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痒い水虫に、かゆみ止め入りの市販薬の使い方〜その1|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第29回】夏が来ればぶり返す人もいるでしょう、水虫。それは水虫の原因である真菌がしぶとく皮膚深く浸透して越冬しているからです。今年こそ治したい、でもわざわざ病院に行くのもちょっと……と、毎年やり過ごしている人も多いのではないでしょうか? 市販薬でしっかり治す方法は?

水虫の原因は皮膚が大好きなカビ

水虫の原因は皮膚糸状菌というカビで、「白癬菌(はくせんきん)」とも言います。白癬菌が発生するのは足の指や裏だけでなく、爪にできる爪水虫、頭にできるシラクモ、身体にできる体部白癬、股にできるインキンタムシ、手にできる手水虫など、白癬菌のテリトリーは身体全体に及びます。

白癬菌は「ケラチン」という成分を栄養源に生きているカビなので、ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも生息します。皮膚の表面の角質層にケラチンが多く存在するので、白癬は皮膚の表面に感染します。毛や爪は、角質が変化したものなので、毛や爪にも感染するのです。粘膜にはケラチンがほとんどありませんから、口の中などは白癬になることはありません。

カビの一種ですから、湿気や温かいところを好みます。靴の中、靴下に覆われた足は白癬菌にとって格好の繁殖場所なのです。

カビなので洗って落ちるわけではありません。いったん根を張ったカビはなかなか死滅しません。そのためいったん増殖してしまった白癬菌を絶やすには、白癬菌専用の薬が必要になるのです。

スイッチOTCで充実の市販薬

水虫薬には、白癬菌の殺菌作用を持つ抗真菌剤が入っています。水虫の場合、単にかゆみ止めを塗っているだけでは白癬菌は死滅せず、一時期、痒みは鎮まっても、治ったことにはなりません。本来なら水虫といえども自己判断せず、皮膚科で診てもらうに越したことはありません。中には痒いけれども水虫ではなくて、ほかの病原体が原因であることもありますから。

ただ、診察を受けるほどではない、市販薬で済ませたいと思う気持ちもわかります。実は、病院で処方される抗真菌薬の多くは、スイッチOTCとして市販薬で手に入ります。スイッチOTCとは、かつて病院で医師が処方する薬でのみ使われていた薬効成分で、安全性が十分に確認されたため市販薬でも同じように配合できるようになった薬です。

主成分の抗菌成分には次のようなものがあります。
・テルビナフィン塩酸塩
・ブテナフィン塩酸塩
・アモロルフィン塩酸塩
・ネチコナゾール塩酸塩
・ラノコゾール

市販薬には抗菌剤プラスかゆみ止め成分

市販薬をみてみましょう。

たとえば、私が薬局時代によく扱っていたのはテルビナフィン塩酸塩、商品名「ラミシール」です。これは今「ラミシールプラス」という名前で市販薬になっています。ただし、処方薬としてのラミシールと、市販薬のラミシールプラスには大きな違いがあります。

処方される「ラシミール」とはテルビナフィン塩酸塩のことです。一方、市販薬「ラシミールプラス」にはテルビナフィン塩酸塩に加えて、かゆみ止めのクロタミトン、グリチルレチン酸が入っています。さらに、患部がスッとする成分として有名なl-メントール、皮膚のかさつきやひび割れを抑える尿素も配合されています。

処方薬は患部を治療する主成分しか配合できませんが、市販薬にはそれに付随する症状を改善する成分も入れられるからです。

つまり病院で処方された「ラシミール」を塗っても効果を感じられないという方も、市販薬なら痒みがおさまったり、スッとしたりということが実感できるわけです。

他の製品もみてみましょう。

同じくスイッチOTCの抗真菌剤ブテナフィン塩酸塩を配合した「ブテナロック」は、かゆみを抑える成分として、クロルフェニラミンマレイン酸塩、グリチルレチン酸、クロタミトン、局所麻酔成分のジブカイン塩酸塩と、計4つ入っています。さらに、l-メントール、消毒剤にもよく使われる抗菌剤のイソプロピルメチルフェノールが入っています。

水虫のもっとも不快な症状「かゆみ」に対して、どの成分が効くかは一概には言えません。水虫の症状によって、また人それぞれの相性によって効能が左右されることがあるからです。「この成分は効く!」と思って使えば、プラセボ効果で効き目が実感できることもあり得ます。

成分量の違いもあるので単純比較はできませんが、一般論としては、かゆみ止め成分が複数種入っていれば、そのうちどれかが当たる確率は高くなります。

結局のところ使ってみなければ効果のほどはわかりませんが、その意味で、自分に合ったかゆみ止め成分を知っておくのは何かと役に立つのではないでしょうか。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士。一般社団法人国際感食協会理事長。健康オンラインサロン「豆の木クラブ」主宰。薬剤師として医療現場に立つ中で、薬の処方や飲み方に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。薬漬けだった自らも健康を取り戻した。現在は、栄養学や運動生理学の知識も生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に薬に頼らない健康法をイベントや講座で多くの人に伝えている。近著に『血圧を下げるのに降圧剤はいらない: 薬を使わない薬剤師が教える』(河出書房新社)。

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