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【名門校の青春食堂 第5回】駒場東邦高等学校×三島のたこ焼き(東京・駒場)

文/鈴木隆祐

食べ応えある『三島』の関東風たこ焼きには生徒への想いが込められていた

イラスト/若菜由三香

駒場東邦中高(駒東)は前回紹介した筑波大附属駒場中高(筑駒)の真裏にある。ということは、学校グルメ的には両校を分けて捉えるべきではないだろう。ぼくが見聞した限り、極端に双方のテリトリーが変わるわけではないが、紹介すべき店も多いので回を分けた。

駒場東邦は立地的には池尻大橋駅にも足がかかっているのだが、やはり駒場東大前の店を選んでおこう。それもこの一店というなら、たこ焼きの『三島』に尽きる。数年前、同校の取材に行った帰りに寄ると、生徒がうじゃうじゃ唸っていた。他校の制服も見かけたが、都立駒場か国際高校か……。筑駒生は私服なので判別がつく。隣の駄菓子屋の『たかはし』、それに『おいかわ』がまだ営業しており、中学生はそちらに吸い込まれていた。

駄菓子屋が並列するのは珍しく、テレビ東京の『もやサマ』にも紹介されたのだが、この1〜2年で相次いで閉じてしまった。そして、駄菓子屋の閉店は『三島』の客足にも大きく響いたらしい。

『三島』は真鍋英紀さんと妻の百合子さんの二人で切り盛りする店だが、なぜ三島と名乗るかを問うと、思わぬところにリンクした。百合子さんの父が浅草千束で1950年創業というたこ焼き屋をやっていて、その名が『三島屋』。ぼくも浅草の名画座で映画を観る行きがけなどに、しょっちゅう寄った店だった。

『三島屋』ではお好みもたこ焼きも焼そばもなんでも300円。今川焼なんて80円。しかも、どれも旨いのだ。ある時、そばもんじゃをテイクアウトすると、そのポリ袋に入ったユルユルが電車の中で溶解しだし、回りの乗客からすっかり白眼視されたことも。

そんな笑い話をするとすっかり打ち解け、百合子さんは店の歴史や昨今の高校生の利用状況を教えてくれた。

「三島屋の味を伝えたくて、1981年に開店したんです。価格もずーっとレギュラー12個300円に据え置いていました。それが最近じゃさっぱり(笑)。しようがなく10個入り350円に値上げしたけど、それでも高校生は12個入りよ。駒東の場合、通用門からの出入りができなくなり、登下校のルートが変わったのもあるんだけど…。でもね、明日はなんでも新聞部が取材に来るって」

『三島』は店内でもたこ焼きを楽しむことができる。早速レギュラーに、大人である以上、ビール中瓶450円も一緒に注文。ハフハフ……確かによく味わえば、モチっとして紅生姜の香りが立っている。『三島屋』ともちょっと違い、子どもの頃、よくフードコートで食べたような食感だ。ぶわぶわで時間が経って冷めても変わらずおいしく食べられそうだ。

「中高生が買ってくでしょう。食べ応えはあったほうがいいので、だからウチは流行りのカリトロにはしない。強力粉を使用し、しっかりとした生地を作ってます」

味を引き締めるため酢も少量使っているそうだ。そこまでの気遣いをしていたとは……。付近には上記以外にも、日本工業大学駒場高校や駒場学園もある、文字通りの高校密集地帯だ。こうした買い食い文化までコンビニに奪われないよう、ご夫妻にはもう一踏ん張りしていただきたい。

【学校データ】
駒場東邦中学校高等学校
男子校/創立:1957年
住所:東京都世田谷区池尻4-5-1
東邦大学の創立者の額田豊と都立日比谷高校校長だった菊地龍道により設立された当初からの進学校。出身者には浅田次郎(高1まで)、亀淵昭信、秋山仁、南雲吉則、松苗慎一郎、苫米地英人、高野和明ら。

【店データ】
三島
東京都目黒区駒場1-33-6
営業時間/11:00~14:30 16:00~19:00
定休日/日曜・祝日

文・写真/鈴木隆祐
1966年生まれ。著述家。教育・ビジネスをフィールドに『名門中学 最高の授業』『全国創業者列伝』ほか著書多数。食べ歩きはライフワークで、『東京B級グルメ放浪記』『愛しの街場中華』『東京実用食堂』などの著書がある。近著に『名門高校 青春グルメ』がある。

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