取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。~その1~はコチラ
今回お話を伺ったのは、埼玉県で6歳の子供を育てながら、週の半分は自宅でネイルサロンをひらいている律子さん(仮名・35歳)。埼玉県出身で、両親と6歳上に兄のいる4人家族。高校の時に祖母の家から帰ってこなくなった母親でしたが、伯父のおかげで自宅に戻ってきたそう。最初は考え込む時間が増えた母親ですが、父親や律子さんが寄り添ったことで元気を取り戻してきたと言います。
「帰ってきたばかりの母は、前にも増してボーっとする時間が増えていました。そして家事をほとんどやらなかった。母が実家にいた間の家事はほとんど私がしていたので、まぁもう慣れっこというか、手伝われたほうが面倒だったので、あまり気にしていませんでした。
父親は早く帰ってくるようになりましたね。それに昼間も逐一母親にメールしているようでした」
祖母が寝たきりになったことで伯父の家でお世話できないことに……。祖母の面倒を見ると言い出したのは母親だった
律子さんが大学に進学して間もない頃、祖母が転んでしまったことが影響してほぼ寝たきりの生活になったそう。最初はそのお世話は伯父の嫁がしていたそうですが、1年も経たずに同居を拒否。母を含めた3兄妹で祖母のことを話し合った結果、律子さんの家で祖母を引き取ることになります。
「話し合いは具体的にどのように行われたかは知りませんが、私は母の妹、叔母と仲が良かったので、伯父、伯父の嫁VS母、叔母といった構図になっていたようです。そして、うちの家が祖母を引き取ることに。最後は父親が了承してくれたと叔母から聞きました」
祖母が家に来てから最初、母親は祖母に付きっきりだったとか。しかしストレスの影響か、母親は周りにあたるようになっていったと言います。
「最初から私も祖母のご飯、洗濯など、間接的に手伝っていました。迎え入れる前に家をバリアフリーにして、車いすが通れるように押し入れを無くして通路を広くしたり、お風呂の入口に段差をなくしたりとかなかなか大規模な工事も行われました。父親もさらに早く帰って来るようになりましたし、お風呂掃除や、休みの日には息抜きとして母親を買い物などに連れて行ったりしていました。
でも、母親はどんどん見てわかるくらいイライラしていきましたね。あんなに引き取りたいと言っていた祖母に対しても暴言を吐くようになって、そんな姿を見ていて本当にしんどかったです」