一度は所有してみたかったGT-R!

実用車としてのボーラと、趣味のクルマとしての300ZX50thアニバーサリー。かつてGTSニスモと『ジムニー』を所有していた時と同様に、2台を使い分けてクルマ趣味を満喫します。

またこの頃、「息苦しさを抱かず、また、抱かせないクラブ活動はできないものか?」と考えた末、和年さんは自身が発足人となって、車種やメーカー、オーナーの年齢を問わないクラブの運営を始めます。

気に入り、長く維持していたボーラ。しかしヤレ(経年による劣化)が進行したこともあり、乗り換えを検討します。

2007年にデビューしたGT-R。このモデルからGT-Rはスカイラインより独立し、新たな道を歩き出します。

2007年にデビューしたGT-R。このモデルからGT-Rはスカイラインより独立し、新たな道を歩き出します。

デビュー前から高い注目を浴びた、日産の『GT-R(R35型)』。もちろん和年さんにとっても、気になる存在でした。その価格から「とても買えるクルマじゃない」と、購入を検討することはなかったのですが……。デビューから数年を経て中古車が出回り、頑張れば手に届く価格の個体が出始めたため、「一度は乗っておこう」と購入に踏み切ります。

「一言でいえば、GT-Rはすごかったですね。このGT-Rには面白い話があって、購入してものの数か月でボディを傷付けられてしまい、ディーラーに持ち込んだんです。数日後、ディーラーから『移動中に誤って破損してしまった』って連絡がありました。ちゃんと直してくれれば、それで問題なかったのですが、最終的に交換処置となり、年式が新しい別の個体となって帰ってきました。日産はGT-Rに関して、特にサポートが手厚いことを実感しましたね」

ボーラとGT-Rが入れ替わったことで、駐車場には300ZX50thアニバーサリーとGT-Rが並びます。その光景は壮観ですが、土地柄、冬場の凍結路や降雪に強い実用車が必要で、また「もっと程度の良いZ31を手に入れたい」という思いもあり、和年さんは300ZX50thアニバーサリーを手放すことを決めます。乗り換えるクルマを検討していたところ、中古車店で程度の良いボーラを発見。元々、ボーラの使い勝手が気に入っていたこともあり、300ZX50thアニバーサリーを下取りに出して購入します。

最終型までGT-Rとお別れ。新車同然の300ZX50thアニバーサリーを購入!

42歳を迎えた和年さん。知人の紹介により今の奥様と知り合い、翌年に結婚します。奥様にも運転してもらうため、和年さんは購入から間もないボーラから、小型でATを装備したフォルクスワーゲンの『ルポ』へと乗り換えます。

個体の入れ替えがあったものの、愛車として様々な場所へ走ってくれたGT-R。およそどういうクルマか理解したこともあり、一度、手放すことにしました。

「GT-Rは日本の宝といっていいくらい、素晴らしいクルマです。その上、毎年、改良モデルが登場し、どこまで高性能化するのか天井が見えません。ここらで一度GT-Rから離れて、R35の最終型を待つのもいいかなって思ったんです」

GT-Rを下取りに出し、新たに北米仕様のZ31に乗り換えた和年さん。その矢先、馴染みのフェアレディZ専門店店主より「海外の300ZX50thアニバーサリーのオーナーから『是非、日本人オーナーにクルマを売りたい』との相談を受けた」といった旨の連絡を受けます。聞けば程度の目安となるシートカバーが綺麗な状態で維持されている、正真正銘の極上車。和年さんにとって、とても魅力的な話ではあったのですが、いかんせん提示された金額が高すぎ、手が出せませんでした。

全てが純正を維持している300ZX50thアニバーサリーは、とても希少だそう。

全てが純正を維持している300ZX50thアニバーサリーは、とても希少だそう。

最初の打診から1年後。再びフェアレディZ専門店の店主より連絡があり、新たな金額が提示されました。おそらくこれが最後の打診であり、また再提示された金額ならば出せることもあって、和年さんは購入の意思を伝えます。

「納車された300ZX50thアニバーサリーは事前に聞いた通り、本当の極上車でした。内装も外装も新車同然で、これ以上のZ31は存在しないんじゃないでしょうか。大事に乗って、コンディションを維持しないといけませんね」

一方、奥様にも共用で使用してもらいたかったルポですが、「やはり運転が怖い」と拒まれます。実質、和年さんだけが運転することとなり、「それならば小さなクルマにこだわる必要はない」とルポを下取りに出し、大量の荷物を乗せられるシボレーの『アストロ』を購入します。

現在、駐車場には300ZX50thアニバーサリーとアストロが並び、まるでアメリカのような雰囲気に。乗って楽しく、眺めているだけでも楽しい。和年さんは現状の2台に、大変満足しているそうです。

「アストロは沢山の荷物を運ぶ実用車として本当に良くできていて、もっと早くに出会いたかったと本気で思いました。私は、クルマはオーナーを表現するツールのひとつだと思っています。クルマと、クルマから降りてきたオーナーの出で立ちを見れば、なんとなく性格や人柄って伝わりませんか。クルマと格好をあわせる人。クルマはクルマ、人は人と考える人。まったく無頓着な人。どれが良くてどれが悪いというわけではありませんが、話さなくともクルマと人を見ているだけで、楽しくなるんです」

誰もが楽しめるサークルを運営し維持するため、多くの人と繋がって新たな世界を拓くため、なにより楽しみながら自身を表現するため。和年さんは今日も300ZX50thアニバーサリーとアストロのステアリングを握ります。

取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。

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