取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

年末年始に義実家へ帰省をしていた家族も多いだろう。株式会社ネクストレベルが運営する「縁結び大学」では、既婚女性295名に対して、「夫の実家へ帰省すること」に関する調査を実施(実施日:2023年12月5日~12月8日、有効回答数:女性295名、インターネット調査)。義実家への帰省について楽しみかどうかを聞いたところ、「楽しみではない」と回答したのは56.7%と、過半数を超えた。その理由の1位は「気を遣う・居心地が悪い」(83.6%)だったが、2位は「出費がかさむ」(20.9%)となっている。

今回お話を伺った早織さん(仮名・39歳)は職場で出会った同い年の男性と32歳のときに結婚した。数年違いで夫婦ともにフリーランスになると、早織さんの稼ぎは夫の3倍以上に。夫は勤めていた頃より収入が落ちてしまったことで、義両親への仕送りをすることが苦しくなり、早織さんに泣きついてきていた。【その1はコチラ

義両親への仕送りの理由は聞かなかった

早織さんが義両親の仕送りを負担するのには、夫の親思いの気持ちを尊重したい思いのほか、別の理由もあったという。

「私たち夫婦は、私がそこまで子作りに積極的ではなくて子どもを諦めた経緯がありました。何年も避妊をせずに夫婦生活を続けていたのに妊娠することはなく、本当に欲しいならそこから不妊治療に行くべきだったのに、私がそれを拒否したんです。そこまでしなくてはいけないなら子どもはいらないという思いが強くて……。夫は子どもが好きで欲しそうだったのに、私の思いのために我慢してくれました。

私は、子育てに使う時間を仕事に注ぎました。夫の我慢の上にある仕事の充実、そして稼ぎだと思っていたから、5万円ぐらい負担してもいいかなって」

義両親への仕送りの理由は聞かなかった。プライドの高い夫は妻が仕送りの金額を肩代わりしていることを義両親には教えないと踏んでいたからだ。しかし、夫はあっさりと義両親にそのことを伝えていたという。

「夫は私との収入差のある生活に慣れたのか、それとも私にお金をお願いしてきたときにプライドなどなくなってしまったのか、私が義両親の仕送りの肩代わりを始めたときから伝えていました。義母からお礼の電話をもらって発覚したのですが、そのときには嬉しかったものの、今は黙っていてほしかった思いのほうが強いです」

【義両親は嫁のお金で贅沢できることを覚えた。 次ページに続きます】

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