今までは義父に従っていただけ。義母はゴミも1人で捨てられない
義父が亡くなったことで気落ちしていた義母を助けたい気持ちで、穂香さんは自らの意思で義母の暮らす家へ定期的に行くように。そこで気づいたのは、日に日に汚くなっていく部屋の様子でした。
「最初は袋に入れられたゴミがたまっていったんです。それを代わりに私が捨てるようになり、その後まとめられていたゴミが小さいスーパーの袋で散らばるようになり、私の仕事はそのゴミを大きなゴミ袋にまとめて捨てるという行為になった。そして、各部屋にあるゴミを集めるようになり、いつしか掃除自体が私の仕事になっていきました」
さらに、気を持ち直して明るくなっていった義母ですが、事あるごとに穂香さん宅を訪れるようになります。
「『寂しいから』という理由で家に来る義母を追い返すことなんてできませんよね。夫も何も言わないし、子どもたちの中では優しいおばあちゃんなので。でも、正直毎日となると、やっぱりしんどい。さらには1週間に2回あるゴミの収集に合わせて義母の家を掃除しに行くことも大きな負担で……。根が悪い人じゃないので、こんなことを思ってしまう自分が汚れているような気持ちになるんですよ……」
その生活はこのコロナ禍でさらに密になっているとか。
「義母はコロナを怖がって、家にひきこもるようになってしまって、私の負担はさらに増えています。今は子どもたちも家にいるので、本当に座る時間もないほど。義母は私が言ったことしかしてくれなくて、今は1番手のかかる子どもみたいです。今振り返ると、義母はずっと義父の意思に従っていただけで元々はこんな人だったんでしょうね。横柄なところもないし、優しい方だけど、これがいつまで続くのか。もし足が不自由になってしまったら……、など悪い考えがふとした時に頭をよぎって、怖くなるんです」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。