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肩こり、腰痛に貼るのは湿布? テープ? あなたはNSAIDsについて知っていますか?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第6回】

肩こり、腰痛に貼るのは湿布? テープ? あなたはNSAIDsについて知っていますか?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第6回】

有効成分は解熱鎮痛剤と同じ

肩こり、首こり、腰痛に悩まされる人が激増しています。それと並行して激増しているのが「貼り薬」です。だれもが一度や二度は貼ったことがあるのではないでしょうか?

貼り薬は有効成分によって大きく2つに分けられます。ひとつは昔ながらの……というと語弊があるかもしれませんが、「冷感湿布」「温感湿布」と呼ばれる湿布です。もうひとつは解熱鎮痛剤を有効成分とした「テープ剤」です。最近のCMでよく流れるのはもっぱらテープ剤のほうです。

今回はこのテープ剤の成分と効き目、副作用について解説します。

ドラッグストアで見かけるテープ剤を例にしますと、ロキソニンの有効成分は「ロキソプロフェン」、ボルタレンは「ジクロフェナク」、バンテリンは「インドメタシン」です。これらは非ステロイド性抗炎症薬で、短く言うと、NSAIDs(エヌセイズ:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)と呼ばれます。

たとえばロキソニンテープに注目してみますと、有効成分は「頭痛、生理痛に」で有名な痛み止めのロキソニンと同じです。NSAIDsは抗炎症作用だけでなく、解熱作用と鎮痛作用ももつ薬です。頭痛、生理痛をロキソニンで何とかしている人も少なくありません。NSAIDsは2011年まで処方薬で、市販されていませんでした。医師や薬剤師の指導が必要な、つまりそれだけよく効きもするけど副作用も出る薬だったからです。

ロキソニンテープやボルタレンテープなど市販のテープ剤は、痛み止めのテープ版といっていいでしょう。基剤や形状が違いますが、有効成分は同じということです。なので、ひとことで言うと、以前からある冷感湿布、温感湿布よりも効き目は強いです。だからこそこれだけ人気があるのでしょう。

効き目がある半面、NSAIDsならではの副作用もあります。これは錠剤の鎮痛解熱剤のもつ副作用と何ら変わりません。なんとなく皮膚に貼る薬なら副作用はあるにしても「かぶれるぐらい」と思われがちですが、薬の成分は皮膚を通して血管に入り、全身に運ばれます。この点は口から飲む薬と同じです。

そのためテープ剤の副作用は、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの飲み薬と、同様のものがあります。ショック、アナフィラキシー、胃の不快感、腹痛などです。

慢性肩こりにテープ剤を貼り続けることのリスク

病院でロキソプロフェンが処方されるとき、いっしょに胃腸薬が処方されます。ロキソプロフェンを飲むと胃が荒れることがある、ということはよく知られていることだと思います。実際には胃が荒れる人と荒れない人、個人差が大きいです。

ところで、なぜ胃が荒れるのでしょうか? NSAIDsと呼ばれる鎮痛解熱剤の作用機序は、痛みを発生させる元の物質の分泌を抑えることで痛みを抑えます。この痛みの元の物質をプロスタグランジンと言います。痛みの元というと、とても悪い物質のように聞こえるかもしれませんが、ふだんは人間の体に欠かせないさまざまな役割をしています。

そのひとつが血管を拡張する役目です。つまりプロスタグランジンの分泌を抑制すると血管が収縮し、血流を悪くするおそれがあります。それに伴って胃腸の働きに支障が出たり、胃壁に炎症が起きたりすることがあるのです。また、プロスタグランジンには胃粘液を分泌する作用があるため、これを抑えてしまうと胃が荒れてしまうことにつながります。

解熱鎮痛剤で痛みが軽減することと血流が悪くなることは、まさに作用と副作用の関係と言っていいでしょう。

問題はNSAIDsをずっと使い続けている場合です。肩こりや腰痛が慢性化し、テープ剤を毎日貼りつづけて1年、2年。さらにはもう何年貼っているか覚えていないよ、というぐらい貼りつづけている人がいます。その肩こりや腰痛は、薬を貼りつづけているのになぜ治らないのでしょうか? 痛みが日々生産されるから? ではありません。テープ剤をいくら貼っても、肩こりや腰痛の痛みを軽減するだけで、治療はしないからです。

テープ剤はあくまで痛みを軽減させる対症療法でしかありません。それを貼りつづけることで、むしろ血流が悪化している可能性もあります。肩こりや腰痛は筋肉のコリが原因であり、その解消には血行をよくすることが第一。それがテープ剤の慢性使用によって妨げられてしまうとしたら、本末転倒ではないでしょうか。

どんな薬にも作用と副作用があります。その出方は人それぞれ。しっかり効くけれど副作用はほとんど感じませんという人もいれば、効果は感じられないけど副作用を感じるという人もいます。そこは人と薬の相性というものもあれば、その人のそのときどきの体調も関係します。ただ、どんな薬にも作用と副作用がセットにあるということを忘れないでいただきたいと思います。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士。一般社団法人国際感食協会理事長。健康オンラインサロン「豆の木クラブ」主宰。薬剤師として医療現場に立つ中で、薬の処方や飲み方に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。薬漬けだった自らも健康を取り戻した。現在は、栄養学や運動生理学の知識も生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に薬に頼らない健康法をイベントや講座で多くの人に伝えている。近著に『薬は減らせる!』(青春出版社)。

構成・文/佐藤恵菜

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