取材・文/池田充枝
孤高の超A級スナイパーとして圧倒的な存在感を放つゴルゴ13。本名、国籍、生年月日などすべて不詳ながら、仕事の依頼者と握手しない、背後に立たれると反射的に攻撃する、報酬はスイス銀行に振り込むなど、仕事のルールは徹底していて、任務遂行の姿勢や信条は不撓不屈、ゴルゴの魅力は多くのファンを捉えて離しません。
劇画『ゴルゴ13』は、1968年11月、「ビッグコミック」誌(小学館)で連載を開始しました。総発行部数2億部を突破、コミック界における連載最長記録を今も更新し続けています。
連載50年を記念した展覧会が、待望の首都圏に巡回。日本で初めて漫画部門を設立した美術館で開催されています。(11月30日まで)
連載50周年記念特別展「さいとう・たかを ゴルゴ13」用件を聞こうか…(会場:川崎市市民ミュージアム)
本展は、初公開となる貴重な原画の数々や門外不出だったさいとう・プロダクション内「武器庫」のモデルガンを展示するほか、ゴルゴ愛用の銃「アーマライトM16」の体験コーナーや仕事場の再現コーナーも設置、さらに分業によるゴルゴ制作の裏側にも迫ります。
本展の見どころを、川崎市市民ミュージアムの学芸員、誉田あゆみさんにうかがいました。
「本展の見どころは、なんといっても『ゴルゴ13』の全ページから選び抜いた「究極のゴルゴ」39点の原画です。ほとんどが初公開となるこれらの原画は、さいとう・たかを先生ならではの映画的カメラワークやホワイト(修正液)の生かし方などのこだわりを間近で見ていただくことができます。さらに、名作「海へ向かうエバ」コーナーでは、初公開の原画15枚に加え、ストーリーを知らない方もじっくりと作品世界を味わえるよう、パネルと併せて1話を丸ごと読み切れるゾーンも設けました。
また、本展は、ゴルゴ制作の裏側にも迫ります。『ゴルゴ13』の1話分が完成するプロセスや、さいとう先生が漫画界においていち早く確立させた分業制、「劇画」の歴史などをわかりやすく解説。さらに、さいとう・プロダクションのスタッフが描くために手作りした貴重なモデルガンも初公開となり、必見です。
他にも、見た目や重さなどを忠実に再現したゴルゴ13愛用のライフル「アーマライトM16」のモデルガンを実際に構えてスコープを覗くことができる体感コーナー、プロダクションやさいとう先生の仕事部屋再現コーナーなど、撮影スポットも多数。『ゴルゴ13』の魅力を余すところなく詰め込みました。
さいとう先生のサイン会に加え、劇場版アニメーション上映会や漫画ワークショップ、公式テーマ曲を担当したギタリスト山本恭司氏のライブなど、川崎展独自の関連イベントも盛りだくさん。ミュージアムショップでは、さいとう先生監修の数量限定フィギュアをはじめ、展覧会場でしか入手できないオリジナルグッズも販売いたします。詳しくは当館HPをご覧ください」
カッコイイとしか言いようのないスーパーヒーローに会いに、ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
連載50周年記念特別展「さいとう・たかを ゴルゴ13」用件を聞こうか…
会期:2018年9月22日(土)~11月30日(金)
会場:川崎市市民ミュージアム 企画展示室1、アートギャラリー1・2・3
住所:神奈川県川崎市中原区等々力1-2 等々力緑地内
電話番号:044・754・4500
http://www.kawasaki-museum.jp/
開館時間:9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし9月24日、10月8日は開館)、9月25日(火)、10月9日(火)
取材・文/池田充枝