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文/鈴木拓也

世の中には様々な健康法が出回っているが、多くが食事に何らかの制限を課すものとなっている。例えば、「肉は食べないほうがいい」、「塩分と糖質は極力控えよ」などなど。複数を組み合わせて実行したら、飢え死にするのではないかと思えるほど厳しいダイエット法もある。

それは果たして幸福なライフスタイルなのだろうか、と指摘するのは、浜松医科大学の高田明和名誉教授。肉、米、お菓子をよく食べ、酒も嗜んでいながら健康体を誇る、83歳のご長寿である。健康に気を配っていると言うが、それはあくまでも「健康は、食事をおいしく食べ、楽しく生きるための道具」という哲学から。また、「砂糖は太る」、「豚肉は健康に悪い」といった、世間で常識と思われている情報の多くは、最新の医学・栄養学の研究で否定されていると啓発する。

高田名誉教授のそうした知見を1冊にまとめた著書が『制限しないで長生きできる食べ方の習慣』(すばる舎)だ。

本書では、医学的エビデンスに基づいた砂糖や酒の効用、やや太め体型であることの肯定的な側面など、これまでの考えを覆す内容が盛りだくさん。本書で多くのボリュームを割いて解説されているのが「豚肉」の健康効果だ。健康に良くない食材の筆頭格と思われている豚肉は、実は健康食なのだという。その効用について、いくつか紹介してみよう。

血圧を下げ、血栓を予防

豚肉に豊富に含まれているアラキドン酸(脂肪酸の1種)。かつてはこれが血栓をもたらす1要因とされていた。しかし、今ではアラキドン酸には血圧や免疫系の機能を調整するはたらきがあることが判明している。さらに、アラキドン酸から生成されるアナンダマイドは血管を拡張させ、血圧を下げるという。これによって長期的には血栓の予防になる。

コレステロール値を調整

現在では、コレステロール値が高いから不健康という考えではなくなっている。高田名誉教授は、何例かの調査結果を引き合いにし、コレステロール値が低い人は、うつ病や不安神経症になりやすいとしている。また、コレステロール値が高い高齢者のほうが、そうでない人よりも寿命が長く、認知症になりにくく、脳梗塞にかかった時の症状が軽いとも。

そして、豚肉との関連については、「豚肉の脂は、体内のコレステロール過多を調整してくれる」のだという。つまり、コレステロール値が高すぎるときは、豚肉を食べるとその値が減り、値が低いときは増すはたらきがある。特に値が高いときは、パパインという酵素を含む果物(キウイフルーツ、パパイア、パイナップル等)と一緒に食べれば、コレステロール値を減らすのにより効果的だそう。「酢豚にパイナップル」は絶妙の組み合わせとなる。

疲れたときの疲労回復

高田名誉教授は、「ちょっと疲れているな、と思ったら、すぐに豚肉を食べましょう」とアドバイスしている。その秘密は豚肉に豊富に含まれているビタミンB1だ。

このビタミンには糖質をエネルギーに変える作用があり、脳を元気にさせるという。本書では「精神的ビタミン」とも呼ばれているが、逆に不足が続くと疲れやすくなり、食欲不振、動悸、気分の落ち込みに見舞われる。

ビタミンB1の1日あたりの必要量は、50~69歳の男性で1.1mg、女性で0.9mg。これは1日1食、食事に豚肉を加えればまかなえるそう。

*  *  *

高田名誉教授は、高齢者にありがちな粗食に徹する食生活は勧めていない。元気に長生きするにはある程度の体力が必要だからだ。粗食では体力が保てず、適量の肉が健康で幸せな生活を導くのだと諭す。固定観念を打ちはらい、さっそく今日の食生活から取り入れてみてはいかがだろう。

【今日の健康に良い1冊】
『制限しないで長生きできる食べ方の習慣』

http://www.subarusya.jp/book/b358439.html

(高田明和著、本体1,400円+税、すばる舎)

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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