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8日目《名寄から留萌へ・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

昨年夏『サライ.jp』に連載され好評を博した《実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅》。九州・枕崎駅から北海道・稚内駅まで、普通列車を乗り継いで行く日本縦断の大旅行を完遂した59歳の鉄道写真家・川井聡さんが、また新たな鉄道旅に出た。今回の舞台は北海道。広大な北の大地を走るJR北海道の在来線全線を、普通列車を乗り継ぎ、10日間かけて完全乗車するのだ。

※本記事は2018年5月に取材されたものです。北海道胆振東部地震により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。少しでも早い復旧と皆様のご無事をお祈りしております。

文・写真/川井聡

>> 前回【8日目・その1】から続く


滝川に到着。乗り換え時間は約1時間。駅前散歩で乗り換え時間を楽しむ。

駅前からは、新十津川方面に行くバスが停まっていた。

 

滝川はグライダーの街。天気のいい日には青空を翔るグライダーが見えることもある。駅前広場には、ホンモノのグライダーが展示されていた。

 

駅の裏手では函館本線や根室本線で使われるキハ40系が休んでいた。

 

乗客用の跨線橋の突き当りには、職員専用の通路がある。もちろん立ち入り禁止だ。

 


滝川から函館本線を北上し、留萌本線との乗り換え口となる深川駅へ。

深川には「ウロコダンゴ」という名物がある。長年名前だけしか知らない存在だった。昔から時刻表の「名産と特殊弁当」に載っていたのだが、あまり食欲をそそらない名前に、これまでつい手が伸びないままだった。

中をみると三角形のういろうのような餅である。

しかしどうしてこんな名前を付けたんだろう? 駅の案内所で話を聞いたら、こんなエピソードを教えてくれた。

ウロコダンゴが登場したのは、1910年の深川と留萌を結ぶ留萌線開業がきっかけである。

駅でダンゴを売り出した社長は新潟出身。郷土新潟県・水原の名物「椿餅」にちなんで「椿団子」として売り出した。しかし当時の深川駅長の苗字も「椿」さん。これではまるで駅長が小遣い稼ぎをしているようで具合が悪い、と名前の変更を依頼。社長は考えあぐねた結果、現在の名前になったという。

留萌本線のメインとなった貨物は留萌炭鉱の石炭や日本海で取れる鰊。貨物車の車体に大量に張り付いたニシンのウロコがその由来だった。

深川駅の屋根には雪下ろしの時に体を支える支柱が立っている。いかにも豪雪地帯という仕様だ。
ここから乗車する車両は、再びキハ54。

 

留萌本線の秩父別駅。ここにも驚くほどたくさんのホーロー看板が付いている。

 

そのお隣の北秩父別駅。こちらにはホーロー看板は見当たらず、駅の壁に手書きの木の板で駅名が書かれていた。

映画「ぽっぽや」の撮影が行われていたのと同じころ、留萌本線では本州からSLを持ち込んでロケが行われた。NHKドラマの「すずらん」だ。ドラマで登場した明日萌(あしもい)の駅は今も健在だ。恵比島駅のホームに撮影用に作られた駅舎だが、実際の駅よりもっとリアル。ただ駅前の集落はドラマ撮影のころより人口が減少。住人が数えるほどの限界集落となっている。


恵比島駅から急勾配をお目がループで上下し峠下駅に到着。ここはその名前の通り峠の下である。ここで列車交換。


はしれども走れども萌黄色の山。

深川駅から約一時間で、夕暮れの留萌に到着した。


すこしまでは増毛までが留萌本線だったのだが、現在は廃止。

駅の表示版はそのまま使われ、そこには二度と使われることのない文字だけが残っていた。

留萌駅のプラットホーム。今はほとんど使われていない2・3番ホーム線だがホームの真ん中にある花壇は、駅員さんが丹精したらしい花が満開だった。

林業や石炭、そして鰊で賑わった留萌。待合スペースには巨大な木彫りのカズノコがある。


留萌駅外観。留萌本線の中間駅であり、日本海沿いに幌延まで走る羽幌線との分岐駅。臨港鉄道もあり大量の貨車を扱っていた。現在の駅舎は昭和40年代に建てられたもの。二階建ての大きな駅舎が、かつての駅の規模を物語っている。


