文/川口陽海
お尻や股関節の周りにはとてもたくさんの筋肉がありますが、これらの筋肉を強くすると、腰痛や坐骨神経痛、腰やお尻から脚にかけての痛みやしびれなどの解消にとても効果があります。
今回は誰でも簡単にお尻や股関節の筋肉を鍛えられる『ヒップリフトエクササイズ』をご紹介します。
股関節とその周りにある筋肉
股関節は、寛骨臼に大腿骨頭がはまるように構成される球状関節です。
この股関節の周りにはたくさんの筋肉があり、関節を支えたり動かしたりします。
とくに股関節の奥深くにある小さな筋肉群が骨盤と大腿骨をつなぐ大事な役割をしており、『深層外旋六筋』と呼ばれます。
『深層外旋六筋』が弱ると……
『深層外旋六筋』は、骨頭求心性といって股関節を動かす時、つまり脚を動かす時に大腿骨頭が寛骨臼からはずれないようにつなぎとめる役割をしています。
これらの筋肉は、
◆長時間座りっぱなし
◆あまり歩かない
◆運動不足
などの生活習慣で弱くなってしまいます。
『深層外旋六筋』が弱くなってしまうと股関節が不安定になってしまいますが、そうならないように周りの筋肉がかわりに頑張ることになります。
かわりに頑張って負担がかかりやすいのが、中殿筋や小殿筋、ハムストリングなどの筋肉です。
これらの筋肉に疲労が蓄積し、固くこり固まったりすると、腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれがおこりやすくなります。
このような痛みについては ヘルニア・狭窄症|ストレッチで改善する座っている時の痛みやしびれ【川口陽海の腰痛改善教室 第8回】 でも解説していますので、ぜひご覧ください。
『深層外旋六筋』を強くすることで、痛みやしびれを改善できる
このように『深層外旋六筋』が弱まると周囲の筋肉に負担がかかり、そこから痛みやしびれが生じることがあります。
逆に『深層外旋六筋』の筋力を回復することは、腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれの改善に効果が期待できます。
実際に腰痛トレーニング研究所には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などの診断を受けた方がたくさん来院されますが、そのような診断を受けていても、『深層外旋六筋』のエクササイズで痛みやしびれが改善するケースはとても多いのです。
『深層外旋六筋』を強くする、簡単『ヒップリフトエクササイズ』
『深層外旋六筋』を強くするには、『ヒップリフトエクササイズ』が効果的です。
『ヒップリフトエクササイズ』のやり方
(1)あお向けになり両膝を立てる
(2)片方の脚(痛くない方)を90度持ち上げる
(3)もう片方の脚(痛む方)でお尻を浮かすように持ち上げる
(4)ゆっくり持ち上げたところで3秒キープ
(5)ゆっくり下ろす
これを片脚10回ほどおこないます。
10回おこなったら反対の脚もおこないます。
片脚10回ずつからスタートし、慣れて来たら15回、20回と少しずつ回数を増やしてみましょう。
※注意点
腰や脚の力に頼り過ぎないように気を付けてください。お尻の筋肉に力が入る感じを意識しておこなってください。
腰や脚が力みすぎると、かえって痛みやしびれが増してしまう場合がありますのでご注意ください。
片脚でおこなうのがきついようでしたら、両脚でお尻を浮かす形でおこなってください。
すぐには効果を感じないかもしれませんが、筋力を強化するには時間が必要です。
毎日続けることでだんだん効果がわかるようになると思いますので、根気よく続けてみてください。
『ヒップリフトエクササイズ』をおこなうことで、逆に痛みやしびれが増したり、不快感を感じたりする場合もあります。
そのような場合は速やかに中止してください。
あわせてこちらのページのストレッチもおこなうとより効果的です。
ヘルニア・狭窄症|ストレッチで改善する座っている時の痛みやしびれ【川口陽海の腰痛改善教室 第8回】
ぜひご覧ください。
文・指導/川口陽海
厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616
http://www.re-studio.jp/index.html