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6日目《北見から美深へ・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

昨年夏『サライ.jp』に連載され好評を博した《実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅》。九州・枕崎駅から北海道・稚内駅まで、普通列車を乗り継いで行く日本縦断の大旅行を完遂した59歳の鉄道写真家・川井聡さんが、また新たな鉄道旅に出た。今回の舞台は北海道。広大な北の大地を走るJR北海道の在来線全線を、普通列車を乗り継ぎ、10日間かけて完全乗車するのだ。

文・写真/川井聡

>> 前回【6日目・その1】から続く

 

 

日程を考えると余裕がありそうだが、そんなにゆっくりとはしていられない。なにしろこの先に待つのは日本最大の盲腸線、宗谷本線である。音威子府~稚内の普通列車は深夜早朝を入れて一日3往復のみ。普通に乗り継いでも、往復には二日かかってしまうのだ。もちろんやる気になれば、一日で往復することもできる。旭川駅を6時5分の始発列車で出れば、深夜の23時39分に旭川駅に戻ることができる。でもそれじゃ、旅なんだか罰ゲームなんだかわからない。

今日のうちに宗谷本線に入って北上するか、乗り残しになりかねない旭川~深川を乗りつぶしておくか? 駅そばを食べながら時刻表をながめていたら、結論は意外と早く出た。

深川まで行くのは留萌線に直通するディーゼルカーだ。嬉しいからこれに乗ろう。

函館本線・近文駅ホーム上の待合室。木造駅舎のようなたたずまい。

東海道新幹線の椅子?

扇風機には国鉄のシンボルJNRマーク、運転室のドアにはJRのロゴ。車両の歴史がこんなところでうかがえる。

30分で深川駅に到着。乗ってきた車両にスマホを向けて記念写真。彼女は友達のところに遊びに行く途中。

こちらは旭川までの折り返し、駅で一時間の列車待ち。一見、無駄に見えるこの時間がありがたい。すぐに折り返しではいったいどこに行ったのかわからない。ほんとはできれば最低4時間は一つの街で過ごしたいところだ。駅の売店には「ウロコダンゴ」が並んでいる。名前は知っているが、未だに買ったことがない未体験の「名物」だ。

再びの旭川駅。17時35分の名寄行き。夕陽がやけに重厚なプロフィールを浮かび上がらせていた。

旭川駅からは、快速「なよろ」5号。車内はすでに満席なので、しばらくはデッキ乗車だ。旭川~名寄は比較的利用者が多いため列車の本数もそれなりにある。普通列車は12往復、そのうち快速「なよろ」は4往復、その他に快速並みに駅を通過する列車も一往復ある。ここまでのルートで、札幌近郊を除けばこんなに走っているところはなかったので、すごく贅沢な感じだ。

旭川駅を出てすぐ。SL列車用の客車が姿を見せる。最近はすっかり運用されることが減った。この先の処遇が心配される。

ひと駅ごとにお客さんがどんどん降りてゆく。それにしてもJR北海道の駅は、どうしてこんなにたくさん駅名標が付いているのだろう?

満席だった車内も、比布あたりでなんとか通勤帰りの人たちのボックスに座ることができた。塩狩峠の景色を眺めたところで安心したのか、目が覚めたら士別のあたりになっている。いつの間にかボックス席の顔ぶれは変わっていた。

先ほどまで通勤の男性が座っていたところには高校生が座っている。なんとなく話をしていたが、そのうちいろんな話をしてくれた。大学にも行きたい、海外放浪のような旅行もしたい、卒業したらやりたいことだらけ。だけど、先立つものが無い。心の中にいっぱい詰まっていたやりたいことがあふれてくるようだった。

多寄を過ぎたくらいから 空がだんだん熟していった。

噺の途中で申し訳なかったが、思わず中断して風景を撮っていると、彼女も撮りたそうなのが分かった。

取り方を教え手渡してあげたら、日が暮れきるまでカメラは返ってこなかった。

彼女が撮影した作品。毎日見ている通学の車窓をカメラを通して再発見したようだった。

卒業した後は、その目できっと新しい世界を発見していくに違いない。

名寄駅

夕暮れの名寄駅に到着。列車は30分停車で名寄を出て北に向かう。

できれば音威子府(おといねっぷ)までに行きたいのだが、どう探しても宿が無い。手前の美深(びふか)に宿をとり、駅前にある三角屋根の宿に入った。

美深駅。

 

《7日目に続く!》

【6日目・その2乗車区間】

旭川~深川~旭川(函館本線)、旭川~美深(宗谷本線)

【6日目乗車区間】

北見~旭川(石北本線)、旭川~深川~旭川(函館本線)、旭川~美深(宗谷本線)

6日目の総乗車距離 343.4km、6日目の新規乗車 313.2km、未乗車距離 629km

文・写真/川井聡
昭和34年、大阪府生まれ。鉄道カメラマン。鉄道はただ「撮る」ものではなく「乗って撮る」ものであると、人との出会いや旅をテーマにした作品を発表している。著書に『汽車旅』シリーズ(昭文社など)ほか多数。

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