』は、素ラーメンの下に角切り焼豚が潜る「DXラーメン」や、チャーハン版天津丼の「たまごっち」などユニークメニューの宝庫なのだが、他が霞んでしまうくらい、やはり純レバの圧倒的存在感が際立っている。

浅草に来たらまずは「純レバ」でしっかり滋養をつけてから、さらなる庶民の味が息づく裏浅草を精力的に食べ巡ってもらいたい。

他にカニ湯麺にとんかつと、3つの看板メニューを押し出すが、客の大半はまず純レバをオーダー。レモンサワーの友に打ってつけで、瞬時に平らげてしまった。

『菜苑本館』では他にもカニ湯麺にとんかつと、3つの看板メニューを押し出しているが、客の大半はまず「純レバ」をオーダーする。レモンサワーとの相性抜群で、合わせて食べると瞬時に平らげてしまう。

【味の工房 菜苑 本店】
■住所/東京都台東区浅草3-10-6
■アクセス/東京メトロ 入谷駅 徒歩約10分 浅草駅 約徒歩15分、つくばエキスプレス 浅草駅 徒歩約5分
■営業時間:月~金は11:55~14:00と17:00~翌3:00、土・日・祝は11:30~15:00と17:00~翌3:00

文/鈴木隆祐
1966年生まれ。著述家。教育・ビジネスをフィールドに『名門中学 最高の授業』『全国創業者列伝』ほか著書多数。食べ歩きはライフワークで、『東京B級グルメ放浪記』『愛しの街場中華』『東京実用食堂』などの著書がある。

写真/鈴木隆祐+田中恵

【参考図書】
『東京実用食堂』
(鈴木隆祐・著、本体1300円+税、日本文芸社)
http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/pages/ISBN978-4-537-26157-8.html

ISBN978-4-537-26157-8

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 昭和喫茶の懐かし洋食!新板橋『パーラーかなめ』のオムライス【大人…
  2. 藤井四段の出前で話題!千駄ヶ谷『みろく庵』は酒肴充実の名居酒屋だ…
  3. 懐かし洋食の濃やかな技が光る!浅草『とんかつ やまと』【大人の東…
  4. 街場中華の本領!石神井公園『龍正軒』のレバ入りホイコーロ【大人の…
  5. よろず屋的大衆食堂の鑑!要町『なみき食堂』の懐かしオムレツ【大人…
PAGE TOP