【ビジネスの極意】「社内新聞」「社員食堂」「社員研修」|社員のコミュニケーションを活性化する方法

社員のコミュニケーションの活性化に悩んでいる人も多いことだろう。そのためには、どんな方法があるのだろうか?

リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」から、社員のコミュニケーションを活性化させる方法を紹介しよう。

* * *

社員のコミュニケーションを活性化する有効な選択肢とは

社員のコミュニケーション力が不足している時、「本人のせいだ」と考えている経営者や人事担当者は注意が必要です。社内のコミュニケーション問題は、多くの場合社員個人の属人的な問題ではないからです。
プライベートでよく喋る人が、会社でほとんど会話しないことは珍しくありません。またブラック企業と呼ばれるほど「悪いこと」をしているわけではない会社であっても、多くの社員が「働きづらい」と感じている会社は存在します。

社員間の意思疎通がぎくしゃくしていると感じている経営者や人事担当者は、社員がコミュニケーションを深められる職場づくりに取り組みましょう。
企業向けのコミュニケーションツールとしては、システムやアプリを使う方法もありますが、こうしたデジタルなツールだけでなく、最近はアナログな手法も見直されています。
人事担当者は、さまざまなコミュニケーションツールを試しながら、社員に喜ばれる会社をつくっていってください。

「チャットシステム」は時間を縮める

円滑なコミュニケーションのためには、デジタルなコミュニケーションツールの導入も有効です。
例えば、チャットワーク株式会社が提供するチャットシステム「チャットワーク」は、一部上場の大企業だけでなく、町の歯科医院や税理士事務所など、小さな事業者にも利用されています。[1]
チャットワークは、無料チャットアプリLINEのビジネス版、といえばイメージがわきやすいでしょうか。チャットワークに登録したユーザーどうしがシステム上でチャットをします。チャットとは、インターネット上で文章で会話するコミュニケーションのことです。チャットの会話は長期間にわたって保存されます。
さらにLINEと同じようにグループをつくることができ、グループメンバー全員がチャットに参加したり会話の内容を閲覧できたりします。

チャットワークはパソコンでもスマホでも使えます。また、グループメンバーが業務内容を共有できるタスク管理機能や、ワードやエクセルや動画などのデータやファイルを共有することもできます。

このようなコミュニケーションツールは、情報共有にかかる時間を縮めるために有効に機能するでしょう。
IT大手のサイバーエージェントはチャットワークを導入して、1人1日1.26時間、事業本部全体で月25,000時間の効率化に成功しました。[2]
チャットワークのようなデジタルツールを使えば、コミュニケーション密度を短期間で高めることができるので、生産性を向上させることが期待できます。

また、デジタルツールは出先でも自宅でも社員どうしをつなぐことができるので、社員の働く場所を格段に広げます。例えば、簡単な用件を片付けるために休日出勤を強いるといった非効率な働き方をしなくて済みます。
デジタルツールは働き方改革にもつなげることができるのです。

「社内新聞」が明確なコンセプトを引き下げて復活

続いてアナログなコミュニケーションツールを紹介します。
20代や30代のビジネスパーソンのなかには、自分の職場で社内新聞や社内報をみたことがないという人もいるでしょう。
かつては多くの企業が社内新聞を発行していました。大抵は総務部の若い社員が「記者」になり、社内を「取材」して記事を執筆したり写真を撮ったりして、従業員だけに配布する紙媒体を作成していました。
社内新聞は従業員どうしの絆を強める効果がありましたが、転職や中途採用が珍しくなくなったり、終身雇用制が崩壊したりしたことなどからその意義が薄れました。さらに非採算部門のコストカットや人員削減が進んだこともあり、社内新聞は廃れていきました。

ところが最近は「ニュー社内新聞」と呼べるような新しいコンセプトの社内新聞が登場し、注目を集めています。[3][4]
ニュー社内新聞の特徴は、「重要プロジェクトを社員に周知する」「育児休暇から復帰したばかりの社員の働き方を紹介して福利厚生をPRする」といった明確なコンセプトを持っていることです。

役員会議で重要プロジェクトを決定し、それを部長におろし、部長が課長に伝え、課長が一般スタッフに知らせる上意下達方式は「硬い」印象があります。課長による口頭説明だけでは、一般スタッフが重要プロジェクトの重要性を理解できないかもしれません。
社内新聞なら、社長のインタビュー記事をつくることもできますし、プロジェクトメンバーを紹介して意気込みを語ってもらうこともできます。重要プロジェクトを「柔らかく」伝えることで、末端の従業員にまで事業の意義を浸透させることができます。
重要プロジェクトの内容を社内で共有できるようになると、多くの社員が「協力しよう」という気持ちになるでしょう。

また育児休暇から復帰した社員を社内新聞で取り上げれば、社員を大切にする会社というイメージを社内に形成することができます。離職率の高さに悩んでいる企業にとって、この「いい意味での内向き」のイメージ戦略は、社員のつなぎとめに貢献するでしょう。

