
職場などでの人間関係をスムーズにするツールのひとつでもあるアンガーマネジメント。怒りの感情をコントールすることで、人間関係が良くなるだけでなく、仕事の効率もあがることが注目されています。でも、そんな簡単に怒りをコントロールできたら、苦労はしないと思っていませんか?
アンガーマネジメントを日本に広めた第一人者・安藤俊介さんによると、アンガーマネジメントとは怒らない方法でも、イライラしなくなる方法でもないといいます。自分、とくに怒りを理解し、心を軽くすることなのだそうです。
そこで、今回は安藤俊介さんの最新著書『そんなに怒らニャくてもいいんだよ ネコと学ぶ心が軽くなる方法』(宝島社)から、アンガーマネジメントがもたらす効果についてご紹介します。アンガーマネジメントというと難しそうに感じますが、その本質を知ることで構えずに始められるのではないでしょうか。
文/安藤俊介
アンガーマネジメントって何?
アンガーマネジメントというと怒らない方法、イライラしなくなることといったイメージを持つ人も多いでしょう。
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで生まれました。多くの人が誤解をしていますが、アンガーマネジメントは怒らなくなるための方法でもないですし、怒らなくなることを目的にもしていません。
ただ、アンガーマネジメントに取り組んだ結果、今よりもイライラしなくなったり、ささいなことで怒らなくなったりします。
ではアンガーマネジメントでは一体何をするのでしょうか。アンガーマネジメントの本当の目的は、自分のことを理解することです。
自分のことが理解できれば、人間関係で苦労したり、怒らなくていいことで怒ったりすることを少なくできます。
真っ先に理解したいこと

自分のことを理解するって、具体的にどんなことでしょうか。考えていること、価値観、したいことなど、いろいろあります。
真っ先に理解したいのが、自分の気持ちです。特に怒りです。怒りは大切なものを守るためにある気持ちだからです。
あなたが怒る時、それは何か大切なものを守ろうとしているのです。怒りを理解すれば、自分が本当に大切にしたいものは何なのか知ることができます。
逆に大切にしなくていいものもわかります。本当に大切にしたいものには時間や労力をかけ、それほど大切にしなくていいものは手放す。
この区別ができれば、自分のしたいことだけに力を注ぎ、そうでないものは流せます。そうなれば、ずいぶんと心が軽くなるのではないでしょうか。
アンガーマネジメントをはじめよう
心を軽くするために、アンガーマネジメントをはじめましょう。アンガーマネジメントをはじめるといっても特別難しいことはありません。何か怒るようなこと、イラッとすることがあったら、次の質問を自分にしてください。
「それって本当に大事なこと?」
実はそれほど大切でないことでも惰性で怒っている、ということがよくあります。それは自分の人生の大切な時間を使ってでも本当に怒りたいことなのか、改めて自分に質問してみてください。
おそらく、そこまでじゃないなと思うことが多くあると思います。そうしたことにいちいち心が乱されるようなことがなくなってくると、心は軽くなります。
自由に生きるネコの写真で心を落ち着け、癒やされながら、心が軽くなる方法を一緒に学んでいきましょう。
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『そんなに怒らニャくてもいいんだよ
ネコと学ぶ心が軽くなる方法』
著者/安藤俊介
宝島社 1650円(税込)

安藤俊介
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ファウンダー。新潟産業大学客員教授。アンガーマネジメントの理論や技術をアメリカから導入し、日本に広めた第一人者。教育現場や企業などで講演、研修、セミナー、コーチングなどを行っている。ナショナルアンガーマネジメント協会(アメリカ)では、15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアジア人としてただ一人選ばれている。『[図解]アンガーマネジメント超入門「怒り」が消える心のトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『アンガーマネジメントを始めよう』(だいわ文庫)、『もう怒りで失敗しない! アンガーマネジメント見るだけノート』(宝島社)など著書・監修書多数。
