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  1. ファストバックはリアのデザインが特徴的。セダンは伸びやかなデザインでありながら「塊感」があり、走る姿も美しいと想像させるものに仕上がっている。
  2. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。

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マツダ・サバンナ|あのとき、僕も若かった(横山剣のクルマコラム 第8回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水曜日は「クルマ」をテーマに、CRAZY KEN BANDの横山剣さんが執筆します。

文/横山剣(CRAZY KEN BAND)

「東洋一のサウンドクリエイター」横山剣です。現代のそれを否定するつもりは全くありませんが、70年代のクルマのCMやカタログは妙に気になる、活き活きとしたものが多かった記憶があります。

「直感、サバンナ。」 シンプルながら力強く、どこかミステリアスなフレーズだと思いませんか?

これは1971年に「マツダ・サバンナ」が誕生したときのキャッチコピーなんです。サバンナは当時の「カローラ」や「サニー」よりわずかに大きい4ドアセダンまたは2ドアクーペボディに、かつてマツダのアイデンティティだったロータリーエンジンを搭載したモデル。ファンの間では「サバンナRX-3」と呼ばれることが多いのですが、これは「マツダRX-3」という輸出名称、およびレース仕様が「サバンナRX-3」と名乗っていたことに由来しています。

「サバンナ クーペGS II」のフロント写真。車名の通り、ワイルドなイメージに仕上がっています。

「サバンナ」のデビュー当時、11歳・小学校5年生だった僕は、発表展示会に行きました。確か銀座だったように思いますが、いまいち場所の記憶は曖昧です……。ただ、そこでもらったカタログははっきり覚えています。表紙がクロームメッキのような鏡面仕様の銀色で、クルマの姿はなく、冒頭に記したコピーが印刷されていたのです。何が始まるのだろう?と、とてもワクワクしました。

ページをめくると現れる、アフリカの草原を意味する車名にふさわしい、ライオンやチーターなどネコ科の猛獣を連想させるアグレッシブな顔つきもインパクトがありました。改めて見直すと、そのスタイリングはアメリカのマッスルカーをスケールダウンしたようでもあり、ちょっと微妙な印象。ですが、子供だった僕にはとてもカッコよく見えました。遅れて追加された「サバンナ・スポーツワゴン」にも驚きましたね。ワゴンなのにロータリー? スポーツ?と、少年の理解を超えていたのです。

「サバンナ スポーツワゴン」。いまでこそ走りを主張したワゴンは珍しくありませんが、当時は貴重な存在でした。

「サバンナ」の名を高めたのは、レースでの活躍です。デビュー直後からツーリングカーレースの王者だった「スカイライン2000GT-R」に挑み、その50連勝を阻止。以後約1年間の日産、マツダ両ワークスの死闘は語り継がれるところですが、僕にとって忘れられないのは、その少し後、1970年代後半に富士スピードウェイで行われたスーパーツーリング&GTレースにおける雄姿なんです。そのレースは数台の「フェアレディZ」を除きプライベーターによる「サバンナ」のワンメイク状態で、後に日本人で初めてF1にフル参戦した中嶋悟さんや、日本人初のルマン・ウイナーとなる関谷正徳さんも出走していました。耳をつんざくような金属音を発する、独特のロータリーサウンドを轟かせながら、そんな人たちがラップごとにトップが入れ替わるような激しいバトルを展開していたのですから、おもしろくないわけがありません。毎回、手に汗握りながら観戦していました。

レースで大活躍した「サバンナ」は、ストリートでも大暴れしました。高性能の割には低価格なことからやんちゃな青少年に愛され、「暴走族御用達」などという、メーカーや一般オーナーにとってはありがたくないレッテルまで頂戴したのです……。中学生時代、僕は横浜ドリームランド(編集部注:かつて神奈川県横浜市戸塚区にあった遊園地。ボウリング場や映画館、ホテルなども併設された一大レジャー施設として人気を博した。2002年、経営悪化のため閉園。)の真横に住んでいたのですが、その頃のドリームランド入口付近といえば、週末の晩ともなると街道レーサーが集結し、「夜のモーターショー」の様相を呈していました。

「サバンナ クーペGS II」。カタログには「目を射る、心を射る。サバンナは全身ロータリー。」とも。

そのけたたましいエキゾーストノートは、イヤでも家に侵入してきます。すると僕は「うるさいから苦情を言ってくる!」などと親に告げて家を抜け出しては、「サバンナ」をはじめとするシャコタン車の写真を撮ったり、お兄さんたちに「乗せてください」とお願いしたり。敵意のない中学生に対して、やさしかった彼らのカーステから流れていたのは、当時の“ツッパリ”、後にいうところの“ヤンキー”から圧倒的な支持を受けていたキャロル。そしてディスコで流行っていたソウルミュージック。彼らの好みはスリー・ディグリーズやスタイリスティックスなど、フィラデルフィア系の甘いサウンドでしたね。忘れちゃいけないのは夏木マリさん。セクシーな『絹の靴下』でブレイクした彼女は、“ツッパリ”の間で絶大な人気がありました。

というわけで、「サバンナ」にはいろいろな思い出があるのですが、考えてみれば、実は今まで一度もハンドルを握ったことがないのです。じゃあ、今乗ってみたいかというと、レース仕様には少し興味はありますが、ノーマルは……。かつて横山少年の直感に訴えたカッコよさを、記憶のなかに留めておいたほうがいいような気もするのです。様々な記憶とともに、頭の中で走らせてみる。これもクルマのひとつの楽しみ方かもしれませんね。

8月1日(水)に発売となったクレイジーケンバンド3年ぶりのニューアルバム。テーマは「支離滅裂」。あらゆる音楽のジャンルで構成された、20周年を記念する力作となっている。 3年分の創作意欲が爆発したという横山剣のコメントからもその熱量が伺える。初回限定版(CDに加え20周年記念スペシャルライブの模様などを収録したDVDが付くスペシャル版)¥7,000-(税別)。通常版¥3,000-(税別)。 写真は通常版のジャケット写真。

横山剣(CRAZY KEN BAND)
1960年生まれ。横浜出身。81年にクールスR.C.のヴォーカリストとしてデビュー。その後さまざまなバンド遍歴を経て、97年にクレイジーケンバンドを発足。今年クレイジーケンバンドはデビュー20周年を迎え、8月1日(水)には3年ぶりとなるオリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」をリリース予定。9月24日(月・祝)には、横浜アリーナでデビュー20周年記念ライブも行われる。http://www.crazykenband.com

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