京都には酒呑み心をくすぐる老舗酒場も多い。酒場といえど、そこは京都。ハッとするような、様式美に満ちた酒場を訪ねた。

文・案内する人 江部拓弥さん (『あまから手帖』編集長)
グルメ誌『dancyu』編集長を経て、令和4年より現職に。好きな酒は日本酒とビール、好きなつまみは煮凝り。「大阪に移って一番うれしいのは、甲子園球場が近いこと」と語る甲子園ファンで、アマチュア野球の審判資格も持つ。

不変で普遍な味

鴨ロース
料理はすべて時価。

「ぎゅうぎゅうですわ」と、苦笑いする3代目の掛谷浩貴さんが言うように、『蛸八(たこはち)』は小さな小さな割烹。袖振り合うも他生の縁とばかりに、客同士の距離が近くそれがまた食欲を刺激します。どこからか「鴨ロース」の声が上がれば、ついつい「こっちも鴨ロース!」と手を挙げてしまったり。

『蛸八』の創業は昭和22年。当初は定食屋で、掛谷さんの父が割烹へと舵を切ってから「半世紀は経ってるんとちゃいますか」。驚くべきことは、そのときからずっと献立が変わってないということ。

きずし
小芋空揚げ

「修業から帰ってきたら親父のやり方と教わってきたことがぜんぜん違うわけです。反抗もしましたけど、いっそ『蛸八』を極めたろ思いまして、結局なんも変えずにやってきました」

秋がきて、掛谷さんは入口横の壁に、筆で書かれた大きな献立表を秋仕様に貼り替えます。季節がめぐるたび、変わらない仕事。

「土瓶蒸しの季節やなぁ。いつも食べに来てくれるお客さん、元気かなぁ、とか思ったりしますね」

蛸八

3代目の掛谷浩貴さん曰く「食べて呑んで6000円くらいやったんですが、最近は物価高もあって8000円〜1万円くらいになってます」。鴨ロースやきずし、小芋空揚げといった料理を前に味の決め手を訊けば「愛情だけです」と笑う。

京都市中京区蛸薬師通新京極西入ル東側町498
電話:075・231・2995
営業時間:18時〜23時
定休日:日曜、水曜
交通:阪急京都線京都河原町駅下車、徒歩約4分

撮影/内藤貞保

サライ11月号大特集は『京都「美の神髄」』

 

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