取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺った美紀さん(仮名・43歳)は、27歳の時に結婚するも、第二子を出産後すぐに離婚、現在は実家のある千葉県で子ども2人との3人暮らしをしています。結婚前の挨拶に行った時の“義兄の存在の消去”、そして“母親と夫の距離の近さ”という2つの違和感に見て見ぬふりをして、そのまま結婚することにしたそうですが……。
「夫の実家は沖縄で、飲食店の仕事をずっとしていたこともあり、今まで一度も訪れたことはありませんでした。でも、同棲の時に一度義母と電話で話したことがあって、その時はすごく優しい人だなって印象でした。ご挨拶に行った時も優しかったんですが、私の目の前でも家族しかわからない話をずっと続けるとか、除け者にされている感じはしていました」
相談もなしに夫の実家の隣に新居を建築。沖縄へ強制移住に
結婚して1年後に告げられたのは、沖縄での新居の話。一時は別居になるほど、この騒動では揉めたと振り返ります。
「義両親が夫のために新居を実家の隣に建ててくれているみたいでした……。夫は次男なのに、まさに“寝耳に水”状態でした! 夫からは今まで一度も相談されたことがなくて、義母からの電話で初めて知ったんです。なぜ今まで内緒にしていたのか、沖縄で暮らすことなんて一度も了承していないと、大ゲンカに発展しました。ケンカと言っても、夫のほうはひたすら黙って、ボソボソと謝ってくるばかり……。離婚もよぎった私は一度実家に帰って、冷却期間を置きました。その間夫が3度ほど迎えに来てくれて、やっと3度目に仲直りした感じです。
私の両親の考えは二分していましたね。勝手にしたことを母親はありえないと怒ってくれたんですが、父親は嫁いだのだからもう相手の家の人間になったという考えのようで。私自身も夫のことはまだ好きだったので、沖縄に行く覚悟を、父の話もあってその時に決めた感じでした。寒いところよりは暖かいところのほうが好きだったし(苦笑)。もっと真剣に考えればよかったですね……」
別居騒動から1年後に2人は沖縄へ移住。最初こそ新鮮さもあり楽しかったと言いますが、そんな雰囲気が一転したのは、美紀さんの妊娠でした。
「仕事を辞めて、沖縄に移住した時にはある程度覚悟をしていたこともあって、思いのほか馴染むことは早かったと思います。義母も優しかったし、新居も立派なもので、私たちのことを思って建ててくれたのだと、肯定的に見ようと努めていました。
でも、沖縄に住み始めて4か月ほどで私の妊娠が発覚して、穏やかだと思っていた義母がすごくピリピリしていったんです。それは私の体調を心配してのことなんでしょうが、食べるものまで決められて、私からするとそれが一番ストレスで……。さらには、一緒に連れてきた犬のことをばい菌のような扱いをして、捨てろって言ってきたんです……」
【犬のことを巡って、妊娠の不安定な時期に義母とのバトルがスタート。次ページに続きます】