友人よりも近い親との距離に、10代の頃は違和感を覚えていた
高校を卒業後は、自転車通学さえ可能な近場の短大へ進学。そこは母親が希望した学校でした。
「特に行きたい学校もなくて、ぼんやり働くこともありかなって思っていました。私が進学した学校は、地元でもまぁ悪いほうで有名な学校で、私や周りは悪くはなかったけど、みんな就職が多かったんですよね。だから私も漠然と就職するんだろうな~って思っていました。でも、母親から『ここに行きなさい』って、学校のパンフレットを差し出されて。家から通うことができるし、私の頭でもそのまま入れるぐらいのレベルだったので、軽い気持ちでそこに決めてしまいました。
学校生活は楽しかったです。友人にも恵まれました。でも、母親はわざわざ私を短大へ送るために車の免許を取って、送るだけでなく迎えまでをしてくれるようになって。学校終わりに友人と約束していた場合には、駅まで友人も連れて送ってくれました。友人たちはみんな“良いお母さん”と言ってくれていたけど、友人たちの母親はまったく干渉してこないことを知って、嫌いじゃないのに違和感みたいなものが強くなっていきました」
そして、短大を卒業した後は地元の飲食店を経営する企業へ就職。母からの執着には若干の違和感が残っていたものの、母親から離れなかった理由は何なのでしょうか。
「嫌いじゃなかったし、小さい頃は色々叱られたりはしたけど、大人になるとそれもなくなるから、少しベタベタが過ぎる女友達みたいな感じで、スルーすれば気にならなかったというか……。
そして、その違和感は大人になるにつれて薄れていったんです」
母親よりも彼を選択して上京。しかし、彼よりも娘が女性になることに嫌悪感を示す母親に執着してしまい……。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。