留萌に来たら、訪れてみたいところがあった。かつての留萌本線の終着・増毛駅である。2016年12月に廃止となってしまったが、日本海に沿った景色の美しい区間である。線路と国道はほぼ並行していたため、同じ海景をこんどはバスから眺めてみようというこころづもりだ。


根室本線で乗車した代行バスはひとつずつ「駅」を「巡礼」するように進むところに、列車の気配を感じた。

今回は元の線路とほぼ並行して走る路線バスだが、おもしろいもので代行バスとは、乗車の感覚がやはりまるで違う。もちろん半分くらいは自分の思い込みなのだろうけど。


そうはいっても移動の楽しさは変わらない。夕暮れ近い海岸線を増毛に向けて快走する。


バスは増毛の街中を通って、増毛駅の跡に到着。ここは高倉健主演の映画「駅・STATION」の舞台となったところ。駅前の商店を改造してロケ用に作られた「風待食堂」は、観光案内所として今も健在だ。映画の時代がそのまま残されている。


留萌―増毛の鉄道が廃止されて1年あまり。

鉄道現役時代、一度は規模を小さくする改造された駅舎も再び元のような大きさに戻り、元の駅構内はそれなりに整備され鉄道があったころよりきれいになったようだ。

仕方ないことなのだが、無くなってから、守ろうとしても限界がある。そう考えると、先日来あちこちで出会った高校生たちの方が攻めに回っている分だけ未来に繋がる気がした。

夕暮れの「駅」に観光客の姿は見えない。閉館時間間近の遊園地にいるような気分で周辺を歩く。
きれいな駅舎に、きれいなホーム、そして錆びたレール。やはりもうここに列車はこないのだ。

 

増毛→留萌

増毛からの帰り道の夕焼けがあまりにきれいだったので、留萌についてから町はずれまで出かけてみた。もう使われなくなった臨港鉄道と留萌本線の鉄橋が、月とともに薄暮の空に浮かんでいた。

 

留萌の街の中心地にある「やまと会館」 木造二階建ての上に明り取りの窓を乗せた独特の構造。ニシン漁や石炭の産出が盛んだった昭和28年に立てられたもの。酒場や旅館が作られ留萌を代表する歓楽施設だった。明り取り屋根の部分は太い梁を組み風雪にも耐え、豪雪の時にも太陽の光を天井からふり注がせる構造で、雪国の賑わいを感じさる建物だ。

20年以上前の厳冬期、留萌を訪れたときに偶然訪れたことがある。その時は正体不明で場所もうろ覚えだったため、その後は再訪することができなかった。あたかも遠野物語の「マヨヒガ(迷い家)」のような気分である。今回の留萌訪問であらためて探してみたらホテルから歩いてすぐのところに建っていた。冬とはあまりに違う景色だったため今まで見落としていたようだ。内部に入って見上げてみると、昔見た木の梁がいまもしっかりと屋根を支えていた。


《9日目に続く!》

【8日目・その2乗車区間】

滝川~深川~留萌(函館本線・留萌本線

【8日目乗車区間】

名寄~旭川~滝川~深川~留萌

(宗谷本線・富良野線・根室本線・函館本線・留萌本線)

8日目の総乗車距離 258.8km、8日目の新規乗車 182.6km、未乗車距離  291.2km

文・写真/川井聡
昭和34年、大阪府生まれ。鉄道カメラマン。鉄道はただ「撮る」ものではなく「乗って撮る」ものであると、人との出会いや旅をテーマにした作品を発表している。著書に『汽車旅』シリーズ(昭文社など)ほか多数。

  1. JR北海道全線踏破10日間の旅

    10日目・最終日《苫小牧から様似(えりも岬)・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

  2. 10日目・最終日《苫小牧から様似(えりも岬)・その1》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

  3. 9日目《留萌から苫小牧へ・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

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  5. 8日目《名寄から留萌へ・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

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  14. 4日目《新得から根室へ・その1》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

  15. 実録「青春18きっぷ」で行けるJR北海道全線の旅:3日目《札幌から新得へ》

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