取材・文/ふじのあやこ

【娘のきもち】門限は夏18時に、冬は17時。友人と遊ぶ時間も制限され、窮屈さを感じていた父の愛情~その1~

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「一緒にいられなくなったとしても、どちらも大切な家族に変わりはありません」と語るのは、明美さん(仮名・39歳)。彼女は現在、東京の百貨店で販売員の仕事をしています。お話を聞いている間ずっと笑顔が絶えず、ハキハキと話すところから接客で培った人当たりの良さを感じます。

記憶に残るのは厳しかった祖父の姿。1番年上として、大人の仲間に入らないといけなかった

明美さんは神奈川県出身で、両親と2歳下に妹のいる4人家族。両親は父親のほうが8つ年上で、結婚した当時母親は19歳。とても早婚だったと言います。

「両親はお見合いで、遠い親族といった間柄だったと聞いています。晩婚化している今では考えられないですが、母親は19歳の時にお見合いを親から勧められて結婚したみたい。私が生まれた時には神奈川にいたんですが、両親は福島出身で、親族のほとんどが福島に残っています」

明美さんは小学生低学年の頃まで夏休みなど長期休暇の間ずっと福島の父方の祖父母の家に預けられていたそう。祖父の躾が厳しかったと語ります。

「父には兄がいたんですが、結婚が遅くて私が初孫だったんです。孫の中で一番大きかったこともあって、私は小さい頃から食事時などはご飯の用意の手伝いをしなければいけませんでした。でも小学生低学年だから料理の手伝いはできなくて、キッチンでボーっと立ち尽くすだけの時間もよくありました。祖父以外の大人たちは居間でテレビを見てきていいと言ってくれるんですが、少しでもその場を離れると祖父から怒られてしまうんです。妹や従妹などは何も言われなかったので、テレビを見て笑っている声などがする度に悔しかったですね」

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