腰痛や坐骨神経痛を改善するには、腰や骨盤を支える力を養うことが大切です。
それには体幹トレーニングが効果的ですが、きつくて続けることができないという方もいます。
そんな方向けに、がんばらない体幹トレーニング“ゆるコア体操”をご紹介します。
ゆるコア体操とは?
体幹というのは、人間の身体では頭首と手足を除いた胴体部分のことをいいますが、トレーニング用語では体幹のことを“コア(Core)”といいます。
腰痛や坐骨神経痛を改善するには、腹筋や背筋などこの体幹部分の筋力トレーニングが必要ですが、このようなトレーニングを体幹トレーニングやコアトレーニングといいます。
“ゆるコア体操”は“ゆるいコアトレーニング”の略で、『がんばらなくても続けられて効果的な体幹トレーニング』という意味で、筆者が名付けました。
腰痛や坐骨神経痛でお悩みでしたら、本記事を参考にぜひゆるく取り組んでみてください。
その1、その2をまだ読まれていない方は、ぜひ下記ページを読んでから本記事をお読みください。
シニアの腰痛坐骨神経痛を改善!がんばらない体幹トレーニング“ゆるコア体操”その1
(https://serai.jp/health/1204086)
シニアの腰痛坐骨神経痛を改善!がんばらない体幹トレーニング“ゆるコア体操”その2
(https://serai.jp/health/1205687)
ゆるコア体操の効果の秘密
ゆるコア体操その1の記事が公開されて以来、この体操に取り組んでいただいているようでしたら、この1~2か月でなにかしらの効果が出てきているかもしれません。
あまり頑張らずに軽めの体操をおこなうだけで、なんで効果が出るのか?
それには秘密があります。
その1では、
(1)腹式呼吸
(2)手足ぶらぶら体操
(3)ごろごろ寝返り
の3つの体操をご紹介しました。そしてその2では、
(1)両膝抱えてストレッチ
(2)お尻上げ
(3)猫のポーズ
(4)床ふきストレッチ
(5)おへそ覗き
の5つの体操をご紹介しました。
これらを連続でおこなっていくと、実は赤ちゃんが生まれてからハイハイするまでのおおよその動きをたどる順番になっています。
赤ちゃんは泣いて大きく腹式呼吸をおこなうことで、体幹深部の筋肉が発達していきます。
次に手足をぶらぶらばたばた動かすことで、四肢や体幹の筋肉が発達していきます。
四肢や体幹の筋肉が十分に発達すると、寝返りができるようになります。
そして寝返りができると、そこからさまざまな動作がはじまって、少しずつハイハイができるようになります。
このように人間の発達の過程で体幹や四肢、つまり足腰が鍛えられ、立ったり歩いたりできるようになっていきます。
腰痛や坐骨神経痛というのは、足腰が弱ってうまく支えたり動いたりできなくなっている状態です。
足腰の力を取り戻すために、一般的な筋トレをおこなえるのであればそれに越したことはありません。
しかし、例えば筆者の腰痛トレーニング研究所(https://re-studio.jp/)に来られる腰痛や坐骨神経痛の患者さんは、あまり運動経験がなかったり、運動不足気味だったりする方がほとんどです。
そのような方たちはそもそも痛みのために運動ができない状態なわけですが、それでも腹式呼吸や手足をぶらぶら動かすくらいのことはできます。
できる体操から少しずつはじめ、赤ちゃんの発達段階をたどるように、段階的に体操を続けていくと確実に足腰の機能が回復していきます。
これは筆者の推測ですが、人間の基本的な発達段階をたどっていくことで、筋肉だけでなく、脳や神経系も反応しやすいのではないでしょうか?
