なぜ若い時に離婚しなかったのか、このコロナ禍で家庭内別居はほぼ崩壊
そこから夫婦で顔を合わすのは月にトータル5時間もなかったとのこと。娘が中学に進学した時にパート勤務を始め、夫からは生活費だけをもらう生活に変わります。しかしその時はまだ3人分の生活費をもらっていたということでご飯だけは作っていたそう。
「ご飯は用意していましたが、一緒に食卓を囲むこともありませんでした。夫は朝は勝手に家にあるパンなどを食べて出ていたし、夜はお酒を飲んで帰ってきていたから。食べるかどうかわからないけど、晩ご飯は娘と2人分より少し余るくらいに作っていた感じです」
娘は短大を卒業後に就職で自立。2人暮らしをきっかけに夫婦は1階と2階に完全に別れて暮らすようになります。しかし、お互いの家族の前でだけは夫婦を演じていたと言います。その理由は、離婚するつもりはなかったから。
「その頃には私は友人がやっている飲食店をフルタイムで働くようになっていて、家には夜遅くに帰り、週末も働いていました。だから完全に夫と顔を合わすことはなくなっていて、ただの同居人といった感じです。私がご飯を用意しなくなったことで夫が渡してくる生活費をすごく減らされて、私はそれで家で使うもの、例えば家で飲む水のストックとか、洗剤などの消耗品を買いそろえるぐらいになりました。離婚しない理由は、特に別れる必要がなかったから。お互いの両親と顔を合わせる行事の時だけは夫婦を演じていたので、両親も義家族もそこまで仲良しとは思っていないものの、ここまでの不仲だとは認識していないと思います」
しかし、このコロナ禍で旦那さまは完全在宅勤務に。詩織さんの仕事もオーナーの意向で臨時休業となり、どちらもほぼ家にいる状態になってしまいます。さらに、義両親が頻繁に様子を見に来ている状態で逃げ場がないと訴えます。
「結婚してから初めてこんなに顔を合わせています。お互い別々に生活をしているんですが、家でご飯を食べるタイミングなどがかぶるんですよ。家の食べ物を買い足さないくせに減っていく状態にもイライラしますね。さらに、車で来られるからといって、義両親が外出自粛なく、様子を見に来るんです。お取り寄せなどしたものを持って来てくれたりとありがたいんですが、一緒に食べないと帰ってくれません。
今はコロナよりもこの生活で先に私のメンタルが折れてしまいそうです。もっと若い時に離婚をしていれば良かった。今はそんなことさえ思うようになりました」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。