クローゼットのハンガーまで。新居の整理で見えた義家族の敵意
離婚阻止のために出てきたお金の交渉は真衣さんの両親も立ち合う中で行われました。その発言に怒ったのは真衣さんの父親。父親の怒りはその場にいない真衣さんの夫、義父にも向けられたものでした。
「父親が『次は離婚に向けて、両家で再度話し合いましょう』と言い、義母を追い返しました。素直に帰ってはくれたんですが、その後も父親はずっと怒っていましたね。こういう時って誰かが怒ってくれたりすると、意外と自分は冷静になれるんですよね。父親は夫に対して『最初に会った時から何か気に入らなかった』とまで言い出す始末。でも、そんな姿に救われました」
その後、都内にて親同士の話し合いの機会が持たれ、当事者不在のまま離婚が決定。その後新居を整理しようと行ったところ、そこには義家族の敵意を感じる事実がありました。
「離婚の話し合いに立ち会わなかったのは、やはり少しメンタル的な部分が弱っていて、冷静になれそうになかったからです。相手は知りません。離婚については、慰謝料ももちろんいただきました。
そして、離婚成立後に片付けるためにいったマンションで見つけたのは、ご丁寧にゴミ袋に入れられた私の私物でした。義両親が買ってくれた家具はすべて無くなっていて、タンスの中に入れていた私の服が丁寧に畳まれてはいるものの、ごみ袋にまとめられていたんです。もっと衝撃だったのは、クローゼットのハンガーも義両親から服が型崩れしないタイプのものをいただいていたんですが、それがすべて無くなっていて、針金のハンガーに変わっていたこと。ここまでするんだって、ゾッとしましたね」
その後、義家族との連絡は一切とっていないとのこと。現在、真衣さんは新しい旦那さんと幸せに暮らしています。しかし後遺症なのか、義家族との関係は今もうまくできないと言います。
「やっぱり他人なんです。自分の子供のほうがかわいいのは当然ですよね。では、どのように付き合っていけばいいのか、いまだにわかりません。今の義両親はとても優しい人なんですが、いつコロッと変わってしまうかわかりませんから距離を縮めることが怖いです。今振り返ると、姑とうまくいかずに距離を取った母親の態度は正解なのかもしれません。それを認めてくれた父親の懐の深さもすごいなと。今の私の夫がもしそうなったときにその度量があるかどうか……。これからじっくり観察していきます」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。