取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、都内で旦那さまと子どもとの三人暮らしをしている杏璃さん(仮名・43歳)。京都府生まれで両親と7歳上に兄のいる4人家族。父親は結婚の挨拶の場にて、今の旦那さまの前で最初から最後までマウントを撮り続けたと言います。
「挨拶が終わって2人で実家を出たんですが、私は夫に謝り続けました。夫は『娘を盗られたという寂しさもあるんだろう』と寛容だったのですが、私は恥ずかしさしかありませんでした。翌日に父に文句でも言ってやろうと思っていたのですが、母親から電話があって父の分まで謝ってきてくれて。私も翌日には冷静になったのでそのときは何もしなかったのです」
父の本音は「育ててやった分を返していない」
結婚式のときには極力父親と旦那さまを2人きりにしないように努めたそう。「たまに会うだけの関係なのだから気にする必要はない」と父親の旦那さまに対する態度も飲み込み続けます。
「夫との出会いは東京で、私は25歳のときに東京に出ていたので結婚前から両親と会うのは年に1、2回だったんです。結婚式では父親は上機嫌だったり、泣いていたりで夫と2人きりになることはなくて、そうならないように母親や兄には前もって頼んでいました。
でも、そのときにはすでに父親のことを外に出すと恥ずかしい行動をする、と家族の中では思っていたんですよね。母親も兄も私の意思を最優先してくれましたから」
結婚生活は順調で、東京、京都という程よい距離感から関係は良好だったとのこと。しかし杏里さんは結婚から3年後には女の子を出産し、その妊娠中の里帰り出産で父親に対してもやもやする気持ちを抱いたそう。
「妊娠中に早めに帰省したんです。夫も許してくれましたし、実家でゆっくりしたいなって思いもあって。父も母も本当によくしてくれました。でも、私には直接言わなかったけれど、母親が私のために何かを買おうとしたところ『あいつの家から出すべきだ』と言ったみたいで買えずにゴメンと謝られました。確かにその通りかもしれませんけど少しもやもやしました。それに『育ててやった分をまだちっとも返してもらっていない』とお酒を飲みながらよく愚痴っているみたいなんですよね。どうやら結婚前に東京に行ったことも父の中では気に食わなかったようです」
【いつからか、父は普通で、私がダメという心境に。次ページに続きます】