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 マスク焼けが気になる今年。「日焼け止め」を塗るべきか、塗らざるべきか|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第27回】陽光眩しい季節になりました。今年は新型コロナの影響で外出時間は減るかもしれません。それでも日焼けしたくない、マスクの部分だけ白く残る、皮膚がん予防などなどの理由で日焼け止めを手に取る人もいるでしょう。日焼け止めは医薬品ではありません。しかし、肌への負担が大きいと言われており、注意が必要です。

日焼け止め成分の何が問題か

太陽光の紫外線から皮膚を守る……日焼け止めとは言い換えれば紫外線の防御剤です。そのために用いられる成分は大きく分けて2つです。

1.紫外線吸収剤:紫外線を吸収し、熱に変えて放出することで皮膚への吸収を防ぐ。

成分名としては、メトキシケイヒ酸エチルへキシル、パラアミノ安息香酸誘導体(ジメチルPABAオクチル)などがあります。
「SPF」という日焼けを防ぐ度合いを示す指標(後述)がありますが、SPFが高い製品には多く入っています。肌への負担感があり、肌荒れの原因になり得るので、敏感肌の人は気をつけたほうがいい成分です。

中でもメトキシケイヒ酸エチルへキシルは注意を要します。女性ホルモン、男性ホルモン、甲状腺ホルモンを撹乱するリスクが指摘されているからです。スウェーデンの環境NPOケムセック(ChemSec)の発表によれば、ラットを使った実験では妊娠中と授乳期の母親への暴露によって、母親と生まれた子に甲状腺ホルモンレベルの低下が見られました。

2.紫外線散乱剤:紫外線を物理的に反射することで皮膚への吸収を防ぐ。

成分名では酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなど。上の紫外線吸収剤と比べると肌への負担は少ないと言われていますが、皮膚の乾燥を招きやすい成分です。酸化チタンはWHO(世界保健機関)から発がん性が指摘されています。

これらの成分は、皮膚に白く残ってしまい使用感が悪いものでしたが、メーカーの製造技術の進歩とともに微粒子化(ナノ化)し、使用感も格段に良くなっています。しかし、粒子が細かくなればなるほど、皮膚から体内に浸透しやすくなります。日焼け止めの成分は皮膚上にとどまらず、体に吸収されていることになります。

ちなみに日焼け止めの効果を表す指標「SPF」はSun Protection Factorの略で、日焼けや肌の炎症の原因になる紫外線UV-Bの防御係数です。日焼け止めのパッケージにはSPF10〜50の表示が見られます。たとえばSPF30なら、「日焼け止めを塗らなかった場合と比べて30倍の紫外線に耐えられる」という意味です。

もうひとつPAという指標があります。こちらはProtection grade of UV-Aの略で、肌の老化の原因となるUV-Aを防ぐ度合いを示します。+から++++まであります。

つまり、SPFの高い日焼け止めは日焼けや炎症を防ぐ効果が高く、PA+の多い日焼け止めは肌の老化を防ぐ効果が高い成分構成ということになります。しかし、効果が高い分、成分そのものが皮膚に刺激を与えることもあります。

帽子、日傘、サングラス。紫外線カットもオシャレに

皮膚がん予防という視点から紫外線予防は大切だと思います。しかし、紫外線から肌を守れるものは日焼け止めのような化合物だけではありません。帽子をかぶったり、日傘を差したり、長袖を羽織ったりすることで、紫外線の直撃を避けることができます。紫外線は目からも多く吸収されますので、サングラスをかけるのも有効です。小物をアクセサリー感覚で使いこなすのも楽しいのではないでしょうか。

また、外から防御するだけでなく、体の内側からの防御が有効だと思います。日焼け後のシミ、ソバカスを減らすには、ふだんの食事からとる栄養がモノを言います。

皮膚はおよそ28日でターンオーバーする(入れ替わる)と言われています。年齢とともにシミやソバカスが目立ってきてしまうのは、このターンオーバーがだんだんと衰え、遅くなっていくからです。若者と比べることはできませんが、ターンオーバーのサイクルを維持するためには、何よりもビタミンやミネラルを含め栄養バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動が有効です。当たり前のことばかりですが、正常なターンオーバーが維持されていれば、日焼け止めに頼る必要はないのです。

もっとも、日中のアウトドアでスポーツしたり、キャンプしたりする場合は、その限りではありません。帽子やサングラスだけでは不十分と思われる場合は、日焼け止めを利用したほうがいいと思います。ふだんは帽子や日傘でしのぎ、本当に必要な時、必要な分だけ使いましょう。

ビタミンD生成には紫外線を浴びる必要が

紫外線は身体に悪さばかりしているわけではありません。紫外線を100%カットされたら、健康な暮らしはできないでしょう。

たとえば、体内でビタミンDを生成するには紫外線を浴びる必要があります。ビタミンDはカルシウムの吸収や筋肉の合成を助け、免疫機能を調整する役割があります。ビタミンDをしっかり生成することは、新型コロナウイルスから体を守るためにも重要なことだと思います。

また、肌を焼く紫外線が強力な殺菌力をもつのは確かです。コロナ禍の収束はまだ見えませんが、布マスクを洗って乾かす時には紫外線に当てるのが正解でしょう。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士。一般社団法人国際感食協会理事長。健康オンラインサロン「豆の木クラブ」主宰。薬剤師として医療現場に立つ中で、薬の処方や飲み方に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。薬漬けだった自らも健康を取り戻した。現在は、栄養学や運動生理学の知識も生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に薬に頼らない健康法をイベントや講座で多くの人に伝えている。近著に『血圧を下げるのに降圧剤はいらない: 薬を使わない薬剤師が教える』(河出書房新社)。

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