取材・文/林ゆり

女性の活躍が叫ばれる中、「マツキヨココカラ&カンパニー」では大塚製薬と連携して、女性が働きやすい環境を整え、ライフステージに応じた支援を行う『女性の健康と働きやすさを支える新たな取り組み』を開始している。どのような取り組みなのか、また、女性のライフステージにおける健康面の変化などについて、プレス向けセミナーが開催された。

「マツキヨココカラ&カンパニー」が新たな女性の健康支援プログラムをスタート

株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 常務取締役 小部真吾さん。

「マツキヨココカラ&カンパニー」は、働く女性の健康課題はキャリア継続と組織の持続的成長に直結する重要テーマだと捉え、新たに女性の健康支援プログラムをスタートした。グループ会社全従業員の7割以上を女性が占め、そのうち約半数が40代以上ということもあり、女性への健康支援は、より重要性が高いのだという。

「女性が生き生きと働くことが、最終的に企業価値を向上させると考えています」(マツキヨココカラ&カンパニー常務取締役 小部真吾さん)

2026年2月2日から新たな女性の健康支援策をスタートしたところ、10日で想定の3倍もの申し込みがあったそうだ。健康とキャリア継続について、何かしら悩んでいる女性が多いことがわかる。今回の支援策は、二つの課題に着目して実施している。一つ目は、継続就業と健康管理の両立だ。更年期症状での年間経済損失額は、2024年の経済産業省発表によると1.9兆円にも上る。二つ目は、増え続ける健康保険の医療費負担だ。2022年4月から不妊治療が健康保険適用となり、今後、健康保険組合の医療費負担が増える大きな要因となりうると考えられている。また、更年期障害における治療費についても考えなければいけないだろう。

そこで、プレコンセプションケア(妊娠前の健康管理)と更年期ケアについて、葉酸やエクオール含有のサプリメント全額(3か月分)購入補助など、具体的な施策を開始している。ライフイベントとキャリアアップでは、仕事を優先させてしまうという女性が多い状況を変え、「気づき」と「ケアの機会」を届けることで、最終的に働きやすく、離職率も下がるのではないかと予測。社会を変えるロールモデルになることを期待している。

ライフステージにおける女性ならではの体の変化

産婦人科医・医学博士・スポーツドクター・女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長の高尾美穂先生。

働く女性の健康支援が注目される理由のひとつが、人口減少だ。安心して仕事を続けられる環境を整える必要がある。ジェンダー平等の流れから、継続して働くために、女性だけに注目することに疑問を持つ人もいるかもしれない。だが、そこには重要な意味があることを、産婦人科医であり、産業医でもある高尾美穂先生が教えてくれた。

「ジェンダー平等といっても生物学的な違いがあります。病気の種類も違います」(高尾先生)

日本でも、2000年ごろから性差医療が行われている。これは、生物学的に、体調面での男女差があるからだ。実は、病気にも性差があり、男性特有の病気は、50代以降に増えるのに対して、女性は、20代から女性特有の病気に罹患しやすい時期が何度もあるという。さらに、月経の影響もあるのだ。

「生理で出血が続くだけでも不快ですよね。生理前のPMSは、人によっても差がありますし、検査してもわかりません。辛くて会社を休むといえば、怠慢だと思われるのではないかと不安になって無理をするわけです。そこで、PMSかどうか専門医に相談するなどして結果がわかることで、周囲にも理解を求められます。例えば、インフルエンザにかかったと話せば、その辛さは周囲の人にわかってもらえますよね」(高尾先生)

自分自身も、イライラや疲れやすいなどの症状があるときに、そろそろ生理前だからと気づけるように、専門医を受診することや基礎体温を測るなど、自分を知ることも大切だ。

「生理がいつも通りにこないなど変化を感じたら、更年期です。更年期は、生理が終わる前後5年ずつの10年と言われています。閉経の平均は、50歳。40歳を過ぎて、不調を感じ始めたら、それはもう更年期です。不調の種類は、200種類くらいあり、その後もエストロゲンは作られません」(高尾先生)

