歩くと腰が痛くなる原因と「痛みの出ない」歩き方【川口陽海の腰痛改善教室 第142回】

歩くと腰がはってしまったり痛みが出たりすることがあります。
このような場合、腰の反りが強かったり、腰の筋肉を強く緊張させてしまったりすることが原因になります。
今回は痛みの出ない歩き方をご紹介します。

歩くと腰が痛む原因は？

歩くと腰が痛む……。座っていたり寝ていたりする時は大丈夫だけど、長く歩いたりするととくに痛みが出やすくなる……。

このような症状の場合、腰の反りが強かったり、腰の筋肉を強く緊張させて歩いたりしていることがよく見受けられます。

歩き方を見ると、下の画像の中央のような姿勢で歩いています。

腰が過剰に反って筋肉が緊張してしまう姿勢です。

または右のように、一見猫背に見えるけれど腰も反ってしまっている、というようなケースもあります。

骨の状態で見ると、下の画像左のように、骨盤が前に傾く【骨盤前傾（こつばんぜんけい）】という姿勢になってしまっています。（画像右は正常な骨盤）

骨盤が前傾していると、腰の部分の背骨（腰椎）が反ってしまいます。

このような姿勢で歩いたり運動したりすると、腰の筋肉が過剰に緊張してしまい、こり固まってだんだん血行不良となり、痛みがおこります。

痛みが出ない歩き方

なぜ骨盤が前傾し、腰が反ってしまうのか？

それは、腰を反らさないための筋肉が弱くなっていたり、うまく働かなくなっていたりするからです。

腰を反らさないための筋肉はいくつかありますが、腹直筋がそのひとつです。

腹直筋は、上の画像のようにみぞおちから骨盤の恥骨につながっている筋肉です。

いわゆる上体をおこす腹筋運動で使われる筋肉ですが、立った姿勢でいる場合、恥骨をみぞおちの方向（上方）に引き上げて、骨盤を後傾させるようなはたらきをします。

このはたらきにより骨盤が前傾しないように支えているのですが、腹直筋が弱くなったりうまくはたらかなくなってしまったりすると、骨盤が前傾して腰が反りやすくなってしまうのです。

腹直筋を使って腰を反らさないように歩くために、筆者が指導している歩き方をご紹介します。

自宅で出来る！腰痛トレーニングDVD（https://www.re-studio.jp/dvd/）より

（１）立った状態で軽く下腹を引っ込めるように締め、恥骨を引き上げるようにする（黄色矢印）。

こうすることで骨盤は後傾方向（赤色矢印）に回転し、腰の反りが弱まります。

やりすぎると後傾し過ぎて猫背になってしまいますので、感覚的には恥骨を１～２cm引き上げるようなイメージです。

（２）やや大股で、後ろ脚の指で地面を蹴るように使う。

やや大股というのは、いつも歩くときの歩幅より２～３cm程度大股で歩くようなイメージです。

前足の、とくに踵を普段より２～３cmほど踏み出すように意識すると、自然と後ろ足は大きく蹴り出すことになり、足の指が使われます。

そうすると後ろ足の裏が見えるような歩き方になります。

（３）自分のみぞおちあたりから脚が伸びているイメージで歩く。

みぞおち、つまりお腹から脚を動かすようにイメージすると、体幹の腹筋群や殿筋などよりたくさんの筋肉が使われるため、腰の負担が減ります。

この記事があなたの腰痛改善にお役に立てれば幸いです。

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文・指導／川口陽海　厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ１万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい（発行：アスコム）」がある。
【腰痛トレーニング研究所／さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL：03-6457-8616　http://www.re-studio.jp/index.html