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今こそ知っておくべき。処方薬と市販薬の違い|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第21回】病院への通院に注意を要する今日この頃です。ちょっとした不調なら病院に行かず、市販薬で間に合わせようと考える方が増えているのではないかと思います。そこで今回は、病院へ行って出してもらう「処方薬」と、薬局やドラッグストア、最近では薬剤師や登録販売者がいるスーパーやコンビニでも買うことができる「市販薬」の違いについてお話します。

オーダーメイドと既製品の違い

薬は、医師の診断のもと、医師が処方箋を出して、薬剤師が調剤する「医療用医薬品」と、薬局・薬店で自分で買うことができる「一般用医薬品」の2つに大きく分けられます。ここでは「医療用医薬品」を処方薬、「一般用医薬品」を市販薬と表記します。

処方薬は医師が診断し、患者さんが必要とする薬を処方するものです。かぜを例にとると、処方薬は医師が診察をして、熱があるなら解熱(げねつ)薬を、咳(せき)が出るのであれば鎮咳(ちんがい)薬を、というように、症状に合わせてその方に合った薬が処方されます。

一方、市販薬の場合は、第一に安全性が重視されています。若い方も高齢者も、あるいは大柄な人も小柄な人も、どういう人が使用するかわからないので、安全であることが最優先されます。そのため、薬の有効成分の含有量は、処方薬に比べると少なめになっているものが多く、病気の初期や軽症の段階で使用することを目的としてつくられています。

患者さん自身や家族の方が病気の症状を判断する場合も多いので、市販薬は様々な症状に対応できるようにつくられている場合も多いです。なので、「かぜ薬」は熱や頭痛・のどの痛みだけでなく咳・たん・くしゃみ・鼻水も抑えるといった「総合感冒薬」として販売されています。いろいろ入っている半面、ヒリヒリと痛むのどの炎症を抑える作用は不十分かもしれません。

ひと言で言うと、処方薬と市販薬の違いは、スーツで例えれば、オーダーメイドと既製服の違いです。オーダーメイドは自分にピッタリフィット。既製服はピッタリフィットとはいかないまでも、サイズさえ合っていれば十分着られます。

市販薬は薬効成分の量が少ない

処方薬と市販薬、具体的な違いは大きく2つあります。

ひとつは「薬効成分の量」の違いです。市販薬に入れられる成分量は処方薬よりも少ないものがほとんどです。「薬効成分が1つか複数か」の違いもあります。処方薬一錠に入っている薬効成分は基本的に1つです。患者さんの症状によって薬を組み合わせて処方することができます。一方、市販薬は一錠の中に複数の薬効成分を配合しています。たとえば、先に挙げたかぜ薬は「総合感冒薬」として複数の薬効成分が入っています。

薬はどんなものも作用と副作用がセットです。処方薬の場合、医師が診察して症状に合った薬を処方します。市販薬は購入の際には薬剤師に相談したとしても、常備薬的に家にある薬を飲む場合には、自分の判断で服用することも多いでしょう。薬を飲んで、副作用が出ることも考えられます。それが副作用だと気づかずに対処が遅れてしまうこともあり得ます。

そのため、万が一、副作用が出たとしても深刻な事態に陥らないよう、市販薬は薬効成分の量が少なめになっているのです。量が少ない分、安心、安全ともいえますが、言い換えれば、有効成分が少ないので効き目もそれなりということです。

市販薬は自分に不要な成分も併せ飲んでいる

総合感冒薬とは、解熱剤、のどの痛みを取る成分、鼻水を抑える成分など、かぜ症状のすべてを網羅する薬です。薬の説明書の効能書きには「かぜの諸症状(のどの痛み、せき、発熱、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、たん、頭痛、悪寒、関節の痛み、筋肉の痛み)などと書いてあります。小さな1錠にこれほどたくさんの効能が入っていることに驚かされます。

ドラッグストアの棚を見ると、「熱用」「のど用」「せき・くしゃみ用」「鼻用」など、症状別にラインナップされている商品が目立ちます。ただ、症状別にラインナップされた薬も、箱の裏を見ると効能には「かぜの諸症状」とあります。基本的には総合感冒薬なのです。

すべての症状に効くようにできているが、逆に言えば、熱はあるが咳も鼻水も出ていない人にとっては、咳を鎮める成分や鼻水を抑える成分は不要な成分ですし、咳を鎮めたいと思っている人にとっては、咳を鎮める成分以外は飲まなくてもいい成分です。つまり不要の成分も併せ飲んでいることになります。それでも安心安全を期して、飲んでも問題のない「大した量しか」入れていないということになります。

症状が1つのときの薬の選び方

もし症状が限定的であるなら、総合感冒薬ではなく、その症状に特化した市販薬を選んだほうが効果的です。不要な成分を飲まずに済みます。

・発熱だけでのどの痛みや鼻水はない場合→ただ熱っぽいだけ、熱が下がらないだけという人は解熱剤でいいでしょう。解熱剤としてロキソプロフェン(商品名「ロキソニンS」など)、アスピリン(「商品名「バファリンA」など」、イブプロフェン(商品名「イブA」など)などの市販薬があります。

・のどが痛いが熱はない場合→熱はないのに解熱剤を飲む必要はありません。のどの痛みに有効なのはトラネキサム酸などがあります。のどスプレーならアズレンスルホン酸が効果的です。

・鼻水がつらい場合→花粉症ではないのに鼻水が止まらない、急に鼻水が出てきて止まらないという場合は、抗ヒスタミン剤が効果的です。たとえば、マレイン酸クロルフェニラミン(商品名「ストナリニS」など)、塩酸ブソイドエフェドリン(商品名「ベンザ鼻炎薬アルファ」など)などです。花粉症の患者さんによく処方されるのが「アレグラ」「アレジオン」などの抗アレルギー薬ですが、今すでに出ている鼻水に対しては、抗ヒスタミン薬のほうが効き目が早いです。しかし、抗ヒスタミン薬は、個人差はありますが、服用後に眠くなることもなり、車の運転などはできませんので、お気をつけください。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士。一般社団法人国際感食協会理事長。健康オンラインサロン「豆の木クラブ」主宰。薬剤師として医療現場に立つ中で、薬の処方や飲み方に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。薬漬けだった自らも健康を取り戻した。現在は、栄養学や運動生理学の知識も生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に薬に頼らない健康法をイベントや講座で多くの人に伝えている。近著に『血圧を下げるのに降圧剤はいらない: 薬を使わない薬剤師が教える』(河出書房新社)。

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