なにしろ誰でも一度は経験している動きなわけですから、それによって時間はかかっても確実に回復していくのではないかと考えています。
今回も続きの体操をご紹介しますが、赤ちゃんになった気持ちで楽しみながらおこなってみてください。
※ご注意)これからご紹介する体操をおこなうことで痛みが出る、または痛みのために一部できないものがあるようでしたら、ご無理をせず、その体操、またはこれらすべての体操をやめるようにしてください。
(1)バタ足
うつぶせになり、手はおでこにあてるようにして顔を伏せます。
うつぶせのまま、お腹をひっこめるように締め、背中や腰はなるべく力を抜きます。
そこからバタ足をするように、お尻の力で脚を左右交互に持ち上げましょう。
脚を持ち上げる時もお腹はひっこめるように力をいれたまま、腰は力をいれずにお尻の力でバタ足をします。
バタ足は無理せずゆっくりとしたリズムで交互にあげてください。
交互に10~20回ほどおこなってください。
(2)その場ハイハイ
両手両膝をついた四つ這いの姿勢になります。
お腹を少しひっこめるように締めて力を入れ、逆に背中や腰は力を抜いてください。
そこから手足を1箇所ずつ、少しだけあげてみましょう。
例えば、右手を5cmくらい持ち上げる→おろす→左手を5cmくらい持ち上げる→おろす→右足を5cmくらい持ち上げる→おろす→左足を5cmくらい持ち上げる→おろす といった具合です。
手を上げる時は、肘を曲げないようにしながら前方向に上げてください。足を上げる時は、膝は曲がってもいいので後ろに上げてください。
また手足を上げる時には、体幹=胴体が傾いたり曲がったりしないよう、お腹に力を入れて支えてください。
左右各手足を2~3回ずつ上げてみて、できそうならその場で動かずにハイハイをするように手足を動かしてみましょう。
その時も体幹は傾いたり曲がったりしないように気を付けます。
これを30~60秒ほど続けてみましょう。意外にきついかもしれませんね。
これがある程度できるようでしたら、次の(3)にチャレンジしてみてください。
これがどうしてもグラグラして安定しないようでしたら、これ以前の体操(その1やその2など)をもう少し続けてみましょう。
(3)対角手足上げ
(2)ができるようでしたらこの体操をおこなってみましょう。
もう一度両手両膝をついた四つ這いの姿勢に戻ります。またお腹をひっこめるように締めて力を入れます。背中や腰は力を抜いてください。
そこから右手と左脚を同時に5cmくらい上げてみましょう。
手は肘を曲げないようにしながら前方向に。脚は、なるべく膝を曲げずにまっすぐ後方に上げてください。
この時に身体(体幹)がグラグラしないように、お腹で踏ん張って支えます。腰や背中は力を入れないように気を付けてください。
5秒ほど支えられたらゆっくり右手と左脚をおろします。次に反対の左手と右脚を同じように5cmくらいあげてみましょう。
何回か繰り返してみて、慣れてきたら少しずつ高く手脚をあげてみてください。
イメージ的にはこのような感じですが、ここまで高く上げる必要はありませんので、10cmでも15cmでもいいので手脚を床から上げ、ぐらつかないように支えてゆっくりおろす、ということを対角の手脚で交互に繰り返します。
左右交互に5~10回ほどおこなってください。
今回のご紹介は以上となります。
その1からその3までの各体操を順番に試していただいて、もしうまくできない体操があればそれ以前のものにもどって繰り返し、またできなかった体操にチャレンジする、というように繰り返しおこなっていただくと段々体幹が強くなってくるはずです。
ぜひご自分のペースで取り組んでみてください。
この記事があなたの腰痛坐骨神経痛の改善のお役に立てれば幸いです。
以下の記事でも様々な腰痛や坐骨神経痛を改善するエクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
ウォーキングが腰痛の再発予防になる! ヨガ・太極拳・気功なども効果がある理由とは【川口陽海の腰痛改善教室 第141回】(https://serai.jp/health/1193504)
腰痛予防・改善にオススメはスクワット!|スクワットの安全で効果的なやり方を解説【川口陽海の腰痛改善教室 第136回】(https://serai.jp/health/1184547)
狭窄症・ヘルニア・坐骨神経痛をほぐして改善! 痛みやしびれに効く2つのトリガーポイント(ツボ)【川口陽海の腰痛改善教室 第130回】(https://serai.jp/health/1172875)
腰痛を解消するためにトレーニングすべき3つの部位とその順番【川口陽海の腰痛改善教室 第120回】
(https://serai.jp/health/1149253)
腰痛を解消するためにトレーニングするべき3つの部位とその順番(その2)【川口陽海の腰痛改善教室 第121回】
(https://serai.jp/health/1151448)
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html