父が隠していた持病。子供のことを自分のせいだと言った

35歳の時に桃子さんの妊娠が発覚。付き合っていた男性と結婚することになり、彼が両親に挨拶に来ることになりますが……。

「最初は電話で報告だけで済まそうとしていました。もう娘さんをくださいっていう年齢でもないし。でも、ちゃんとしたいからと彼から説得されて。でも、妊娠がわかってすぐに両親との約束を決めた直後、子供がお腹の中で死んでしまったんです。早い時期だったこともあり、体への負担は少なかったんですが、メンタルにきてしまって。医師からも、母体のせいではなく受精卵の異常だと言われました。子供ができた時は本当に嬉しかったから、その分落ち込みはしばらく続きました。そんなこともあり、両親への挨拶は急遽キャンセルしたんです」

そのキャンセルから約1か月、両親はいきなり東京にやってきたと言います。

「その日は何度も着信があり、留守電まで残されて、観念して電話に出ると、『今東京にいます』だって。父親には賃貸の保証人になってもらっていて住所は知られていたから、仕事終わりに迎えに行きました。そして彼も含めて食事することになり、なぜか2軒目で父と彼、母と私に分かれたんですよ。私は1軒目の時点でやけ酒を煽ってしまい酔っ払っていて、2軒目のことはあまり覚えていないんですが、飲食代を私が出すと行った時に母親がすごく嬉しそうな顔をしたことを覚えています」

その後、父親と飲みに行った彼からある話を聞かされたそう。

「父から謝られたと言っていました。父は私たち子供には黙っていたけど、ずっと持病があり、父方の祖父は同じ病気で早逝していました。私たちは小さい頃の検査で異常はなかったそうなんですが、今回の子供のことももしかしたらと思ったみたいで。絶対に父親の病気は関係ないんです。なのに、気にして、彼に謝ってしまうなんて。もしかしたら小さい頃からずっと気にしていたのかもしれないと思ったら、あんなに傾くまいと思っていた家族の情にグイっと引き込まれてしまいました」

桃子さんはその後結婚し、現在妊娠中だと言います。両親との関係性を伺ったところ、「毎日母親から連絡がきます。父親とは相変わらずなんですが、母の父親の気持ちの代弁メールに今はイライラしなくはなりました。子供ができれば、さらに新しい関係になれるんじゃないかなって思っています」と笑顔で語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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