取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺った佳奈さん(仮名・38歳)は自立した20代に両親が熟年離婚、そして母親の再婚で義父ができます。
小さい頃から両親は不仲だったこともあり、離婚を反対することはせず。しかし、離婚から1年後に実家で母親が同棲を始めた時は強い嫌悪感を覚えたと言います。
「離婚からたった1年なのにという思いより、自分の実家を汚された気持ちでした。実家にあるものを、家族ではない他人が勝手に使っている。同棲するなら相手の家にしてほしかったのが素直な気持ちでした。それに、うちの実家は団地。元々愛想のない母親はご近所でも少し浮いている存在で、さらに変な噂が広まったらどうしようと、そんな心配ばかりをしていましたね」
60代を目前に母親が再婚。母親の人生を表向きは応援したものの……
佳奈さんの実家で同棲は3年ほど続き、その後母親は再婚。ここでも佳奈さんは大人の対応をしたものの、実際に抱えた思いは正反対だったとのこと。
「昔から母親の何を言っても聞かない性格を知っていたし、3年間の同棲で何か家のお金が無くなるなどの詐欺的な要素もなかったので、反対する要素がなかったというか。母親はもう60手前だったので、『結婚という選択をする必要はないのでは?』と姉と一緒に提案はしました。それを『3年かけて、やっぱり結婚することにした』と言われたら、何も言えないですよ。結局は母親の人生ですから」
母親は結婚後に新婚生活を別のアパートでスタート。そこには何度か遊びに行ったこともあったそうですが、居心地の悪さを口にします。
「実家は団地だったので、義父の収入もあって、出ていくしかありませんでした。その時に実家に置きっぱなしにしてあった自分のものを整理しに行き、この空間がなくなってしまうことの寂しさが一番大きかったかな。
新居には何度か遊びに行ったことがありますが、そこは当たり前ですが、実家ではなかった。友人でもなく、会社でお世話になっている人のお宅へお邪魔した感覚に近かったですね。義父も姉と私との距離を探り探りなので、どうしてもお互いに気を使っていると感じることが多かったです」
【次ページに続きます】