美味へとつながる新技術の開発や食材資源に関わる謎の解明から、歴史や文化の視点まで。大学はさまざま専門的な研究を通じ、新たな「食」の魅力を見つける可能性にあふれている。
東京農大ゆかりの商品を販売

「食と農」の博物館(https://serai.jp/gourmet/1223970)がある世田谷キャンパス最寄りの小田急線経堂駅から3駅。世田谷代田駅のすぐ近くに、小さな構えながら魅力的な店がある。その名も『農大アンテナショップ「農」の蔵』。東京農業大学発の事業会社、株式会社農大サポートが運営している食料品店だ。
並ぶのは、いずれも東京農大ゆかりの商品だ。卒業生が営む醸造所の酒や調味料。同じく代表者がOBやOGの農産加工会社が作る漬物や保存食、丁寧に採取された蜂蜜やお茶。学生が実習で作ったジャム、大学と連携協定を結ぶ地方自治体の特産品など、その数は常時100種類以上。
商品は季節によっても入れ替わり、限定商品もある。数は多くはないものの、卒業生が育てた果物なども並ぶ。レジに登録された総数は年間に1000商品を超えるという。
入手難の日本酒が並ぶことも

「東京農業大学は農学・生命科学の総合大学で、卒業生は様々な分野で活躍しています。東京農大というと畑のイメージが強いかもしれませんが、食品加工や発酵関連に進んだ人も多い。そんな卒業生が関わっている商品を通じ、大学の学びについて広く知っていただこうというのが、この店です」
こう語るのは店長の中川徹さん(44歳)。自身も地域環境科学部森林総合科学科の卒業生だ。
いちばんの人気商品は日本酒を中心とした酒類だそうだ。東京農大が分離したバラの花酵母を使用した銘柄などもあり熱心な顧客がついている。味噌や漬物も人気の高い商品だ。
開店から6年。学びの成果を発信するアンテナショップではあるが、美味の揃う店としてもすっかり地元に溶け込んでいる。
「ほんとうはもっと多くの卒業生の商品を扱いたいのですが、売り場面積が限られているので紹介できるものはごく一部です。そこが歯がゆいところですが、年に一度しか入らない商品を心待ちにしてくださるお客さんもいます。ありがたいですね」(中川さん)
特産品の開発を通じ、地域貢献に汗を流す学生もいる。そうやって学んだ成果が加工品の形となって入荷したときは、売り込みに思わず力がこもるという。


農大アンテナショップ「農」の蔵

東京都世田谷区代田3-58-7
電話:03・6450・9156
営業時間:10時30分〜18時30分
定休日:火曜、水曜
交通:小田急線世田谷代田駅より徒歩約2分