エストロゲンは、女性ホルモンの一種で、肌のうるおいや髪のツヤのほか、血管や骨の健康維持、LDLコレステロールを低下させるなど、カラダを守ってくれるホルモンだ。そのエストロゲンが新たに作られないとなると、守ってくれていたものがなくなるため不調を感じることになる。

「栄養、運動、休養が大事ですが、わかっていてもできないですよね。一人ですべて解決できないので、『これ、やってくれると助かる』などと言えるよう、周囲との関係性を構築することも大切です。妊娠、出産は、女性にしかできませんが、ほかは女性じゃなくてもいいことも多いですよね」(高尾先生)

職場でも家でも、女性はがんばりすぎてしまうのかもしれない。また、カウンセリングを受けることで、対処法が見つかるからか、9割が更年期による悩みを解消しているという。何事も一人で抱え込まず、話せる場所を見つけておきたい。

企業を横断して働く女性の健康支援を行うわけとは

(左から)株式会社MCCマネジメント 管理本部 人材開発部長 初鹿妙子さん/高尾美穂先生/ファシリテーターを務めた大塚製薬株式会社 エグゼクティブディレクター ニュートラシューティカルズ事業部 女性の健康推進プロジェクトリーダー、日本女性医学学会認定 女性ヘルスケア専門薬剤師 西山和枝さん。

ライフステージによって大きな変化が訪れる女性にとって、働き続けるためのハードルは高い。ただ、企業側としても、従業員の数が同じでも、継続と新たな人に代わるのでは経営が違ってくるという。2011年から産業医としても活動している高尾先生によると、月経、更年期による生産性への影響は、8割が「ある」と回答している。職場においては、知ることによって気づくこともあるため、男性にも知ってもらうことも必要だ。女性の健康セミナーを開催している「大塚製薬」では、女性ホルモンの知識がない人が7割もいることから、更年期ラボというWEBで情報を発信している。

「正しい情報をしっかり伝えることが重要だと感じています。薬剤師、管理栄養士、登録販売者などのプロフェッショナルでも、女性特有の悩みに対する知識はまだまだだと感じています。従業員の皆さんが体験し、知識を付けることで、お客さまにお伝えできると考えています」(MCCマネジメント 初鹿妙子さん)

「ドラッグストアで知識のあるスタッフは、どんどんアドバイスして欲しいです。自分の健康は自分で守るよう心掛けて欲しいですね」(高尾先生)

「土台である健康を自分事化してもらいたいです。ドラッグストアとの協業で知ってもらう機会が増えて、女性の健康を守りたいと思っています」(大塚製薬 西山和枝さん)

不調を感じながら、女性ホルモンについて知識がない人が大半を占めていることから、まずは知ることから始めて、そこから一歩踏み出して行動することで変化が起きれば、さらに自分と向き合うことができるのではないだろうか。

「立ち寄った人が、『ここに味方がいる』と思ってもらえる場所にしたいです」(初鹿さん)

ドラッグストアで相談できるのは、受診するよりもハードルが低く、気軽に立ち寄れそうだ。

入社からのキャリアイメージ。

女性が働き続けるには、結婚出産などのライフイベントにプラスして、女性特有の健康課題へのケアは忘れてはいけない。ゴールは、誰もが働きやすい環境。自分ではない誰かに対する理解を深めるとともに、自分自身を見つめる時間を大切にするよう心掛けたい。

【取材協力】
マツキヨココカラ&カンパニー https://www.matsukiyococokara.com/
大塚製薬 https://www.otsuka.co.jp/

取材・文/林ゆり
ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。コスメ、グルメ、ファッション、クルマなど、毎日がちょっとワクワクできて、人にも地球にもやさしいことについて執筆中。日本化粧品検定1級。

 

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