色んなクルマに乗り継ぎ、最後に行き着いた「あがりの一台」は『ギャランVR-4』
さて、AMGのエンジンを載せたギャランに乗り続けていた彰さんですが、購入から11年を経て、ボディや各部の痛みが目に見えて進行。ラリー仲間より「いいかげんに買い換えろ」と声をかけられます。そのような話を聞きつけたのか、クルマを買い換えた先輩より三菱の8代目『ギャランVR-4』を譲られます。
「棚ぼたで、念願のVR-4を手に入れることができました。パワーはもちろん、絶妙なボディサイズに運転のしやすさ。乗っていて、しみじみと『本当にいい車だな』って感じました」
廃車にした先代のギャラン同様、譲り受けたVR-
「次の車はどうするか?」と、色々なクルマに乗ってみるのですが、どうにも最新のクルマには馴染めません。そんな折、インターネットオークションでGDI(ガソリン直噴エンジン)を搭載したギャランが安価で出品されていたのを発見し、勢いで入札します。この頃の三菱のクルマはリコール隠し問題などでイメージが悪かったこともあり、競ることなく落札。数週間後に納車されます。
「程度が良さそうだったので入札しました。実際、届いたギャランはとてもきれいだったのですが……。乗ってみて、(VR-4と比べて)あまりのパワーのなさに愕然としました」
すぐにギャランを売ろうとしたものの、どこの中古車店、自動車修理工場も買い取ってくれなかったため、彰さんは不満を抱えたまま乗り続けます。
そんなある日、彰さんはインターネットで知った中古車店にVR-4があるのを知り、即座に連絡を入れます。程度も良く、購入すべく話を進めていたところ、なんと手違いで別の人に売却されるというトラブルが発生。中古車店は非を認め、新たに別のVR-4を見つけてきます。
しかし目の当たりにした黒いVR-4は、
「新たに購入したVR-4は、エンジンの調子はそこまで悪くありませんでした。涌き上がるようなパワー感に『やっぱり、これだよな』って、つい頷いてしまいましたね。この先、何歳で免許証を返納するか分かりません。けれどその時までVR-4に乗り続けようって、この時、思いました」
この日より、末永くVR-4に乗り続けるため、スペアカーやスペアパーツを探し始めた彰さん。最近、程度の良いVR-4を見つけ、このまま今のVR-4を修理するか? それとも見つけたVR-4を修理のベース車両にするかで悩んでいるそうです。
「私にとって、クルマは友人ですね。40年もすぐ近くにいてくれる、とても身近で大切な仲間です」
ドライバーからナビゲーター、そして主催・運営側として競技に関わりながら、後進を見守る。年齢と共に形と関係を変えながらラリー人生を歩む彰さん。これからも終生の友人、VR-4で日本中の林道を走り続けるでしょう。
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。