取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。【~その1~はコチラ】

今回お話を伺ったのは、都内のインターネット関連の企業でデザイナーとして働いている佳織さん(仮名・33歳)。富山県出身で、両親と8歳下に弟がいる4人家族。小学校までは父方の祖父母と一緒に暮らしており、おばあちゃん子として育ちます。祖父と母親の中が険悪になり、同居を解消したあたりから、佳織さんと両親の仲は悪化。関係は修復することなく、東京での就職を機にまったく連絡を取らない関係が2年ほど続いたそうです。

「忙しい中で思い出すのはおばあちゃんのことばかり。たまに思い出してムカつくのは母親のことで、父親のことはまったくと言っていいほど考えもしなかったですね。弟は8歳下なので当時まだ実家で過ごしていましたが、そこまで年齢が離れていると特に連絡をとることもないんですよ。私は弟が小学生の時に家を出たのでそこまで関係性が濃くないというか……」

両親を大切にしていた彼氏からの叱咤で実家に帰省しようと決意

そんな中、付き合っている彼と家族の話題になったそう。その時、疎遠な関係を知った彼は佳織さんのことを厳しく怒ったと言います。

「自分は外で女遊びをしているのに、その部分だけは真面目だったみたいです(笑)。彼は女性にモテるだけあって、色んな人にも優しいタイプの人でしたから。両親のことも大切にしているようで、彼も地方人だったので帰省もよくしていたし、東京に呼んで一緒に過ごしたりもしていました。

そんな彼がまったく親の話題にならない私のことを不思議に思ったのか、親との関係を聞いてきたんです。『もう2年ほど連絡を取っていない』と素直に答えると、すごく怒られて……。『一人暮らしを始めると、親との時間はすごく少なくなる。合計するとあと一緒に過ごせる時間は数年くらいなんだよ』と。どこかで読んだ記事のことを話していたんですが、そんなに短いんだってびっくりしてしまって。考えさせられましたね」

その後、大型連休の機会に思い切って帰省します。両親は突然の帰宅にびっくりしていたそうですが、いたって態度は普通だったとか。昔のような会話のあった関係に戻るのに時間はあまりかからなかったそうです。

「今まではどちらかというと私の方が会話を避けていたので、両親の話していることをしっかり聞こうとしただけなんですが。不思議と会話は続くんですよね。仲が普通に戻ったのは、21歳の時で、22歳ぐらいの時にはおばあちゃんと母親が東京観光に来たり、父親が仕事で東京に来ると私の家で一泊して帰ったりと良好な関係になっていました」

叔父、祖母の死により、親のこと、これからの時間を見つめ直して。次ページに続きます

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