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  1. ファストバックはリアのデザインが特徴的。セダンは伸びやかなデザインでありながら「塊感」があり、走る姿も美しいと想像させるものに仕上がっている。
  2. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。

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「トヨタ セリカ」“未来からやってきた君とスペシャルな時代の幕開け”(横山剣のクルマコラム 第4回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水曜日は「クルマ」をテーマに、CRAZY KEN BANDの横山剣さんが執筆します。

文/横山剣(CRAZY KEN BAND)

「東洋一のサウンドクリエイター」横山剣です。みなさんは「スペシャルティカー」と聞いて何を想像しますか? スペシャルティという言葉の響きに含まれるなんとも艶っぽい感覚。クルマ好きの方にとっては、時代とともに様々な思い出が浮かび上がってくるのではないでしょうか? 特別な体験を与えてくれるワクワク感が詰まった存在。そんなクルマと出会いは、10歳のころ東京モーターショーでの出来事でした。

モーターショーなどに展示される、いわゆるコンセプトカー。近未来の市販車の方向性を示唆したモデルですが、いざ量産型がデビューしてみると、イメージが違っていてガッカリすることが少なくありません。でも、そのクルマは違いました。1970年、東京の晴海で行われていた東京モーターショーで、ターンテーブルに載って回る姿を見て「これはすごい!」と感動したクルマ、それが「セリカ」だったのです。前年のショーに出展されたコンセプトカー「EX-1」の未来的なイメージを基本としながら、「2000GT」や「スポーツ800」といったトヨタのスポーツカーの流れも感じさせる、スペースエイジである70年代の幕開けにふさわしい姿がそこにあったのです。

初代「セリカ」のカタログ。鮮やかなピンクの表紙が新しい時代の幕開けを感じさせる。タイプライターで打ち出されたようなメッセージのデザインがおしゃれ。

1970年デビューの初代「セリカ」は、日本初のスペシャルティカーと言われました。スペシャルティカーを定義すると、「実用車のシャシーにスポーツカー風のスタイリッシュなボディを着せたクルマ」ということになるそうです。いわば「根は真面目でちょっとお洒落」といったところでしょうか?世界的にはスペシャルティカーの元祖といえば1964年に登場した初代「フォード・ムスタング」。「セリカ」は、ユーザーが好みの外装、内装、エンジンやトランスミッションなどを豊富なリストから選んで組み合わせる「フルチョイス・システム」という販売手法を導入して話題を呼びましたが、これも「ムスタング」に倣ったものでした。クルマ選びの愉しさを広げる未来的な手法でした。

初代「セリカ」のカタログから。選ぶ楽しさに満ちていたことはこのページからも伝わってくる。

当時のCMもまたこれがスペシャルティで(笑)。初代「セリカ」は「ダルマ」と呼ばれ、愛嬌のある顔やそのふくよかでセクシーなボディラインが特徴ですが、CMではパイプをくわえた外国人女性がその「セリカ」のボディまわりをなでるように歩き、しまいにはボンネットに乗ってしまうという展開……。そして最後の決めセリフが衝撃的でした。女性は言うのです「こんなクルマに乗る男って、食べてしまいたいくらい」と。今ではなかなか出来ない演出だと思いますが、本当に印象に残るCMでした。そして僕は思いました、一体どんな男が乗っているんだろうと。

初代「セリカ」のカタログから。インテリアの魅力を紹介したページ。4種類の内装それぞれのイメージに合わせて女性が座っている。現代ではあまり見られない演出。

そうしたら、意外にも近くにいたんです。近所の植木屋の社長さんが「セリカ」を買ったんですよ。

フルチョイス・システムで選んだ、「ET」という角形フェンダーミラーやトホホな感じのホイールキャップの付いた外装に、ラジオも付かない質素な内装、おとなしいシングルキャブの1400ccエンジンと4段ギアボックスを組み合わせたベーシックなモデル。お金持ちなんだから、もっといいチョイスをすればいいのに?と思いましたが、ご本人も「車重に対してエンジンが非力で、ぜんぜん前に進まない」と不満たらたら。そりゃそうでしょう(笑)。

「セリカ」には、もうひとつ忘れられない思い出があります。1974年、中学2年のときに、僕はモナコよりもタイトなコースの公道レースとして知られるマカオ・グランプリを見に行ったのです。そこで舘 信秀さんの駆る黄色い「セリカ1600GT」が、ツーリングカーレースで優勝したんですよ。現在はトヨタ系チューニング/ドレスアップメーカーである「トムス」の会長であり、国内レースのトップチームである「トヨタ・チームトムス」の代表も務める業界の重鎮である舘さんも、当時はロングヘアが似合う20代のイケメンドライバー。その彼が初めて見る海外のレースで、日本車である「セリカ」で優勝したのですから、その光景は目に焼き付いて離れませんでした。

ちなみにマカオには、キャセイ・パシフィック航空で行きました。ちょうどこの年にキャセイ航空がテレビCMに使ったことで、バリー・ホワイト&ラヴ・アンリミテッドの『愛のテーマ』が日本でもヒットしたんですが、離陸と着陸の際に機内にあの曲が流れたんです。当時マカオには空港がなく、香港の啓徳空港経由で行ったのですが、以来、あのめくるめくようなストリングスのイントロを聴くと、ビルの間をすり抜けるようなスリリングな啓徳空港への離着陸の風景と、舘さんの「セリカ」の雄姿が脳裏に蘇るようになりました。なので、僕の中では「セリカ」を思うとき『愛のテーマ』が浮かぶのです。

背表紙には、“イカガデスカ。 ジユウブンニ ゴケントウ クダサイ”。とメッセージが。

そんな思い出のある「セリカ」ですが、残念ながらこれまで所有したことはありません。ほかにも気になるクルマが次々に出てきたことで、しばらく「セリカ」のことを忘れていたというか。ところが数年前にクラシックカーレースを走る速い「セリカ」を見て、やっぱりカッコいいなあと惚れ直しました。

出会いがあれば乗ってみたいですが、やっぱりノーマルがいいですね。レース仕様は好きだけど、ストリート仕様のシャコタンやカスタムはどうも苦手なんです。もし色やグレードが選べるとしたら、初期のイメージカラーだったオリオンターコイズメタリックというターコイズブルーの「1600GT」。その下のグレードである「1600ST」もいいですね。植木屋の社長さんと同じ、薄い抹茶色のメタリックのフルノーマルの「1400ET」があったら、ダサカッコよさのチャンピオンでしょう。結局、自分にとっての「スペシャル」が一番幸せなんだろうなとつくづく思うのです。

初代「セリカ」に負けず劣らずスペシャルティな クレイジーケンバンドのニューアルバム。約3年ぶりのデビュー20周年を記念したアルバムで全20曲を収録。3年分の創作意欲が爆発したという力の入った作品に仕上がっている。発売は8月1日(水)。写真は初回限定のジャケット写真。初回限定版(CDに加え20周年記念スペシャルライブの模様などを収録したDVDが付くスペシャル版)¥7,000-(税別)。通常版¥3,000-(税別)。

横山剣(CRAZY KEN BAND)
1960年生まれ。横浜出身。81年にクールスR.C.のヴォーカリストとしてデビュー。その後さまざまなバンド遍歴を経て、97年にクレイジーケンバンドを発足。今年クレイジーケンバンドはデビュー20周年を迎え、8月1日(水)には3年ぶりとなるオリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」をリリース予定。9月24日(月・祝)には、横浜アリーナでデビュー20周年記念ライブも行われる。http://www.crazykenband.com

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