海外で生活する中での乳がんが発覚。病気を経て、今までの気持ちに変化があった
その後は上海の会社に就職、会計士の勉強をするために一時東京に。そして合格とともに再度香港、上海などで働いていた時、中国の病院で正美さんにある病気の疑いが発覚します。
「本当に思い返してみると怒涛の人生ですよね。親は反対したかもしれないけど、まったく覚えていないのでそこまで強く言われなかったんでしょう。本当に好き勝手やっていましたね(苦笑)。
日本に戻ったきっかけは病気でした。たしか2014年の末にあった健康診断で胸にしこりが見つかり、医者から日本で検査したほうがいいと言われたので、その時に久しぶりに日本に戻った感じです。そして、2015年に乳がんと診断され、手術、投薬治療を今も続けています」
その後は大阪で通院しながらも再就職を果たしますが、正美さんの中である気持ちの変化があったと言います。それは……。
「実家によく帰るようになりましたね。実際病気になって思うのは、絶対に両親より長生きしなくてはいけないという気持ちだったんです。それに両親に心配をかけないためにも『私はとても元気だよ』って姿を見せ続けなければと思いました。今まで散々心配をかけているとは思いますが、今までのとは違いますからね。親より長生きすることだけは子供の義務として、果たしたいと思っています」
正美さんは、今は東京に仮の拠点を置きながらも夏頃には北海道、または海外で仕事をする計画を立てているとか。しかしちゃんと実家に帰ることももちろん計画に入っていると言います。「今振り返ると、両親はいつも私のことを対等に見てくれていました。私が色んな人生を歩んでこれたのは、父の外に出るべきという考え方と、何に対しても反対せずに見守ってくれていたからだと思います」と正美さんは笑顔で語ります。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。