40歳を境に子どもを諦めた義母。交流はパタッとなくなった
夫の実家から同じ路線で20分ほどの場所に新居を構え、彩子さんは結婚後も仕事を続けます。今まで同棲していた時のような、2人きりの穏やかな生活を望んでいた彩子さんでしたが、実際の新婚生活はまったく違ったものだったと言います。
「週に1~2度くらいのペースで義母が遊びに来るようになり、相手家族とご飯を食べる機会が定期的に開催されたり、義母から直接私に連絡が来ることも増えました。一般的な知識として、相手の家族との関係も同棲の頃より密になるのは当たり前のことだとある程度覚悟していたので、それはまだ我慢できました。
しんどかったのは、義母が私の体を気遣っている体で、食べたものをチェックしたり、世間話の中であまり眠れなかったことなどを報告すると、翌日には体温計を渡されて体温を測られたり……。もしかして、と思うところはあったんですが、確信したのは妊娠に良いとされているサプリメントをもらった時ですね。この人は夫婦で決めたことをまったく受け入れていなかったんだなって思いました」
その中には、故意ではないものの彩子さんを傷つける言葉も含まれていました。
「『もう期限が迫っている』と主語はないものの、確実に私の年齢から妊娠のタイムリミットを指したものだと読み取れる言葉を、よく独り言のように言っていました。
私たち夫婦は別に絶対に作らないと決めたわけではないし、夫婦生活も普通にあって、妊娠できることは本当に幸せなことだと思っていました。でも、結果は何もないまま。最初こそ笑顔で義母のことを受け入れていたんですが、私自身も子どもができないことがリアルになっていくにつれ、その余裕もなくなっていってしまって……」
彩子さんは現在42歳。義母との関係は現在どうなのでしょうか。
「40歳を過ぎた頃ぐらいから、パタッと義母の干渉はなくなりました。そして、最初にお話ししたように親族の前での『わざわざあんな年上をもらわなくても……』に至ります。今は夫から私が万が一妊娠してしまっても体への負担が大きいということで、子どもができないようにしています。夫からその提案を受けてから、期待して、その度に落胆する繰り返しからは開放されることができました。夫とは今も仲良くやっています。
でも、義家族とはさっぱりです。近い距離に住んでいても会うのはお正月や、親族が集まる法事のみ。義家族はずっと都内で育ち、密じゃない親族関係の価値観を持っているみたいで。そこだけがありがたかったポイントですかね」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。