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ちょっと待って! 「薬をやめてサプリメントに」の勘違い|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第24回】新型コロナ感染で長引くテレワーク、外出自粛。ここで増えてきているのが便秘です。通常、高齢者を除くと便秘に悩む人は圧倒的に女性が多いのですが、今、運動不足に陥った男性にも増えているのです。

市販の便秘薬、有名なあの薬は刺激系

市販の便秘薬は、その作用によって大きく2つに分けられます。大腸を刺激して排便を促すものと、大腸内で硬くなった便に水分を含ませて柔らかくして排便を促すものです。

ひとつめは、大腸を刺激することで腸の蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれる動きを活発にし、腸内にたまった便を押し出そうとする薬です。蠕動運動とは芋虫のような動き方のこと。大腸はふだん蠕動運動によって便を押し出しているのです。

以前から有名な「コーラック」は刺激性の薬です。主成分はビサコジルといいます。消化管の検査や手術の前、バリウム検査後に飲んで腸の中を排出させる際にも使用される成分です。それだけ刺激があるということです。もちろん市販薬では安全な量しか使われていませんが。

一方、大腸にたまりすぎて硬くなった便に水分を与えて柔らかくし排出させる薬の主成分は酸化マグネシウムです。酸化マグネシウムは腸から吸収されにくいことから、腸内の水分量を増やす作用があります。このため硬くなった便を水で軟化させ、膨らませることで排便を促すのです。

困ったら酸化マグネシウム系を試す

本来なら便秘の改善には繊維質をはじめバランスの取れた食事、適度な運動をすることが一番の対策になります。ただ、今は十分な運動するのがむずかしい状況です。そこで市販薬を使う場合ですが、まずは便を軟らかくして排出させる水酸化マグネシウムを使った薬から試したほうがいいでしょう。刺激性の薬は、人によっては刺激が強すぎて、ギュルギュルと腹痛を起こすこともあります。

刺激性の便秘薬を使う場合は、くれぐれも使い過ぎに注意してください。慢性の便秘に悩む女性が「コーラック」などの刺激性の薬を飲みつづけ、それでも便秘が改善せず、薬の量ばかりがどんどん増えてしまう、ということがあります。やがて、「ひと瓶飲んでも効かない」状態に陥ったケースもあります。便は出ないけれど腸は刺激されつづけるので、腹痛で七転八倒するという事態も生じます。もちろんこれは誤った服用ケースですが、刺激性の薬には、こうしたこわいパターンがあることをお知りおきください。

ドラッグストアで手に入る便秘薬には浣腸もあります。主な成分はグリセリンと精製水。直腸に注入して直に腸を刺激して排出を促すものですから刺激性の部類といえますが、成分がグリセリンですので、副作用などの害は少ないでしょう。ただ浣腸の場合、慣れないとうまく使えないという懸念があります。コツがつかめず、ムリして挿入しようとすると肛門を傷つけてしまうこともあります。

今こそ始める発酵食品で腸活

どの薬にも共通することですが、使っていると排便できるからといって、使い続けていいものではありません。本来なら自分の腹筋や腸の力で行うべき蠕動運動を、薬の力を借りて行っているわけで、それが長く続けば、腸が怠けることを覚えて結果的に弱ってしまいます。

そもそもなぜ便秘するのかというと、腸内の菌バランスが崩れ、いつもの蠕動運動ができていないからです。腸内の善玉菌が減って、悪玉菌が増殖している状態です。最近は「腸活」と言いますが、腸内環境を整えることが便秘の根本的な解決策になります。

その意味では、便秘には、整腸剤という選択肢もあります。乳酸菌の「ビオフェルミン」や、ビール酵母の「エビオス」などは、腸内の菌バランスを整える効果があります。

しかし、薬に頼らなくても身近な食材で腸活はできます。

腸内の善玉菌を増やす代表選手は発酵食品です。納豆、ヨーグルト、味噌、キムチ。他にもたくさんありますが、こうした食材を毎日、数種類、取り入れてみてはいかがでしょうか。

私自身が大好きで、みなさんにもおすすめしたいのは納豆とキムチです。今は仕事の会議や打ち合わせもメールやビデオアプリばかりで人と直接会いませんから、毎日「納豆キムチ」を食べています。

腸内環境を整えることは便秘の解消につながるだけではありません。腸内細菌のバランスと免疫力は、密接な関係にあるといわれています。腸には体内の免疫細胞の6~7割が集中しているとされており、 この免疫細胞を活性化させることが、外部からの病原体と戦う免疫力の向上にもつながるのです。新型コロナに負けない身体作りのためにも、とても大切なことなのです。制限のある生活ではありますが、腸内環境を整えるいい機会になるかもしれません。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士。一般社団法人国際感食協会理事長。健康オンラインサロン「豆の木クラブ」主宰。薬剤師として医療現場に立つ中で、薬の処方や飲み方に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。薬漬けだった自らも健康を取り戻した。現在は、栄養学や運動生理学の知識も生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に薬に頼らない健康法をイベントや講座で多くの人に伝えている。近著に『血圧を下げるのに降圧剤はいらない: 薬を使わない薬剤師が教える』(河出書房新社)。

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