日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。

解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

昭和26年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。久留米大学医学部教授などを経て、平成15年、糖尿病などの生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を開業。

間食にナッツ。同じ量なら“小分け”で

下のグラフ(図13)を見てください。

これは、同じ量の糖質を一気に摂ったときと少しずつ摂ったときの、血糖値およびインスリン分泌量の変化を表したものです。

具体的には、50グラムの砂糖を水に溶いたものを、5分以内に飲んだケースと、3時間半かけてちびちび飲んだケースで比較しています。

一気に飲むと血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンも急激に大量に出てきます。そして、急激に上がった血糖値が急降下しているのがわかるでしょう。

血糖値が急降下すると、だるさや眠気などさまざまな不快症状が出て慢性疲労を蓄積させます。

また、血糖値が上がれば糖尿病のリスクが高まるのはもちろん、インスリンをたくさん出さねばならない状態が繰り返されることで膵臓が疲れます

まさに、悪いことだらけです。

一方、同じ量の糖質でも、少しずつ摂ると血糖値の変動が少なくなります。

このことから言えるのは、「食事は規則正しく一日3食」という教えに囚われないほうがいいということです。「一日3食」の教えが生きるのは、毎食「腹八分目」を守れるような人たちです。

ひどい空腹を我慢して、どかんと食事を摂るくらいなら、ちょこちょこ間食したほうが利口です。

もちろん、3食がっつり摂った上で間食したのでは食べすぎです。間食した分は食事からさっ引いて、一日の摂取量自体は変わらないようにしてください

また、「間食イコールお菓子」という思い込みも捨てる必要があります。

疲れ知らずでいるためには、「なにか食べてもあまり血糖値が上がらない」という状況に身を置く必要があります。

甘いお菓子はもちろん、小麦を使ったスナック菓子は血糖値を上げるので極力、制限しましょう。

カシューナッツは糖質が多い

間食には、総菜類やサラダ、チーズ、豆腐、魚の缶詰などがおすすめです。

手軽さにこだわるなら、無塩タイプのナッツがいいでしょう。

ただし、カシューナッツは糖質が多いのでNG。アーモンドやくるみ、ヘーゼルナッツなどを中心に選びましょう。

加えて、ナッツは産地をしっかり確認してください。いい加減なところから輸入されたものは、添加物やカビなどの心配があります。

今は、JAS認証(有機)のものも出回っているので、購入するときの一つの目安としてください。

***

世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』

現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

『疲れない体をつくる最高の食事術』
牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)

 

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