取材・文/池田充枝
岩合光昭(いわごう・みつあき)は動物写真で広く知られている写真家です。1950年、東京都に生まれた岩合は、動物写真家の父・岩合徳光に同行したガラパゴス諸島にて20歳を迎えます。その大自然に感銘を受けたことが契機となり、以後半世紀にわたり動物写真家として世界各地をフィールドに活動してきました。1979年には『海からの手紙』で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞、世界的グラフ雑誌「ナショナルジオグラフィック」の表紙を二度飾るなど、その作品は国内外で高い評価を得ています。
こうした大自然の野生動物の姿を追う一方で、人々の暮らしの傍らで生きる猫へも眼差しを向け、岩合がとらえた猫たちの写真は多くの人々の心を惹きつけてきました。2012年にはNHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」が放送を開始。2019年には初映画監督作「ねことじいちゃん」が公開されるなど、その活動の幅を広げています。
本展は、「島の猫」シリーズ、「やきものの里のネコ」シリーズを中心に、岩合光昭が日本各地で撮影した猫たちの写真作品、200余点を紹介します。
本展の見どころを、川崎市市民ミュージアム学芸員、中野可南子さんにうかがいました。
「猫の写真で絶大な人気を誇る岩合光昭さんは、世界的に活躍する野生動物写真家でもあります。当館では岩合さんが写真家としてステップアップするきっかけとなった木村伊兵衛写真賞の受賞作品『海からの手紙』を収蔵しており、1992年と2011年にも岩合さんの動物写真の展覧会を開催しています。
今回は猫の写真に特化した初の試みで、見どころの一つ目は「島の猫」シリーズです。当館の展示のために40点を新たにプリントし、広い展示室で大判プリントの写真作品を楽しんでいただけます。作品を選ぶにあたり、動物写真家としての岩合さんの独創性を意識しました。半世紀にわたり動物を追いかけ続ける岩合さんだからこそ引き出せる、猫の表情やしぐさ、構図、色彩と光の美しさがあります。
二つ目は「やきものの里のネコ」シリーズです。南関東では当館が初めての展示となり、日本各地の陶磁器の産地で撮影された約100点を展示します。猫の純朴な姿や夕陽に包まれる風景に、憧憬の念を抱く方も多いのではないでしょうか。
画面には写し出されない、時間の流れ、猫たちの気配は、土地とそこに生きる人々との暮らしの中で育まれたものです。そうした目には見えない部分を写し出す岩合さんの写真作品の魅力を感じ取っていただけましたら幸いです。
なお、5月6日(月・振休)に岩合光昭トークショー&サイン会を開催予定しています」
にゃんともカワイイ!!にゃんだか癒される!! ねこづくしの会場にぜひ足をお運びください。
【開催要項】
岩合光昭写真展 ねこづくし
会期:2019年4月23日(火)~6月30日(日)
会場:川崎市市民ミュージアム
住所:神奈川川崎市中原区等々力1-2(等々力緑地内)
電話番号:044・754・4500
http://www.kawasaki-musium.jp/
開館時間:9時30分から17時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日、5月7日(火)※ゴールデンウィーク期間(4月27日~5月6日)は休まず開館
取材・文/池田充枝