1年ほどセリカに乗ったところで車検を迎えたため、これを機に友人に売却。その数か月後、走行中にエンジンから出火し、廃車になったことを知らされます。
セリカと入れ替えで購入したのは、トヨタの3代目『カローラレビン(TE71型)』でした。
「『セリカ2000GT』と悩んだのですが、後々の維持費を考えてレビンを選びました。購入時の距離計は1万5千キロだったのですが、中古車店の店長から『距離計なんかアテにならないよ』と言われたので、実際はもっと走っていたのかもしれません。アクセルを踏めば気持ちよく加速し、排気音もいい。本当にいいクルマでした」
哲浩さんは『カローラレビン』を気に入り、時間があればツーリングに出かけていたそうです。足回り、シート、ハンドルと、コツコツと手を加えて好みの仕様に仕上げます。
『カローラレビン』には3年ほど乗り、車検を機に売却。「もっとパワーのある車に乗ってみたい」と、トヨタの3代目『チェイサー(GX71型)』を新車で購入します。
チェイサーと聞くと、誰しもが「マークⅡの姉妹車で、豪華な装備を持ったクルマ」というイメージを思い浮かべます。しかし哲浩さんの購入した『GTツインターボS』は、豪華装備はおろかエアコンやパワーウィンドゥすら省いたスパルタンなグレードで、購入した人がほとんどいなかった、今となってはとてもレアな一台でした。
「期待していた通りにパワーはあったのですが、『とても乗りづらい』というのが最初の印象でした。ボディの剛性が足りないことと、足回りの弱さが原因だとすぐに分かったので、それぞれをアフターパーツで補強することで、そこそこ走ってくれるクルマになりました。それでもすぐにアライメントが狂ってしまうため、定期的に調整をしていましたね」
20代後半に入り、チェイサーでクルマ趣味を楽しみつつ、独立開業を目指して仕事に精を出す哲浩さん。しかしバブル崩壊により景気が急速に後退。独立開業の予定にも黄色信号が灯ります……。
【後編】へ続きます!
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。