取材・文/末原美裕
京都で長年活躍している目の肥えた方々が足繁く通うお店は、間違いなく感動と出会えるところ。本連載では目利きの京都人の方が太鼓判を押すお店を紹介していきます。
今回、京都人のお墨付きの場所を教えてくれるのは、綴織(つづれおり)職人であり伝統工芸士の平野喜久夫さん。綴織は日本美術織物の最高峰だといわれており、正式名称を「西陣爪掻本綴織(つめがきほんつづれおり)」といいます。機械は使わず人の手足のみで操作する「綴機(つづればた)」を使用し、「爪掻(つめがき)」という伝統的な技法で文様を織り上げます。西陣織の中で最も歴史が長く、爪で織る芸術品とも呼ばれています。
平野さんは綴織の技術保存を目的とした「奏絲綴苑(そうしつづれえん)」を主催し、熟練職人と若手職人の交流の場の提供、そして綴織の幅広い普及と継承・保存、発展に尽力されています。
また、一般の方に向けた手織り体験や工房見学も受け付けています。初心者なのは当たり前、丁寧にわかりやすく教えてくれますよ。
(綴織職人 伝統工芸士・平野喜久夫さんおすすめの「ギャラリーカフェアンドバー・ハピイ」はこちら)
こだわりのコーヒーが飲める24時間営業のカフェ
ハーバー北野白梅町店
「仕事に根を詰めてくたびれたときに、ぼーっとすることのできるカフェです。天井が高く開放感があり、一つ一つのテーブル席がゆったりとしているから、誰に遠慮することもなく、のんびりできますよ」と平野さんがおすすめしてくれたのは、「ハーバー北野白梅町店」。北野天満宮やわら天神、金閣寺がある、洛西エリアに位置する西大路通り沿いのお店です。アメリカ西海岸のような雰囲気を持つ、広々としたカフェは地元の方に愛されています。
「ハーバーカフェはコーヒーが自慢のお店なんですが、初めて連れて行く友人がいたら、必ず頼むのがフルーツヨーグルトパフェ! びっくりするような大きさに、笑ってもらいたくて。でも、美味しいからみんなペロリと食べてしまうんですよ」と平野さん。
おすすめのフルーツヨーグルトパフェを早速いただきましょう。
高さ30センチメートルを誇るフルーツヨーグルトパフェが登場すると、確かに笑みがこぼれます。バナナ、オレンジ、ラズベリーなどのフルーツと生クリームの上にかけられたブルーベリーソースが色鮮やかです。
「生クリームもバニラも控えめな甘さなので、大人にちょうどいいですよ」と平野さん。パフェを食べ進めていくと、間には桃やみかん、ぶどう、チェリーといったフルーツとヨーグルトの層が出てきます。食感が変わり、食べるスピードも一段上がります。あんなに大きかったパフェがあっという間になくなってしまうのだから驚きです。
「女性が一緒の時は、ケーキセットもよく頼んでいますね」と平野さん。ハーバーカフェのケーキはすべてパティシエの手作りでセントラルキッチンのある滋賀から運ばれてきます。
スイーツの他にもサンドイッチやパスタ、カレー、サラダがあり、24時間どの時間帯に訪れてもすべてのメニューに対応してくれるのが魅力です。
地元の常連さんたちが「いつものちょうだい」とくつろいでいる姿を見て、それに倣っていると、こちらもついつい長居をしてしまいます。
金閣寺や北野天満宮を訪れる際にちょっと足を伸ばしてみると、京都人が通うカフェに出会えますよ。
■平野喜久夫さん
綴織職人、伝統工芸士。1939年、京都・西陣に生まれる。綴織の機屋の父に師事し、3代目を継ぐ。川島織物セルコンに入社後、40年あまり技術を磨く。その後西陣織会館にて後継者育成などに携わったのち、2011年に綴織技術保存会「奏絲綴苑」を設立。綴織の魅力を伝えるべく、工房を公開し、見学や体験教室などを行っている。瑞宝単光章叙勲。 手織り体験・工房見学はこちら。
■ハーバーカフェ北野白梅町店
営業日:年中無休
営業時間:24時間営業
住所:京都市北区北野紅梅町88
TEL:075-464-7272
アクセス:京福電車 「北野白梅町」 下車、徒歩約1分
https://harbor-cafe-kitano-24hrs-open.business.site/
取材・文/末原美裕
小学館を経て、フリーの編集者・ライター・Webディレクターに。2014年、文化と自然豊かな京都に移住。