AGEsの産生つまり体の糖化は、日常生活と密接に関係しています。それゆえ、体の糖化を防ぐ基本は、生活習慣を改善することにあります。
具体的には、食後の急激な血糖上昇を抑えるため低GI食品を摂取すること、そして抗糖化物質(カモミール、ヨモギ、緑茶、ビタミンB1、ビタミンB6など)を摂取することが挙げられます(※6)。
また運動は非常に大切です。筋肉を動かし筋肉量を増やすことによって、血糖値を下げる受容体を増やしたり、糖そのものの消費を増やす効果が期待できるからです。AGEsの血中濃度を下げる薬や、インスリン抵抗性を改善するホルモン投与療法も存在しますが、まずは生活習慣を変えることが基本となります。
以上、今回はあまり知られていない体の「糖化反応」と原因物質AGEsについて解説しました。糖化は多くの病気や老化反応の共通するメカニズムとして注目されています。糖化を制御できれば、多くの病気になる可能性・病気が悪化する可能性を下げることができる、と言っても過言ではないでしょう。
糖化は生活習慣と直結しますので、上記で紹介した予防ためのポイントを意識しながら、生活習慣の改善を是非実践してみてください。
【参考文献】
※1.J Agric Food Chem 2000: 49; 2382-6
※2.日本食生活学会誌 2015: 25; 237-40
※3.Complication 2000: 5; 166-75
※4.Proc Natl Acad Sci USA 1997: 94; 6474-9
※5.Diabetes 2000: 49; 1714-23
※6.Food Funct 2016: 7; 2508-15
文/中村康宏
関西医科大学卒業。虎の門病院で勤務後New York University、St. John’s Universityへ留学。同公衆衛生修士課程(MPH:予防医学専攻)にて修学。同時にNORC New Yorkにて家庭医療、St. John’s Universityにて予防医学研究に従事。