文/満尾正
新型コロナウイルス感染症など、さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。コロナ禍の今、本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。
驚くほど多くの食品に添加されている!
昔は、人々に食べ物を提供してくれるのは、農業や漁業、畜産業に携わっている人たちでした。しかし、今は「食品メーカー」がその大半を担っています。私たちが手にする食べ物の多くが、自動車や電化製品のようにメーカーによってつくられています。
カップ麺、スナック菓子、清涼飲料水などに限らず、スーパーマーケットで売られている食べ物はほとんど、なにかしらの工場ラインを通過しています。レトルト食品や缶詰、調味料はもちろんのこと、練り物やソーセージなども同様です。
こうした加工食品には、製造過程でさまざまなものが加えられます。いわゆる「食品添加物」です。添加物について、日頃から注意を払っている人も多いでしょう。
たとえば最近では、「亜硝酸ナトリウムには気をつけねば」ということを理解している人もいるはずです。亜硝酸ナトリウムは、ウインナー、ハム、明太子などに多用される発色剤で、発がん性が確認されています。
そのほかにも、いろいろ注意が必要な添加物がありますが、私がとくに緊張感を持ってチェックしているのが「リン」です。
リンは、私たちが健康を維持するために一定量が必要な物質ではあるものの、過剰になると動脈硬化を進め、免疫力を低下させ、腎臓病などいろいろな病気を引き起こします。
そして、現代人は摂取過剰になって当然なのです。なぜなら、驚くほどたくさんの食品にリンが添加されているからです。
私のクリニックでは、患者さんの血中リン濃度も測定しており、高値を示す人の食生活について聞いてみると、たいていが加工食品をよく食べています。そこで、それらを減らしてもらうと正常値に落ち着いていきます。
食事は、その内容が本当に大事なのです。
詳しくは後述しますが、リンのような有害物質をいたずらに摂取しないためには、「加工食品とはなんぞや」というところからの理解が必要です。
満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。