「社員食堂」でパワーランチを取り入れよう

かつての社員食堂は、安いだけというところも少なくありませんでした。そのため、おいしさを求める社員や健康志向の従業員たちからそっぽを向かれるようになり、衰退していきました。
ところが現代の「ニュー社員食堂」は豪華さやヘルシーを売りにしていて、従業員たちの絶大な支持を得ています。

アメリカには「パワーランチ」という特別な昼食習慣があります[5]。取引先や同僚などと昼食を摂りながら仕事の話をしたり会議をしたりします。
正式な会議では堅苦しすぎるが、夜の飲みの席はくだけすぎる場合、昼食がちょうどいいのです。
また、昼食ついでの打ち合わせなら、上司と部下の垣根を簡単に超えることができます。上司は部下の本音を聞き出すことができますし、部下は上司の意外な一面を発見することができるでしょう。

社内に社員食堂を設置すれば、その手軽さから公式、非公式のパワーランチが頻繁に開かれるようになり、社内コミュニケーションを深めながら生産性を高めることも期待できます。
ただそのためには、社員食堂を充実させなければなりません。[6]

例えば日立製作所は2017年に、拠点のひとつの社員食堂を大規模改装し、明るく清潔な雰囲気に生まれ変わらせました。メニューも充実させ、例えばローストビーフ丼は分厚いビーフがたっぷり130グラムのっていて、さらに半熟卵とカイワレ大根とレタスをトッピングして、サラダとスープもついています。これで864円です。
また1日に必要な野菜の3分の1を摂ることができるベジタブルメニューも充実しています。

社員食堂の昼食が楽しみになれば、社員たちは積極的に「社員食堂に行こう」と思うようになるでしょう。これは、社内に「社員が喜ぶ場所」をつくったことになります。これこそ、コミュニケーションを深める職場づくりといえます。

「社員研修」も工夫次第でコミュニケーションツールになる

社員研修でも、社員のコミュニケーション力を向上させることができます。
社員研修サービスを提供している会社のなかには、コミュニケーションを高める内容の研修を提供しているところもあります。その研修では、コミュニケーションの重要性やコミュニケーションギャップの埋め方などを教えます。[7]

また、例えば合宿を行えば、社員研修を使ってコミュニケーションを深めることができます。[8]
廃校になった小学校を借り切って合宿研修を行っている企業もあります。「研修」とは銘打っていますが、イベント性も持たせて「社員旅行」の要素も盛り込んでいます。従業員どうしの距離を短期間で縮める効果が期待できます。

まとめ~あえて「意思疎通」「会話」といってみよう

「ニュアンス」や「プロジェクト」と同じように、「コミュニケーション」という言葉も職場でカタカナのまま使われています。
しかしカタカナ用語はときに本質を見失わせることがあります。経営者が「うちの社員はコミュニケーションが不足している」と言った場合、意思疎通が図られていないのか、会話が少ないのか、仲が悪いのかわかりません。

そこで人事担当者は、あえて「意思疎通」や「会話」や「和解」といった意味が明確な日本語を使って、社内のコミュニケーション問題について検討してみてはいかがでしょうか。
ホウレンソウ(報告、連絡、相談)がなっていないのであれば、チャットシステムのようなデジタルツールが効果を発揮するでしょう。
そもそも社員どうしがお互いに相手のことを知らない会社であれば、社員紹介ができる社内新聞が有効です。
若手社員とベテランの間で世代間ギャップが起きていれば、合宿研修のような「荒療治」が効くかもしれません。

人事担当者は、社内のコミュニケーション問題の課題を具体的に把握したうえで、コミュニケーションツールを選定してみてください。

【参照】
[1]ビジネスが加速するクラウド会議室(チャットワーク)
https://go.chatwork.com/ja/
[2]ひと月あたり2万5千時間以上の業務の効率化を可能にした大手広告代理店のチャット活用法(チャットワーク)
https://go.chatwork.com/ja/case/cyberagent.html
[3]はじめて担当者になった方へ 社内報入門(社内報の教科書)
https://www.shanaihokenkyusho.com/introduction/
[4]【成功企業の社内報6選】「読まれる」社内報完全マニュアル(WORK&LIFE)
https://and-l.jp/magazine/syanaihou/#2
[5]できるビジネスマンが実践している、パワーランチとは
https://www.workport.co.jp/plus/articles/1051
[6]すごい社食(日経XTECH)
https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/16/100300217/
[7]コミュニケーション研修(SMBCコンサルティング)
https://www.smbcc-education.jp/training_detail/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%A0%94%E4%BF%AE/
[8]会場は廃校!研修は図工・音楽・体育!?他にはないユニークな社員合宿のすべてを大公開!(WANTEDLY)https://www.wantedly.com/companies/spacemarket/post_articles/129086

* * *

いかがだっただろうか。社員のコミュニケーションの活性化には、デジタルなツールだけではなく、アナログ的な昔からある「社内報」や「社食」「研修」なども有効な手段になりうる。要は昔の手法、と敬遠するだけではなく、有効なツールとして以前からのものと最新なもの、適材適所で使用するのが最善な方法である、ということがおわかりいただけただろうか。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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