字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を⾒ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」今回は、「落葉松」をご紹介します。クリスマスシーズンを前に漢字への造詣を深めてみてください。

「落葉松」は何と読む?
「落葉松」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「からまつ」です。
マツ科カラマツ属の落葉針葉樹です。日本特産種で、本州の中部地方から関東、東北、そして北海道などの寒冷地に多く分布しています。
なお、この「落葉松」という字は「からまつ」と読むほか、「らくようしょう」とも読みます。「らくようしょう」と読むときは、植物名というより、樹種・材木としてやや学術的、専門的に扱うときの読みと考えるといいでしょう。
とはいえ、日常会話や文学作品の中では、まず「からまつ」と読むのが基本だと押さえておきたいところです。
「落葉松」の由来
なぜ「からまつ」に「落葉松」という漢字が当てられたのでしょうか。これは、この樹木の最大の特徴に由来します。
多くの松(針葉樹)は「常緑樹」と呼ばれ、冬でも緑の葉を茂らせています。正月に飾る松がいい例ですね。しかし、この「落葉松」だけは例外です。秋になると葉が鮮やかな黄金色(黄葉)に変わり、冬にはその葉を全て落としてしまうのです。

「松の仲間でありながら、葉を落とす」という珍しい性質から、「落葉松」(らくようしょう)という名が付けられ、そこに「からまつ」という和名が重ねられました。
ちなみに「からまつ」という読みの語源には、葉の付き方や枝ぶりが、中国(唐)の絵画に描かれる松の様子に似ているからという説や冬に葉が落ちて「枯れる(空っぽになる)松」であることから、「からまつ」に転じたという説など諸説あります。
哀愁と祝祭の狭間で
「落葉松」と聞くと、どうしても外せないのが北原白秋の詩『落葉松』です。
「からまつの林をすぎて、からまつをしみじみと見き……」
この詩の一節を記憶されているサライ世代の方も多いのではないでしょうか。秋の終わり、黄金色の葉が細かな雨のように降り注ぐ情景は、えも言われぬ寂寥(せきりょう)感と美しさを漂わせます。
しかし、落葉松は寂しいだけの木ではありません。実は、冬の華やかなイベントにも一役買っているのです。
それは、クリスマス。
落葉松の若木は、枝が水平に伸び、きれいな円錐形をしています。その美しい樹形から、クリスマスツリーとして利用されることがあるのです。モミの木などが一般的ですが、落葉松の持つ繊細な枝ぶりは、和洋折衷のモダンな空間によく馴染みます。また、松ぼっくり(シダーローズのような形状)は、クリスマスリースの材料としても大変人気があります。
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いかがでしたか? 今回の「落葉松」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に⽴てたでしょうか? リビングのツリーを眺めながら、季節の移ろいを感じてみてください。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











