年末年始の暴飲暴食で、胃の疲れを感じている人も多いことでしょう。一時的な胃の痛みはもちろん、生まれつき胃が弱い体質の方も食生活や生活習慣を見直してみると、胃の不調は改善されるもの。
そこで今回は、これまで『サライ.jp』でお伝えしてきた「胃をいたわる方法」に関する記事をご紹介します。今年も食事が楽しめるよう、胃をすこやかに整えていきましょう。
1:おいしく食べて、胃も整える万能食材
おでんやブリ大根など、冬の味覚には欠かせない大根。大根には消化を助けるアミラーゼという酵素がたくさん含まれているので、胃のケアには最適な食材です。ただし、アミラーゼは加熱すると失われてしまうので、大根おろしやサラダなど生で食べるのがベストです。
大根おろしの辛味が苦手な場合は、葉に近い部分をすりおろして、30分ほど置くと辛味が和らぎますよ。
※年末年始でお疲れ気味の胃腸に! 今こそ「大根おろし」を食べるべき理由
2:胃もたれの原因は、胃の機能が処理できないほどの暴飲暴食!
そもそも、なぜ胃がムカムカ、モヤモヤともたれてしまうのでしょうか。
『医師が教える内臓疲労回復』の監修者で総合内科医の中田航太郎氏によると、胃もたれの原因は、ずばり「食べすぎ・飲みすぎ」とのこと。
胃もたれのメカニズムは、摂取したものに対して胃の“溶かす働き”が追いつかず、ものが胃に長く溜まってしまっていること。一度に大量に食べたり、よく噛まずに急いでかきこんだりすると、胃が本来もつ機能で処理しきれず、胃液で溶かすのに時間がかかり、胃もたれの原因になるそう。
もし、暴飲暴食に心当たりがない場合は、精神的ストレスや生活習慣で、胃の働きをコントロールする自律神経が乱れているのかもしれません。
いずれにしても、揚げ物や肉料理など脂っぽいものを大量に食べることを控え、適量をよく噛んで味わって食べるのが一番の対策です。
3:「一日3食」は不要。内臓にもまとまった休息が必要です
健康のためには「一日3食」が大切かと思っていたら、『「空腹」こそ最強のクスリ』の著者である青木厚氏によると、一日3食では、「胃腸をはじめ、内臓が休む時間がない」そう。前の食事で食べたものが、まだ胃や小腸に残っている間に次の食べものが運ばれてきて、胃腸は休む間もなく常に消化活動をしなければならなくなり、どんどん疲弊していきます。
「最近、胸焼けや胃もたれの回数が増えた」「昔に比べて食欲が落ちた」という人は、胃が疲れている可能性が高いはず。食事の回数を見直して、内臓を休めてあげましょう。
※医師が教える「一日3食」が胃腸を疲れさせ体の不調を招く理由【「空腹」こそ最強のクスリ】
4:瘦せ型、体力のない人におすすめ! 漢方薬で胃を整える
胃薬は何を選んでよいかわからないという人は、漢方を頼ってみるのもひとつの手といえます。特に、次の体質や悩みを持つ人におすすめなのが「安中散(あんちゅうさん)」です。
・痩せ型でお腹の筋肉が緩みやすく胃腸が弱い
・胸やけや吐き気、食欲不振が悩み
・体力に自信がない
安中散は、胃もたれや消化不良、お腹の張り、食後の下痢などを改善し、さまざまな胃腸の不調に働きかけます。とくに、ストレス性の胃腸の不調に対して効果が期待できます。
※胸やけや胃腸の不調の救世主「安中散」【薬剤師が教える漢方薬辞典】
5:「機能性ディスペプシア」という消化器系疾患をご存じですか?
日本人の2人に1人が “胃の不調”に悩んでいると言われている中、全国の医師350名を対象に、インターネットによるアンケート調査を行ったところ、治療に困る消化器系疾患の第1位に「機能性ディスペプシア」があげられました(2019年)。
機能性ディスペプシア(FD)とは、症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部(みぞおち)を中心とする腹部症状を呈する疾患です。治療が難しく、専門医も手こずる“胃の不調”なのです。
また、機能性ディスペプシアの患者は、外見はやせ型で、内面は神経質でストレスフルな人が多いとか。心当たりがあり、胃の不調が続く人は、一度診察を受けてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、4人に1人の医師が自身の胃に不調を感じたとき、ヨーグルトを食べているそうです。
※専門医も手こずる“胃の不調”の原因「機能性ディスペプシア」の正体
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胃などの消化器官はとてもデリケートなので、暴飲暴食はもちろん、気候やストレスなどでもダメージを受けてしまいがち。胃が弱っていると感じたら、放っておかずに生活習慣を見直してみましょう。
文/編集部