取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

年末年始の大型連休が近づいてきて、義実家への帰省を予定している方も多いだろう。スマートフォンアプリ「Experienshare」を提供する株式会社greedenが実施した「帰省ブルー」(実施日:2023年5月25・26日、有効回答数:義理の実家に帰省する予定の妻1001人、インターネット調査)によると、「義理の実家に帰省することは憂鬱ですか?」の質問に対して、6割以上(64.8%)が憂鬱に感じていた。

次いで、株式会社うるるが実施した「子育てに関する情報収集と親世代との価値観の違いに関する調査」(実施日:2023年12月2・3日、有効回答数:0歳~6歳の未就学児をもつ20代~40代の親500人、インターネット調査)を見てみると、未就学児の親の3割強(34.2%)が、実の両親や義理の両親に子育てに関する相談をしないと回答。その理由として、「相手の負担になるから」(30.1%)、「価値観が合わないから」(29.8%)、「口出しや干渉をされるから」(17.4%)が続いた。

今回お話を伺った諒子さん(仮名・43歳)は、5歳年下の男性と33歳のときに結婚した。【その1はコチラ

男尊女卑が残る義実家では嫁たちの静かなバトルがあった

同棲中のマンションは東京都内にあり、夫の実家は栃木県の北部にあった。結婚の報告はまず千葉にある諒子さん家に行き、そこから栃木県の都市部にホテルをとって、義両親に結婚の挨拶に行ったという。

「結婚については、年齢を伝えたときに少し苦笑いをされましたが、了承はしていただきました。

夫は4人きょうだいの長男で、全員男。義実家にいる一番下の弟や、近所で暮らしている祖父母も合流して、結婚のプチ祝いのようなものをそのまま実家で行ってもらいました。そして、その後はホテルに宿泊することはできずに義実家に泊まったんです。終わらずに延々と祝い事が続いたので……。ホテルに宿泊予定だったので、化粧品などは持っていましたが、寝間着などは持っていませんでした。初顔合わせで義母の寝間着は着たくなかったですね(苦笑)」

結婚した後も遠方だったことからお盆とお正月の交流しかなかった。その帰省では気を遣いすぎて自宅に戻ってきたときには2~3キロ痩せていることもあったという。

「大型連休には義実家の親族が集まるのですが、典型的な男尊女卑の文化があって、男性陣が飲み始めたときにはお酒がなくなりそうになる前にお酌をするのは当たり前で、おつまみについてもなくなる前に次のものを用意しないといけませんでした。しかもいつまで飲むかわからないからおつまみは少ない量で出さないといけなくて……。それに2番目と3番目の義弟は結婚していてその嫁たちと一緒になるのですが、誰が義母に一番気に入られるのかという戦いが始まっていました。先にお酌しなければ、後に座らなければといった感じで……。嫁同士ですが、敵なのか味方なのかわからないので、上辺の付き合いでギスギスしていましたね。

一番辛かったのは、誰が一番先に帰省して義母に媚びるのかという競争が始まったとき。もう勘弁してほしかったです」

【嫁たちの義母へのアピール競争には不戦勝。 次ページに続きます】

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